月の魔女と聖剣

空流眞壱

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第二王子との邂逅

第108話 リエットから見るウィリアム第二王子

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月の魔女と聖剣

第108話 リエットから見るウィリアム第二王子

 第二王子ウィリアムつきまとう伯爵家の子女たち。それから逃げるウィリアムの図は、学園内でも有名になりつつあった。リエットや平民である沙更にも伝わってくるほどなのだから、高位貴族クラスが無くなった学園で最大の噂になっていることの証。

 噂も聞いていたが、リエットとしてはクラスメイトの子女が王子を追いかけ回しているのを見ているだけに、気の毒だと思っていた。流石にリエット自身がウィリアムを助けたりは出来ない。それで無くても今の貴族クラスは、力関係がおかしいだけに下手な伯爵家が暴走する可能性すら秘めていた。

「ウィリアム第二王子様も大変だと思うの。女生徒から追い回されるのは、精神的負担になるから」

「リエット様、ウィリアム王子の事気になりますか?」

「気になると言うと違うかもしれません。気の毒にとは思っています」

 リエットの言葉に、納得する沙更。王族にはあまり興味がないのは異世界から呼ばれた魂だからだろう。王家に敬意を持たないのは民主主義を知っているからに他ならない。とは言え、セーナの記憶もある。ある程度王家の存在がこの国を支えていると言うのは理解出来ているが、それ以上でもそれ以下でもなかった。

 5歳の娘の世界は狭い。王族の事など敬われるべき存在として国民に伝わっている位で、詳しい事まで知っている子供は平民にはいないだろう。セーナもその例に漏れてはいないと言うだけのこと。さらに異世界からの魂である沙更と結合したことで、異世界の知恵まで追加された上に古代魔法文明の古代魔法の知恵すら付け足されたことで現代の王家に敬意を持てなくなっていた。

 下手な王家が持つ力よりもたった1人の力の方が余程強大なもので、王家どころか国すら消せる。そんな力を持とうとも沙更とセーナの魂に一切の汚れは無い。だからこその神の器を持つと言う証であった。

 リエットはそんな沙更を知っているが故に、くすりと笑う。自然と笑えるのは沙更の側だからで、他の貴族の側ではこうはいかない。貴族間の暗闘があるが故に、余程家同士仲が良くなければ貴族の子女同士でも素直に笑うことが出来ない。なにより、辺境伯家は敵が多いだけにカタリーナを苦しめることになるのならば友を得ようと言うことをリエットが考えないのも納得が出来た。

「とは言え、積極的に関わろうと思ってはいません。身分差がありますし…」

 リエットとして、王族との関わり合いを持とうとはしない。カタリーナは学園で婿を見つけて欲しいと思って送り出したのだが、既に反辺境伯で凝り固まった他の貴族たちと交流を持つ気にもなれず、かと言って平民では、貴族としてなめられてしまうと言うジレンマがそこにあった。

 とは言え、リエットとしては王立学園をさっさと卒業し、故郷の辺境に戻りたい気持ちでいっぱいだったりする。嫁入りする事は出来ないが婿を取るのもどうかと自身では思っている。母親の件もあるから、非常に臆病になっているのだ。

 この世界の結婚適齢期は15から19。子供を産むのは遅くても20になるくらいが常識的で、それより遅れると行き遅れとして見られる事が多かった。辺境伯の子女としては、辺境に籠もりっきりだったが故にデビュタントすら終わっていないリエットは、貴族としても変わり種であった。

 学園にいる間にデビュタントは終わらせておきたいところであったが、王都が混乱しているだけに状況としては厳しい。それは他の貴族の子女たちも同じで、問題になっていたのだ。
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