月の魔女と聖剣

空流眞壱

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聖剣の鞘の行方

第151話 聖剣の鞘の捜索3

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月の魔女と聖剣

第151話 聖剣の鞘の捜索3

 沙更が建てた干しレンガの家は土に関連する物質で作り上げた家具が勢揃いしている状態で、ベッドも土で作り上げたとは思えない程しっかりした作りとなっていた。テーブルも椅子も大きい岩からの削り出した物で、一件すると高価な物にしか見えない。前よりも明確なイメージで作り上げたからか、下手な高級住宅並の調度品が並ぶ。

「これだけの物を全て魔法で作り上げる腕とは途方もないな」

「幼い治癒士様はやはり凄いです」

 ウィリアムとリエットでは、やはり沙更の魔法を知っているかいないかの差がかなり出てしまっていた。態度にしてもリエットは笑みを浮かべるだけだが、ウィリアムに関しては驚愕の表情で固まってしまっている。やはり、国の外を知っているだけにそことの落差が衝撃になってしまっていたのだろう。

 既に日もとっぷりと暮れてしまっている。宵の口ではあるが、この時間から他の街に向けて動く者はいない。夜はモンスターが活性化する時間である。日が出ている時間ならばまだなんとか太刀打ち出来るかもしれないが、夜になれば人間よりもモンスターの方が有利になってしまう。それだけに、旅に慣れた者は夜に動くことはしない。


 翌朝、ロストガーデンを発ったパウエルたちは、そのままウエストエンドに向かっていた。ウィリアムもそうだが、リエットもこのまま旅に連れ出すわけにはいかなかったし、聖剣の鞘の捜索に行くにもウエストエンドに戻らなければ他の領地に向かうこともできない。

 御者台に座るはミリア。その隣に沙更も座るとエーベルが作り出した月のコンパスを手にとって覗く。すると月のコンパスは、静かに北東を指し示した。どうやら辺境伯の領地からは離れているらしい。

 それを見ていたのは荒野の狼の面々。馬車の中にいるリエットとウイリアムは月のコンパスが動いたことに気づいていないようだった。

「コンパスの方向的に他領だな。それも北側か…」

 辺境伯領の北側は、貧しい領地しかなく人も少ない。領主も男爵などの力が強くない家ばかり。辺境に近いだけに、モンスターも多く荒廃している場所であった。

 基本的に元シルバール王国は東側と南側は発展しているが、西側はウエストエンド以外は未発展の地域が多い。貴族も力を持っているのはフィリエス家位で、北の地は爵位も子爵が最大。力が強い貴族はいなかった。

 聖剣の鞘を探しに北の地に行くとなれば、カタリーナに話を通した方がなにかあった際に問題は少ないだろう。

 馬車で加速してウエストエンドまで駆け抜ける。道は狭いが、それでも通行量も少ないため加速したままで動く。そもそもかなり遠くまで沙更の探査魔法が探っているから、通常の馬車の三倍以上の速度を叩き出しつつも大丈夫だったりする。かなりの速度なのに、土の道にその跡を付けていないのは、エアウォークと重力軽減の魔法が同時に掛かっていることが大きい。付与魔法を二つ同時にかけること自体もかなりの高度な技であるのだが、沙更にとってはあっさりとこなしてしまうのは今までが今までだからと言えた。
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