月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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最終章 目覚める神

第326話 辺境からの帰還

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月の魔女とよばれるまで

第326話 辺境からの帰還

 月女神は、沙更とセーナに後を任せてまた二人の魂の中で眠りに入った。神として、一回死んだ事で下手に人間に干渉しないことを決めていたように思える。それだからこそ、沙更とセーナの魂をそのままにしておいてくれたのだろうが。

「戻る前に、ガレムさん。相棒を直しましょうか?」

 沙更の提案に、ガレムは正直申し訳ない表情を浮かべていた。

「セーナちゃんにまた直して貰うことになっちまった。俺もまだまだだな」

「ガレムさん、BランクモンスターとAランクモンスターをかなりの数相手取って退かなかった代償なら安いと思うんですけど」

「ミリアのやつは、それでも捌いてたけどなあ」

「ミリアお姉さんは、白の直刀ですから元々武器の質が違いすぎます。ダマスカス鋼とは言え、あれだけの数は厳しいですよ。刀身とか割れた位でなんとかなってるだけ凄いと思います」

 沙更として正直な感想を言う。聖鋼やミスリルより金属として若干劣ってしまうだけに、炭素鋼の斧がこれだけ持っただけでも十分頑張ってくれたと言って良かった。もっと素材が良ければ、ハイマイティアップにも耐え切れただろうから。

 そう考えれば、出会ってすぐに治してからここまで持たせてくれたことが武器なりに頑張った証と言えた。流石に、今回はパウエルの武器もヘレナの武器もそこまで使ったわけではないのでガレムのだけだ。

 沙更がガレムの炭素鋼の斧を持つとその斧に魔力を流していく。鉄のハンドアックスだった時に比べて、若干だけ流しやすくはなったけれどそれでも若干ましになっただけであり、魔力を流して使えるかと言えば厳しい。魔鉄などの魔法金属とは別の物だからだ。

 それでも、沙更が流した魔力を元に修復魔法を試みると炭素鋼の斧はその姿を変えていく。光が武器を覆って消えた時には、白銀の輝きを持つ美しい斧がそこにあった。

 沙更が慌てて魔力鑑定をすると聖鋼の斧に切り替わってしまっていた。炭素鋼の斧として、ガレムの相棒であり続けたからかなと思いつつも、ここまで材質変わってしまうとまた別物かなと思う。

「ごめんなさい、ガレムさん。元のとはまた変わってしまいました」

「怒る事じゃねえけど、これまさか聖鋼か?前にセーナちゃんの親父さんの形見が切り替わってたけどよ」

「そのまさかです。最後にあれだけ暴れてましたから、その影響もあったのかも知れません」

「まあ、武器に頼り切るなって思っておくぜ」

 聖鋼の斧を受け取るとそのまま背中にくくりつける。モンスターも排除し終えたことから、古代遺跡側まで出ていたことを思い出してエンシェントゲート跡地まで戻る事にした。一直線にウエストエンドに戻るのも出来たが、一応確認のために戻る事にしたのだ。

 エアウォークで加速した荒野の狼の面々は、そのまま辺境の地を後にする。この地が作物で実りの秋を迎えるにはまたしばしの時が必要となるのだが、それもまた後の話。
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