月の魔女と聖剣

空流眞壱

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第二王子との邂逅

第110話 王立学園での襲撃

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月の魔女と聖剣

第110話 王立学園での襲撃

 ウィリアムを貴族クラスまで送ったのは沙更であった。リエットが近寄ったのは、それに気づいたから。

「治癒士様、ウィリアム王子の事に干渉して大丈夫ですか?」

「平民の立場で手助けしたところで罪にはならないと思います。それで罪にするのなら、おかしいと言えるはずです」

「確かにそうですが、王家との関わりは難しい。他の貴族との兼ね合いもありますから」

「リエット様は権力欲があるわけでもないのでしょう?個人的に助けることは良いことだと思うのです」

 沙更としての個人的意見ではあるが、リエットを後押ししたいと言う気持ちはあった上で王家と言うかウィリアム王子本人と接触して、王子個人に嫌な思いを抱かなかった。そんな個人的理由ではあったが、王子個人を確認できたことは沙更に取っては行幸だった。

 リエットの婿の件もある。下手な貴族では釣り合いが取れない上に、辺境伯家に災いをもたらしかねない。それでなくてもカタリーナの夫アランの件があるだけに、慎重になるのも当然。ガーゼルベルトも下手な貴族の子息では首を縦に振ることは無いだろうと言う事は推測出来るだけに、難しい問題になっている。

 なので、リエットが好きになれる男子生徒がいるのならばその思いを優先すると言うのがガーゼルベルトとカタリーナの総意であったのは言うまでも無い。少なくとも政略結婚が上手くいくと思えないが2人の思いであり、失敗したカタリーナとしては、娘に同じ目に遭って欲しくは無かったのだ。そこは流石に母親として思うところであったのだろうと沙更として理解していた。

 それだけに、リエットが他の貴族の子息には反応しなかったもののウィリアムに興味を示したのは何と言うか不思議であった。が、それに理解を示せるのが沙更でえにしが強いのかなとは思っていたりする。

 母親とは仲直り出来たが、父親との折り合いは最悪だっただけに男の人が苦手じゃないかとも思ったこともあったが、リエットはそういう所を気にしないらしい。騎士ゼオンとはある程度話が出来ていた為、そう言う意味では男の人でも頼れる人がいると言う認識があっただけましだったのだろう。

 少なくともウィリアムと父アランは全然違う性格であり、ほぼ真逆と言って良い。それだけに無意識に父と反対の人を選んだのかもしれないと言う推測だけは成り立った。

 そう話をしていると沙更の探知魔法に学園関係者以外の人物が引っかかった。学園はまだ授業中で、リエットと沙更はこの時間は空き時間になっていた。貴族クラスにしろ、平民のクラスにしろ選択式の授業が多い。元々優秀と判断されている2人には、退屈になるであろう科目は外してあった。

 そのために、ある程度授業が無い時間がありその時間を使って交流している。沙更がリエットに合わせたのだが、普通にやったのでは厳しいと言うのは分かりきっていた。そんな中での事である、相手が急いている気がしてならない。

「日が出ている時間に襲撃!?大胆過ぎるけれど、それとも急いているのか分からない」

「えっ、治癒士様。まさか…」

「そのまさか、リエット様を狙っているかは分からない。だけど、部外者が完全に混ざってしまっている」

 沙更の答えに、リエットは顔色を変える。これだけの生徒がいる状態で仕掛ける時点で、相手の思惑を計りかねたからだ。
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