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フィリエス家の内情と戦
第271話 ガーゼルベルトの謝罪
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月の魔女とよばれるまで
第271話 ガーゼルベルトの謝罪
カタリーナの治療が終わったことで、懸案が消えた。その事に、ガーゼルベルトはもう一つの用事を済ますことにした。入り婿のあの男を断罪すると決めていたのだから。
「カタリーナ、わしはあいつを断罪する。お前が倒れた後にどれだけ好き勝手に動いて、罪を重ねている。本当ならば、お前にも罰を下さなければならないほどだが王はそれを許してくださった」
「伯父様いえ宰相様、夫の行動はわたくしの不徳の致すところです。あの人は権力にしか興味が無く、そして手段を間違えてしまった」
カタリーナはそこまで言うとリエットが首を振った。
「お母様、お父様はお母様を愛してはいない。お母様もだとは思うけれど、それでもお父様はわたくしを盗賊に売りました。厳しいお母様でもそこまではしなかったのに」
リエットの独白に、ガーゼルベルトの表情が変わった。一気にオーラが吹き荒れ、重苦しい威圧感を当たりにまき散らしていく。完全に怒りの感情が表に出たかのようだ。
「あいつめ、カタリーナの娘リエットを盗賊に売っただと!?盗賊と手を組んで悪行を積んで、領民に重税を課して自分はさらなる権力を得ようと有力な貴族に賄賂を渡していたのはもうこちらで掴んでいたが、そこまでとはな」
今、リエットがここに居ると言う事は助け出されたと言う事。売った事実に変わりは無い。カタリーナもそこまでは掴んでいたが、そこに裏金が置いてあった事実は知らなかった。
「盗賊と結託し、領民達の安全と経済活動を妨げて金品や命を奪い自分は上の権力を目指して献金か。貴族と言うには浅ましすぎる」
ガーゼルベルトの言葉に、カタリーナは固まってしまう。盗賊たちと結託する領主がいると言う時点で、領民のことを考えていないことが一目瞭然だったから。
それを冷めた仲とは言え、夫がやっていたとなれば呆然としてしまうのも無理は無かった。
「伯父様、まさかあの人の罰を直接与えられるために来たのですか?」
「カタリーナ、わしを許してくれ。あいつを買ってしまった昔のわしを殴ってやりたい位だ。こうなると見抜けなかった」
ガーゼルベルトはそう言って、カタリーナを見る。伯父が素直に謝ると言うのもあまりないのをカタリーナも知っているだけに、素直に受ける。
「伯父様だけが悪いわけでは無いわ。わたくしもあの人を愛そうとはしなかった。政略結婚とは言っても、愛も恋もなかった。だから、リエットに貴族としてみっともないように躾けようとした。最初から間違っているのだから、リエットにも間違った態度を取ってしまっていた。たった一人の娘なのに」
カタリーナとしても思うところはあるらしい。人間は人それぞれ故に、親に恵まれない子供も居る。だが、父親と母親が不仲で、娘に厳しいとなると娘の逃げ場が無い。だから、リエットは精神的に死にかけてしまったのだろうと沙更は思う。
そして、伯父として親として、カタリーナの事を思って動いたはずが真逆になってしまった。カタリーナもその時には伯父の言うことに従った。だが、そこに会話があったかと言えば無かったのだろうと推測出来た。
「あの、部外者でこの事を聞いても良いのでしょうか?普通なら、席を外すべきでは?」
治療を終えたので、部屋から退室した方が良かったかと思ったが勝手に退室するわけにもいかない。それだけに、沙更たちは困った顔をしてしたのだ。
冒険者故に、領地経営のことを知ったところで何かが出来るわけでは無い。それに、処罰する話を部外者の自分たちが聞いていて良いとは思えなかった。
第271話 ガーゼルベルトの謝罪
カタリーナの治療が終わったことで、懸案が消えた。その事に、ガーゼルベルトはもう一つの用事を済ますことにした。入り婿のあの男を断罪すると決めていたのだから。
「カタリーナ、わしはあいつを断罪する。お前が倒れた後にどれだけ好き勝手に動いて、罪を重ねている。本当ならば、お前にも罰を下さなければならないほどだが王はそれを許してくださった」
「伯父様いえ宰相様、夫の行動はわたくしの不徳の致すところです。あの人は権力にしか興味が無く、そして手段を間違えてしまった」
カタリーナはそこまで言うとリエットが首を振った。
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「あいつめ、カタリーナの娘リエットを盗賊に売っただと!?盗賊と手を組んで悪行を積んで、領民に重税を課して自分はさらなる権力を得ようと有力な貴族に賄賂を渡していたのはもうこちらで掴んでいたが、そこまでとはな」
今、リエットがここに居ると言う事は助け出されたと言う事。売った事実に変わりは無い。カタリーナもそこまでは掴んでいたが、そこに裏金が置いてあった事実は知らなかった。
「盗賊と結託し、領民達の安全と経済活動を妨げて金品や命を奪い自分は上の権力を目指して献金か。貴族と言うには浅ましすぎる」
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それを冷めた仲とは言え、夫がやっていたとなれば呆然としてしまうのも無理は無かった。
「伯父様、まさかあの人の罰を直接与えられるために来たのですか?」
「カタリーナ、わしを許してくれ。あいつを買ってしまった昔のわしを殴ってやりたい位だ。こうなると見抜けなかった」
ガーゼルベルトはそう言って、カタリーナを見る。伯父が素直に謝ると言うのもあまりないのをカタリーナも知っているだけに、素直に受ける。
「伯父様だけが悪いわけでは無いわ。わたくしもあの人を愛そうとはしなかった。政略結婚とは言っても、愛も恋もなかった。だから、リエットに貴族としてみっともないように躾けようとした。最初から間違っているのだから、リエットにも間違った態度を取ってしまっていた。たった一人の娘なのに」
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「あの、部外者でこの事を聞いても良いのでしょうか?普通なら、席を外すべきでは?」
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