月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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最終章 目覚める神

第329話 月の魔女と呼ばれて3

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月の魔女とよばれるまで

第329話 月の魔女と呼ばれて3

 紫の大剣の禍々しさは瘴気を数千年の間浴び続けた事と人の血と魂を食らい続けてきたことによる。だが、沙更の魔力はそれすら干渉させない。そもそも、虚空庫に突っ込めている時点で剣が沙更に負けたと言う証明なのだから。

 普通の人間ではあり得ない話で、あっさり乗っ取られるのが目に見えていた。

 本物と分かったダイスは、呆れた顔をした。それもそのはず、持って帰ってこられない代物を持ってきたと思うしかなかったからだ。しかも、持っていた相手は既にいないと言うのなら尚更。

 シルバール王国に仇なす邪神の手下の一人を始末したと言う事になる。それ自体が超大事で、今まで王国の精鋭騎士団ですら相手取ってきた相手を数人でどうにかしたとなれば貴族達が騒ぎ立てるのが目に見えていた。

『てか、こいつら大きくなりやがった。まったく、面白えなあ。ルーカに良い土産が出来たぜ』

 ダイスとして、ここまで大きくなるとは思ってもみなかった。パウエル達が沙更を連れて戻ってからウエストエンドいや辺境の有事に動いてくれて対処してくれる程になるとは予想していなかった。だが、ここまで来ると領主や国が出てきかねない。

 モンスターの氾濫を対処出来る冒険者など冒険者全体でもほんの一握りいるかどうか、ほとんどはAランクに上がっている。そして、国のお抱えになっていた。

 が、パウエル達はまだBランクになったばかり、それなりにギルド貢献はしているがすぐにAランクになるかと言えば厳しい。だが、今回の功績を考えるとBランクのままも問題があった。

 BランクやAランクのモンスターを数で狩れる冒険者は本当に少ないのだから、それがギルドの収入に関わるとなると影響が大きいと言うしかない。大体、それだけの事が出来る冒険者は王都にいて、他の地にいることはめったにないのだから。

「どちらにしろ、モンスターがいなくなったとなれば報告に戻る必要があるな。と言っても、俺の馬車は小型だ。お前達を乗せてやれないが…」

「そこは気にしないでも良いですよ。私の補助魔法がありますし、元々ウエストエンドから一日かけずにここまで来てますから」

「はあ、本当に嬢ちゃんは凄すぎるな。それを拾ってこられたお前達が運が良いのか?現役の時に会ったらどうなってたやらだな。だが、お前達じゃなかったら破滅してそうな気もするぜ」

 ダイスはそう言う。実際、沙更の扱いを間違えたらその可能性はあった。強いて言うのなら、ミリアの存在が一番大きかった。橋渡しをしてくれたからこそ、ここにいられると言っても過言ではないのだがどうやらなんとなく察したらしい。

 いろいろと考える部分はある物の一旦は終わった事の報告のために、ウエストエンドに戻る事になった。エンシェントゲートは今は無人のまま、また人が戻ってくる事になる。
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