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最終章 目覚める神
第332話 月の魔女と呼ばれて6
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月の魔女とよばれるまで
第332話 月の魔女と呼ばれて6
そこまで話をしたところで、ゼオンは五人に屋敷で泊まっていくように勧める。その誘いには流石に激戦を繰り広げた後のパウエル達にとってはありがたいことで、誘いに応じる事にした。
「一回我が屋敷に泊まった事があるから、その点でも心配は無いだろう。このくらいしか出来ないが、モンスターとの戦闘の疲れを癒やすと良い」
「ゼオンさん、気遣って貰ってありがとうございます」
「いや、私に出来るのはこのくらいだ。この前の戦でも助けて貰っているのだから、少しは返させて欲しい」
ゼオンとは、簒奪者アランとカタリーナの戦の時にも一緒に戦っているだけに戦友として認めて貰っているらしい。
そのまま、メイドに連れられて二人部屋と三人部屋に来るとメイドはそのまま去って行った。辺境であれだけ暴れていたのとそれからの移動で疲労が溜まっていた沙更は、そのままベッドに入り込むと寝てしまった。
その寝顔を見つつ、ミリアとヘレナは双方とも口を開く。
「また命救われちゃったね」
「本当に、最初きつく当たっていたけど今じゃそれすら罪悪感を感じるくらいだもの。どれだけ救ってくれたのか分からなかったら人間失格よ」
「だよね。あたしは最初からセーナちゃんの味方だけど、ヘレナもリーダーもガレムも恩があるのは一緒」
ミリアがそこまで言うとヘレナは苦笑を浮かべるしかない。事実であって、否定することも出来ないから。
一方、パウエルとガレムも同じ結論に至っていた。強いて言うとガレムの斧が聖鋼の斧になったことで、ガレムの方が恩を感じている位であった。
「あの子にまた助けられたな。確かに戦闘経験は積ませて貰っているが、あの子に何一つ返せていない気がするよ」
「あいつなら一緒にいてやるだけで十分だって言うだろうよ。ったく、ただの鉄の斧を相棒にしてくれて、その相棒をまた直してくれた恩義はいずれ返すぜ」
パウエルの声にガレムはそう返す。今回の件で、パウエルの青い魔鉄の剣は破損までは行かない物のかなり酷使をした格好だ。ガレムの炭素鋼の斧は破損した事で別の物になってしまっている。
魔鉄と聖鋼では武器のランクが違ってしまうだけに、冒険者のランクが一緒だとしても扱いが変わってしまう。そこだけは懸念材料ではあった。
「リーダー、武器の差でリーダーが変わるとか思ってないよな?」
「ガレムがリーダーをやれるかは分からないが、今のところ譲るつもりはないな」
「ならいい。下手に俺に譲ると言っていたら殴っていたところだぜ。俺やミリアはあの子に選ばれただけ、普通ならリーダーがこのパーティーの一番なんだよ。ズルをして手に入れた強さとは言わないが、あの子に望まれたからと言うしかねえんだ。いずれ、リーダーも俺たちと同じ強さになるだろう。だから、ねじ曲がるんじゃねえぞ」
ガレムからの言葉にパウエルもまだ強くなれることを分かっていた。段々と魔鉄の剣に慣れてきているのが分かっていたし、手応えも感じていた。だからこそ、ミリアやガレムが得た強さにちょっと羨ましさを感じてしまっていた。それに気付かれたらしい。
少し戻って、五人を部屋に案内したことをメイドから報告を受けたゼオンは戻ってきた五人が戦で共闘した時よりもさらに強くなっている事に気付いていた。
『あそこまで強くなるとは…。ミリア殿はもう超一流の冒険者と言っても過言ではないだろう。スカウト系の職業であろうが、あそこまでの身のこなしを手に入れている冒険者はほぼいない。ガレム殿にしてもあの綺麗な斧で、モンスターを切り倒してきている自負を感じる。このまま、ウエストエンドにいてくれれば良いがどうなるか…』
