私が生きるゾンビ世界

春紗

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第二話 今日の朝

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季節は夏。太陽が登り6:00に起動する。カーテンを開け日差しを入れる。窓から見える風景は変わらない。パジャマからいつもの服に着替えて白い髪を整える。準備が終わったら部屋を出て雨戸をすべて開きていく次に朝ご飯を作るためにキッチンへと向かう。米を炊き味噌汁を作る。我が家では赤出汁使ってワカメやとうふをいれる。おかずとして甘めの卵焼きとこんがり鮭を焼くご飯のお供に自家製きゅうりの漬物と緑茶を置くテーブルに並べてこれで完成。熱々でご飯の香りがリビングに空腹を広める。(たぶん)後は、食べる本人が来るまで…
7:00には完成したが本人はすぐに来ない。10分経っても来ないので起こしに行く。
「はーーーかーーーせーーー」
階段の下で叫ぶが起きてくる気配がない。
階段を登り部屋の扉を開ける。
ドン…
「朝です…起きてください」
本人は今もなお布団の中で眠っていた。こんなだらしなく一人じゃ何もできないような人間だが…
「博士起きてください」
「マリ…もう…ちよっと…」
「朝です」
揺らしたり布団を剥ぎ取るがパッとは起きない。
ベッドの棚に置いてあった目覚まし時計は床に落とされている。丈夫な目覚まし時計じゃないと今頃壊れていただろうな。
「む~り~」
「朝ご飯冷めますよ…さっさと起きろ」
「うぅ…」
自分でシャキッと起きないのでベッドから落とし服を脱がせ着替えさせる。髪を整え洗面所に連れていくそこからは目が覚めてきているので一人でやらせる。
その間にもう一度ご飯を温めておく。
「…いただきます」
博士はご飯を食べる。私はご飯を食べることができない。それは私がロボットだからだ。
「マリーのご飯おいしい」
食べている姿を眺める。これは私の日課だ。ご飯を食べれなくても問題はない。博士の顔を見ているだけで十分で、ご飯を食べないものの特権。
「そうですか」
「そうだ~よ~」
半分寝ぼけ眼で言うこの人。こう見えて私であるマリーを作った天才美人博士(自称)である。年齢不明。特徴は髪が一部白い所。性格だらしない。博士という肩書きを取ったらただの無職引きこもり野郎だ。
「マリー…今日の天気は…」
「今日の天気は快晴…現在の気温は22℃…降水確率は10%…湿度は45%…風速は3km/hです」
「家でゴロゴロしよう…」
じー
博士は視線を感じたのか…
「ごほん…今日は研究室で実験…」
と言い換えた。
「後片付けもしてくださいね」
「は~い」
でも、結局いつもどおり自分で後片付けができないだろうな。これも、私の日課になっている。
「ごちそうさまでした」
食べ終わると歯を磨きに行く。その間に食器を洗いまとめていく。
「いってきま~す」
「いってらっしゃいませ」
その後博士は研究室に向かう。と言っても、遠いわけではない。少し離れた場所にあるが敷地内にある。失敗しても建物が吹き飛んでも問題ないように離れた場所に作られている。今までも何回か建物を吹き飛ばしていたけど…
博士がいない間に私は家事をする。掃除機を隅々までかける。次に雑巾で拭く、キッチンの所はとにかく細かく丁寧にする。油汚れはタオルを濡らしレンジで温める。その上からクレンジングオイルと食器用洗剤を混ぜたものをなじませ、酸素系漂白剤をつけ蒸気で温めると汚れを取り除いていく。他にも多くのやり方でキッチンを清潔感保てる場所にする。次に、洗濯物を干していく。中の服はほとんどが博士の物だ。すぐに服を汚してしまう。日中に干すので洗濯物はふわっとなる。これで、家事は終わった。
「ちょっと休憩」
5分後…
休憩した後は外に向かう。敷地内には畑があるのでそこで、作物をとったりする。ここでは、人参やキャベツ、きゅうりなどだいたいの野菜はすべて揃っている。なので、スーパーなど敷地の外に行くことはお菓子が無くなったときや博士の気まぐれ(そう簡単にない)などだ。
「今日は…ニンジンのポタージュ」
野菜を取りながら今日の昼ご飯と晩御飯を決めていく。野菜が多めに収穫できたので野菜中心の料理にする。脳内でコッコパッドを使い調べていく…決まった。
お昼ご飯は冷やし中華にする。
だけど普通の冷やし中華より野菜を多めに入れヘルシーなメニューへと変えていく。鶏肉は塩をひとつまみ入れたお湯で茹でる。その間にトマト、きゅうり、人参、オクラを切る。ついでにコーンの缶を追加する。鶏肉は冷めるまで待ち冷めたら手で割いていく。博士は大きめが好きなので大きめに割っていく。最後、味付けにごま油などを入れる。そして、隠し味にマヨネーズを入れると完成だ。飲み物はキンキンに冷えた麦茶。冷やし中華と混ざり変な味にならないように選ぶ。博士は海苔が好きなのでそうめんみたいにのりを付け加える。これで、完成だ。お昼の時間になると朝の時とは違いすぐに来る。
「ただいま…お・昼・ご・は・ん」
「完成しています」
「いただきます」
この時も博士の食べている姿を眺める。私はご飯を食べることはできないので美味しいのか味付けが合っているのかはわからない。でも…
「マリーが作るご飯は美味しいね」
と笑顔で言ってくれるので嬉しい。別に食べ物に興味はない。食べてみたいとは思わない。この人間のご飯を食べている瞬間が興味がある。
「シャキシャキしておいしい…酸味もあってうまい」
マヨネーズがいい隠し味になっているようだ。
「ごちそうさまでした」
食べ終わったので食器を洗う。博士はソファーに座りテレビを見ている。この時間はアニメを見る。博士はアニメが特に好きだ。昔は推し(?)がいてオタクだったらしい。私も片付けが終わったら隣に座り見る。感情表現は苦手だが…ロボットには難しい話だがアニメの技術は凄いと思う。
2時になった。
「…散歩に行きますよ」
「は~い」
この時間は散歩に行く。敷地内を周り様子を見ながら行く。主に、柵や塀が壊れていないかを確認する。
高い…高い塀の向こう側からは声がする。苦しみの声なのか…怒りの声なのか…わからないけど向こう側からは声が聞こえ続けている。
「柵や塀には異常ありません」
「よかった」
博士は安心したようにつぶやいた。
昔博士は敷地の外は地獄だと言った。敷地内でしか幸せはない。もし、柵や塀が壊れていたら…こんな日常はもう戻ってこないだろう。博士の話では、世界は今と違い平凡な世界があったようだ。でも、違う。そんな世界になっても博士にとっては幸せではなかったようだ。今の方が幸せだと言っていた。それが良いことなのかはわからない。私には平凡と幸せがどう異なるのかどう感じるのかはわからない。
「私は生きている」
博士は毎日呟く。私に言っているのか、誰かに伝えているのかはわからない。
「私も生きています」
私が言えるのはこれだけ。
「マリー今日のおやつはなぁに」
「何にしましょうか」
「ポテチ作ってよ」
「太りますよ」
これが、今日の朝。日常。
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