月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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最終章 目覚める神

第295話 モンスターとの遭遇2

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月の魔女とよばれるまで

第295話 モンスターとの遭遇2

 グレートパイソンはミリアが、スチールアントはパウエルとガレムが仕掛けていく。ヒルジャイアントがこの場に来るまでの間に、片が付くだろうと沙更は踏んでいた。

 元々、ミリアの動きに危なげは無い。グレートパイソンは素早いミリアの動きを捉え切れていない上に、その速度で攪乱されたところを両断されていく。

 スチールアントも背後を取られたことで、本来の外皮の硬い部分での防御が出来ずに切り払われていった。

 ヒルジャイアントたちがこちらに来た時には、グレートパイソンもスチールアントも既に倒れて魔石に変わっていて、それを見たことで怒りを覚えたようだ。かなり太い腕で、こちら目掛けて殴りかかる。

 その動きにミリアが動く。腕の動きを見切って、回避すると同時に、白の直刀の抜き打ちでヒルジャイアントの腕を痛打を与え、後ろに下がった。

 もう一体のヒルジャイアントの腕がさっきまでいたミリアの位置を通り抜ける。その動きも見えていたからこその動き。空振った腕の一撃に、目を見開くヒルジャイアント。

 そこにすかさずパウエルが両手で持った青い魔鉄の剣で、上段から切りかかり、足に手傷を負わせる。追撃とばかりに、援護の沙更のアイスジャベリンが放たれる。それも10本ともなれば、魔法耐性がアイスジャイアントより低いヒルジャイアントではひとたまりもない。

 次々と命中したアイスジャベリンはヒルジャイアントの大きな身体を串刺しにしていく。さらに冷気で、身体を氷漬けにされてしまっては身動きすら出来なかった。

 魔法で、仲間が氷漬けにされたことによりヒルジャイアントは更に怒る。魔法を放った沙更目掛けて突進し、力任せの拳の一撃を見舞う。

 その一撃に反応したのが、沙更の腕にはまるマジックプラチナの腕輪だった。

 不可視の盾を沙更の前に展開し、ヒルジャイアントの拳の一撃を完全に抑えきる。巨人の力でも割れない盾など中々あるものではなく、振るった側のヒルジャイアントが、その光景に驚愕したのだ。

 力自慢の巨人族ですら破れない盾など、伝説に残る遺物くらいであり、マジックプラチナはその伝説の品そのものだった。

 驚愕した隙を使い、ガレムが炭素鋼の斧で一撃を入れるが浅く、ヒルジャイアントの裏拳を食らってしまい、一気に後ろまで持って行かれてしまう。

 力と力ならば重い方が有利なだけに、ヒルジャイアントの一撃は他のメンバーとガレムを離す結果になった。

 重い一撃を受けて、炭素鋼の斧を離さなかったのは良かったがさらに拳の一撃が放たれ、炭素鋼の斧を盾代わりに受け止めたが故に、更に離されてしまう結果となる。

 その攻撃でも、沙更が渡したジャケットのおかげで骨に異常はなかったあたりが、下手な防具よりよほど優秀と言われる所以になるとはこの時思ってもなかった。
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