ゼオンとしては、辺境の守りに五人の手助けがあれば嬉しいと思っている。辺境随一の腕前で、王都の冒険者の平均よりも強くなった彼らに期待をしていたのだから。
第332話 月の魔女と呼ばれて6
そこまで話をしたところで、ゼオンは五人に屋敷で泊まっていくように勧める。その誘いには流石に激戦を繰り広げた後のパウエル達にとってはありがたいことで、誘いに応じる事にした。
「一回我が屋敷に泊まった事があるから、その点でも心配は無いだろう。このくらいしか出来ないが、モンスターとの戦闘の疲れを癒やすと良い」
「ゼオンさん、気遣って貰ってありがとうございます」
「いや、私に出来るのはこのくらいだ。この前の戦でも助けて貰っているのだから、少しは返させて欲しい」
ゼオンとは、簒奪者アランとカタリーナの戦の時にも一緒に戦っているだけに戦友として認めて貰っているらしい。
そのまま、メイドに連れられて二人部屋と三人部屋に来るとメイドはそのまま去って行った。辺境であれだけ暴れていたのとそれからの移動で疲労が溜まっていた沙更は、そのままベッドに入り込むと寝てしまった。
その寝顔を見つつ、ミリアとヘレナは双方とも口を開く。
「また命救われちゃったね」
「本当に、最初きつく当たっていたけど今じゃそれすら罪悪感を感じるくらいだもの。どれだけ救ってくれたのか分からなかったら人間失格よ」
「だよね。あたしは最初からセーナちゃんの味方だけど、ヘレナもリーダーもガレムも恩があるのは一緒」
ミリアがそこまで言うとヘレナは苦笑を浮かべるしかない。事実であって、否定することも出来ないから。
一方、パウエルとガレムも同じ結論に至っていた。強いて言うとガレムの斧が聖鋼の斧になったことで、ガレムの方が恩を感じている位であった。
「あの子にまた助けられたな。確かに戦闘経験は積ませて貰っているが、あの子に何一つ返せていない気がするよ」
「あいつなら一緒にいてやるだけで十分だって言うだろうよ。ったく、ただの鉄の斧を相棒にしてくれて、その相棒をまた直してくれた恩義はいずれ返すぜ」
パウエルの声にガレムはそう返す。今回の件で、パウエルの青い魔鉄の剣は破損までは行かない物のかなり酷使をした格好だ。ガレムの炭素鋼の斧は破損した事で別の物になってしまっている。
魔鉄と聖鋼では武器のランクが違ってしまうだけに、冒険者のランクが一緒だとしても扱いが変わってしまう。そこだけは懸念材料ではあった。
「リーダー、武器の差でリーダーが変わるとか思ってないよな?」
「ガレムがリーダーをやれるかは分からないが、今のところ譲るつもりはないな」
「ならいい。下手に俺に譲ると言っていたら殴っていたところだぜ。俺やミリアはあの子に選ばれただけ、普通ならリーダーがこのパーティーの一番なんだよ。ズルをして手に入れた強さとは言わないが、あの子に望まれたからと言うしかねえんだ。いずれ、リーダーも俺たちと同じ強さになるだろう。だから、ねじ曲がるんじゃねえぞ」
ガレムからの言葉にパウエルもまだ強くなれることを分かっていた。段々と魔鉄の剣に慣れてきているのが分かっていたし、手応えも感じていた。だからこそ、ミリアやガレムが得た強さにちょっと羨ましさを感じてしまっていた。それに気付かれたらしい。
少し戻って、五人を部屋に案内したことをメイドから報告を受けたゼオンは戻ってきた五人が戦で共闘した時よりもさらに強くなっている事に気付いていた。
『あそこまで強くなるとは…。ミリア殿はもう超一流の冒険者と言っても過言ではないだろう。スカウト系の職業であろうが、あそこまでの身のこなしを手に入れている冒険者はほぼいない。ガレム殿にしてもあの綺麗な斧で、モンスターを切り倒してきている自負を感じる。このまま、ウエストエンドにいてくれれば良いがどうなるか…』
ゼオンとしては、辺境の守りに五人の手助けがあれば嬉しいと思っている。辺境随一の腕前で、王都の冒険者の平均よりも強くなった彼らに期待をしていたのだから。
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