月の魔女と聖剣

空流眞壱

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聖剣の鞘の行方

第130話 ウエストエンドの変化

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月の魔女と聖剣

第130話 ウエストエンドの変化

 ウエストエンドの変化はかなりのもので、それに一番驚いたのはケイト。あまりにも王都と違いすぎたことで混乱していたのだった。

「王都よりも綺麗な街なんて予想外よ」

「でも、辺境の人だけじゃないみたいだよ。商売するにも優遇制度あるみたいだし、商人にとっては良いんじゃ無いの?」

 サマンサの言葉に、ケイトは首を振る。なんだかんだあったが、今のウエストエンドは王都シルバールよりも人が多くなっていたし、移住者も多い。それだけ他領から移り住むメリットがここにあった。商人達も移ってきていて、活気に満ちている。

 王都が陥落したこともあり、第二の都市が公爵領にあるがそちらは東の果て。それに、税金に関しては王都と似たり寄ったりの上に衛生状況も似たり寄ったりである。だが、ウエストエンドは今までのどの都市よりも進んだところだったのだ。

 サマンサやケイトの家族と別れた沙更とミリアは、いつもの通りに孤児院に戻ってきていた。孤児院も建物の時間を戻した結果、昔の石造りの頑丈さを取り戻して綺麗になっている。孤児院に戻って、サマンサ達と別れたことから沙更も6歳のセーナの体に戻していた。

「シスターヴァレリーただいま」

「シスター、戻ったよ」

「セーナちゃん、ミリアお帰りなさい」

 シスターヴァレリーは笑顔で二人を出迎えてくれる。既に、孤児院は沙更に取っても戻ってくるべき家であり、ミリアに取ってもそうであった。

「2人がいない間も病気した子はいなかったわ。まあ、司祭さまたちもいるから治療に関しては心配いらないだろうけれど」

 結局、1年前の一件以来アレク司祭とシスターたちはここに住み着いてしまった。孤児院としては人手不足ではあったことで助けられる形になってしまっている。ここのところのカタリーナの政策もあり、スラムもなくなったことで孤児になる子供はかなり減ってしまっているがそれでも孤児院は必要な場所であることに変わりはない。

 孤児に成る子供は減ってはいるがいなくなることは多分あり得ない。それに、ウエストエンドで孤児院はここだけ。しかも、孤児達に治療を施し、栄養を考えた食事もしっかり行うところなどここ以外にあり得ない話であった。沙更の知恵を生かした孤児院だからこそなのだが、そう言う意味でも特殊過ぎた。

 運営にも知恵を貸した結果、今の孤児院運営は順調そのもの。牛乳や卵、肉、野菜は沙更が懇意にしている三つのお店から仕入れさせて貰っている。ある程度の量を買うことにより割り引いてもらっているが、そのお金をきっちり払えるだけの運営が出来ている時点で、行き詰まりを感じることはなくなった。

 昔を知るミリアには、それだけでも大変ありがたいことであり恩を受けっぱなしと思うのも当然の話であった。沙更自身は全然気にしてはいないが、ミリアにしてみれば育てられた場所を助けてくれたことを忘れることはないのだから。
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