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第4話 妖精との婚約
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僕は現在戦士宿舎で寝泊まりしている。リアとは同室だ。僕が部屋に帰るとリアは僕の姿を見るなり聞いてきた。
「カイ、おかえり!告白は上手くいったか?」
「うふふふふ、聞きたい?聞きたい?」
「そのリアクションで丸わかりだわ!よかったな!」
リアは僕に抱きついて祝福した。仕事にユーリを誘うついでに告白するのを提案してくれたのはリアだ。
ユーリは、驚くほどあっさりオッケーしてくれた。ユーリは僕から告白される可能性を店長のフレイから言われていたから、心積もりをしていたらしい。
「うふふ、結婚するって言ったときのユーリ、かわいかったな・・・」
僕はベットで枕を抱いてゴロゴロした。しばらくニヤニヤしてたが、ふと一つ懸念が浮かんだ。
「たださ、氷妖精と結婚する場合、あれどうしたらいいんだろ?」
「あれって?」
「その、今日さ、帰り道ユーリと手繋いだんだけどめちゃくちゃ冷たかったから・・・セックスできるのかなって」
今もユーリと繋いでいた手がヒリヒリする。
「たしかにどうするんだ・・・?ていうかそれわかんねーのにお前よく結婚なんて考えたな!」
「そうなんだけど、ユーリしか考えられなかったんだよ。」
「あ、そうだ、炎妖精の店長の旦那人間じゃん?あの夫婦に聞いてみればいいんじゃね?」
「ほんとだ。ていうか明日結婚の件で挨拶に行くんだった。店長ユーリの保護者だから。その時聞けばいいや。」
この時、僕は呑気に考えすぎていた。まさかあんな、身も蓋もない返事が帰ってくるとは・・・
炎妖精の店長から聞かされた、炎妖精と人間との性生活の実態は恐るべきものだった。
「ああ、その点気になるわよね。大丈夫よ。うちの旦那何回か死にかけたけど、死んでないから!」
僕は飲んでいた物を吹き出した。場所はお店のカウンターだ。まだ開店前でお客はいない。ユーリは買い出しに出かけている。店の中は店長と僕の二人だ。
「えっと、じゃあ、僕がユーリとセックスしたかったら、僕は凍死覚悟で頑張るしかないと・・・?」
「そういうことになるね。だけど、うちも結婚して20年経つけど、旦那は元気にしてるわよ。だからなんとかなるわ。」
「なんとかって・・・」
きっと、炎妖精とか、氷妖精は、いざというとき人肌になったりする方法があるんじゃないか、とか都合よく考えていた。しかし、何もなかったのだ!僕、大丈夫か!?さすがに不安になってきた。
「結婚、やめとくかい?今ならまだ間に合うよ。」
「・・・いえ、結婚は、します。」
「あら、いい返事だね。」
「ユーリのこと、好きなので・・・」
その気持ちに変わりはなかったし、ユーリと結婚を取りやめたところで他の女に興味なんてもてない。だったらこのまま結婚でいいと思った。
「まあ、ユーリはあの通りまだまだ子供っぽいところがあるし、セックスがなくても怒ったりはしないよ。気持ちだけで繋がって仲良く過ごしても、いいんじゃないかい?」
「そうですね。」
「ただ、あんた、あたしの旦那と同類のような気がするんだけどな・・・」
「え?」
「あ!カイ!夜来るんじゃなかったの?」
ユーリが買い出しから帰ってきた。今日は夜ここに来る予定だったのだが、店長とだけで話したくなって急遽朝尋ねたのだ。この話題、ユーリの前ではしにくいし。
「僕このあと戦闘訓練なんだ。また夜もう一回来るね。」
「うん、待ってるね!」
ユーリが僕を見つめる目は、キラキラしていてとてもかわいかった。僕はもう、それだけでいいと思った。
そう思っていたのは、今思えばこの時だけだった。店長の勘は、当たっていたのだ。
「カイ、おかえり!告白は上手くいったか?」
「うふふふふ、聞きたい?聞きたい?」
「そのリアクションで丸わかりだわ!よかったな!」
リアは僕に抱きついて祝福した。仕事にユーリを誘うついでに告白するのを提案してくれたのはリアだ。
ユーリは、驚くほどあっさりオッケーしてくれた。ユーリは僕から告白される可能性を店長のフレイから言われていたから、心積もりをしていたらしい。
「うふふ、結婚するって言ったときのユーリ、かわいかったな・・・」
僕はベットで枕を抱いてゴロゴロした。しばらくニヤニヤしてたが、ふと一つ懸念が浮かんだ。
「たださ、氷妖精と結婚する場合、あれどうしたらいいんだろ?」
「あれって?」
「その、今日さ、帰り道ユーリと手繋いだんだけどめちゃくちゃ冷たかったから・・・セックスできるのかなって」
今もユーリと繋いでいた手がヒリヒリする。
「たしかにどうするんだ・・・?ていうかそれわかんねーのにお前よく結婚なんて考えたな!」
「そうなんだけど、ユーリしか考えられなかったんだよ。」
「あ、そうだ、炎妖精の店長の旦那人間じゃん?あの夫婦に聞いてみればいいんじゃね?」
「ほんとだ。ていうか明日結婚の件で挨拶に行くんだった。店長ユーリの保護者だから。その時聞けばいいや。」
この時、僕は呑気に考えすぎていた。まさかあんな、身も蓋もない返事が帰ってくるとは・・・
炎妖精の店長から聞かされた、炎妖精と人間との性生活の実態は恐るべきものだった。
「ああ、その点気になるわよね。大丈夫よ。うちの旦那何回か死にかけたけど、死んでないから!」
僕は飲んでいた物を吹き出した。場所はお店のカウンターだ。まだ開店前でお客はいない。ユーリは買い出しに出かけている。店の中は店長と僕の二人だ。
「えっと、じゃあ、僕がユーリとセックスしたかったら、僕は凍死覚悟で頑張るしかないと・・・?」
「そういうことになるね。だけど、うちも結婚して20年経つけど、旦那は元気にしてるわよ。だからなんとかなるわ。」
「なんとかって・・・」
きっと、炎妖精とか、氷妖精は、いざというとき人肌になったりする方法があるんじゃないか、とか都合よく考えていた。しかし、何もなかったのだ!僕、大丈夫か!?さすがに不安になってきた。
「結婚、やめとくかい?今ならまだ間に合うよ。」
「・・・いえ、結婚は、します。」
「あら、いい返事だね。」
「ユーリのこと、好きなので・・・」
その気持ちに変わりはなかったし、ユーリと結婚を取りやめたところで他の女に興味なんてもてない。だったらこのまま結婚でいいと思った。
「まあ、ユーリはあの通りまだまだ子供っぽいところがあるし、セックスがなくても怒ったりはしないよ。気持ちだけで繋がって仲良く過ごしても、いいんじゃないかい?」
「そうですね。」
「ただ、あんた、あたしの旦那と同類のような気がするんだけどな・・・」
「え?」
「あ!カイ!夜来るんじゃなかったの?」
ユーリが買い出しから帰ってきた。今日は夜ここに来る予定だったのだが、店長とだけで話したくなって急遽朝尋ねたのだ。この話題、ユーリの前ではしにくいし。
「僕このあと戦闘訓練なんだ。また夜もう一回来るね。」
「うん、待ってるね!」
ユーリが僕を見つめる目は、キラキラしていてとてもかわいかった。僕はもう、それだけでいいと思った。
そう思っていたのは、今思えばこの時だけだった。店長の勘は、当たっていたのだ。
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