月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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最終章 目覚める神

第338話 カタリーナへの報告3

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月の魔女とよばれるまで

第338話 カタリーナへの報告3

 次に話す話題は、正騎士ゼオンにも話したが紫の大剣のことだ。モンスターの氾濫の首謀者があの元月女神の眷属だったことを話すとカタリーナは呆れた表情を浮かべた。モンスターの氾濫を抑えただけでも凄すぎるのに、邪なる者まで倒してきたとなればそう言う感想になってしまうのも無理は無い。

「邪なる者までとなれば、王も対応せざるを得ないわ。ジーク、推論で良いからあり得そうな事を述べて」

「はっ、奥様。少なくとも王都に呼ばれ、パレードをするのは確定でしょう。荒野の狼のメンバー全員に騎士爵を与え、謝礼金を出すのも確定だと思われます。問題は彼女でしょう。王族もでしょうが、高位貴族がこぞって欲しがるのは想像しなくても理解出来てしまいますな」

 ジークの推論にカタリーナはため息をつく。沙更の存在が公になれば、その力を欲しがる高位貴族や王族の勧誘合戦が行われるのは確定事項と言って良かった。

 カタリーナとて辺境伯だが、それでも公爵や王族には逆らえない。侯爵ならば同等に近いので、まだなんとか出来るかも知れない程度。とてもじゃないが力が足りなかった。

わたくしでは貴女たちに降りかかる火の粉を払ってあげられない。それでも貴女たちにここに居て欲しいと思ってしまう。恩は受けても返せるわけでも無いのに」

「カタリーナ様、私は出来る事をしただけです」

「これだけの事をして貰ったのに、こちらで返せないのが心苦しいわ」

 今までのこともあり、報酬をいくら渡せば良いのか分からないほどになっている。少なくても大金貨数十枚程度で収まる話では無い。それに、それだけでは受けた恩を返しきれないのだとカタリーナは思っている。

 リエットの救出と精神の治療に、カタリーナの解呪と治療、アレンとの戦の時の宣戦を維持出来たのも沙更のおかげ。それに付け加えて今回のモンスターの氾濫を防ぎきった事と元月女神の眷属の討伐まで入ってくれば、王族じゃなければその恩に報いることは出来ないだろうと言う話まで膨れあがっていたのだ。

 そんなカタリーナに、沙更は思い出したことがあってそれを口にした。

「カタリーナ様、もし良ければ孤児院の建て直しの許可を貰えませんか?私自身に望む物はありませんけれど、ミリアお姉さんには望む物があります。だから、それを望んでも良いでしょうか?」

「ええ、そのくらいならばすぐに許可を出すわ。それに、貴女が関わるのならば悪いことにはならないのは分かっているもの」

 沙更の提案に、あっさりとカタリーナは許可を出す。こんなことで恩義を返せるとは思っていないが、それでも少しでも返せるのなら良いと思って。

「ありがとうございます。それとカタリーナ様、私は今後もリエット様に肩入れしますがよろしいですか?」

 沙更のふとした提案に、カタリーナは有無を言わさずに頷く。リエットに、沙更が肩入れしてくれるのならば心強いことこの上無かった。ジークとしても断る意味がないために頷いていた。

「ええ!!こちらこそ、よろしくお願いするわ」

「ムーンライトで精神を癒やしたことの効力を見定めなければなりませんから離れられないのが本当のところですけどね」

 沙更として、中途半端はしたくないと言うだけのことでそれ以上でもそれ以下でも無い。が、これからも繋がりが出来るのはフィリエス家としては重畳と言うしか無い。これだけの戦力を近くに置けるのは安心感を生む。それに、リエットはまだまだ経験不足なだけにいろいろな意味で助かるのだ。

 カタリーナが疑問に思った事の大半は報告により納得がいく形となった。
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