月の魔女と聖剣

空流眞壱

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極星騎士団と王都冒険者ギルド

第59話 リエットの現状

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月の魔女と聖剣

第59話 リエットの現状

 サロンで用意されているお茶をいただきながら、リエットの話を聞く。王立学園で1人で動かれているが今のところ襲撃されたなどの話は聞いていないだけに、大丈夫か決めかねる部分があった。

「王立学園は、クラスが身分ごとに分かれてしまっているので面白みはほぼ無いです。それに、わたくしだけが辺境伯なので浮いてしまっているのと他のクラスメートは大伯父様と敵対する貴族の子女の方々なのでどうしても仲よくとは行きません」

「敵対する貴族の子女の方々ならリエット様の一部始終を見て、瑕疵があればガーゼルベルト様やカタリーナ様に迷惑がかかるかもしれません。それを考えれば、遠ざけるのも正解かと私は思います」

 沙更として、リエットが1人浮いてしまっていることを悲しく思いつつもここは王都だけに他者を蹴落とさなければ出世できない場所であることも理解していた。己を守る為に、1人孤独にならざるを得ない部分も出てくる。

 そもそも、誰かの下につかなければ出世できないのも問題であった。王家が力を失って久しいだけに、公爵家や侯爵家の力が強くなってしまっているのだろうとは推測できる。元辺境伯であり、1人特別に名誉侯爵になっているガーゼルベルトは特殊なのだ。

 老年にさしかかっても要職に居て、辣腕を振るっている上に極星騎士団の騎士団長でもある。その二つのわらじが他の貴族を警戒させていた。宰相として、この国になるように動いているだけと当の本人から聞いていたし実際その通りなのだろうと思う。

 だが、それでは他の貴族達にとっては旨みが無いのだろう。そう言う辺りは欲望はつきることなしと言う一言で終わってしまうし、尽きぬ欲望は身を滅ぼす元なのだが分かってはくれないだろう。

わたくしの学園の話はそう面白いものはありません。貴族のクラスの人間が平民のクラスの人々を虐げていたりとか、見ても聞いても嫌な話ばかりで…」

「リエット様は加担されないのでしょう?そう言うのはお嫌いだと知っていますから」

わたくしがそんなことをしたとお母様に知られたら怒られるどころでは済みません。それに、民をいじめる領主にはなりたくないのです。お父様のようにはなりたくない」

 父アランのことをそう言うリエット。民をいじめて出世したところで幸せになれるのかと思っていたからだろう。それに父親から受けた仕打ちがひどすぎて、慕えるわけもなかったのは沙更も分かっていた。娘を盗賊に売り払う父親の気持ちなど理解したくも無いだろうから。

 現状、伯爵家以下の貴族のうち新興の貴族はどちらかの上位貴族と繋がりがあり、古くからの貴族が減っている。没落したり、家が途絶えたり上位貴族から処罰を受けたりしているからだ。古くからの貴族は辺境伯家と数えるほどしか残っていない。

 公爵家もほとんどが新興で、王族からの分家となっているが王族時代抑圧されていたことがあるせいか、権力にしがみつく人間が多いのだそうだ。侯爵家も公爵の紐付きの家が多く同じように欲に塗れていると言って良い。貴族達が王国を貪る状態になってしまっていた。

 リエットの現状を聞きつつも、親が親なら子供も子供だと沙更は聞いていてため息をつく。虐げられた民たちの怒りは溜まる一方。辺境はカタリーナのおかげで、平穏を取り戻したが王国全土で反乱の兆しが見え隠れしかけていることに気づいているかどうか、そこが分かれ目になるだろう。

 沙更は、お茶とクッキーを食べつつもそんなことを考えていた。王国が内乱の時代に入るか入らないかの正念場が近づいていることに気づいていたから。その時、民の側に立てる貴族はカタリーナくらいだろうと言うことも。
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