サンスクミ〜学園のアイドルと偶然同じバイト先になったら俺を3度も振った美少女までついてきた〜

野谷 海

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第1部 夏

番外編 【黒兎の誘惑】




 恥ずかしながら、俺は欲求不満だった。いきなり何を言っているんだと思われるかもしれないが、この夏、様々な美女たちと触れ合ったことが、年頃の俺の体に大きな負担をかけてしまっていたのだろう。

 これをどう解決しようか悩んでいたそんな時、バニーガールのお姉さんからメールが届いた。風香さんからは、あの後も数日おきになぜか連絡が来る。なんなら俺が今一番頻繁に連絡を取り合っている人なのだ。会話の内容は、「今日何食べたの?」とか「バイト頑張ってね」とか、当たり障りのないことばかりだ。今届いたのも「ここのケーキおいしいよ」という、写真付きのメールだった。せっかくなので俺は冗談半分に相談してみた。
 
 ただ一言、「欲求不満です」と。

 するとすぐに、今度は電話がかかってきた。その第一声は、「お姉さんに何して欲しいの?」という囁くような声だった。

「風香さん、高校生には刺激強すぎです」

「ごめんごめん。余計に溜まっちゃった?」

「大人の階段を三段飛ばしした気分です」

「じゃあせっかくだし、もう一段、上ってみる?」


 風香さんに呼ばれた駅前のビルへやってくると、黒服のお兄さん達が入り口付近で煙草を吸っていた。中に入ろうとすると、もちろん止められる。
「君、いくつ?  まだ君にはここは少し早いかも。それにまだ営業時間前だから」

 なんと返そうか困っていたら、エレベーターからバニー姿の風香さんが降りてきて、「この子、私のお客さんだから大丈夫だよ」と告げると、お兄さんは快く通してくれた。

 まだ夕方だというのに薄暗い店内は、黒い兎の姿をした綺麗なお姉さんが沢山いて、天国と見間違える程だった。「その子が風香の彼氏~?」と、その中の一人が尋ねる。

「そう、可愛いでしょ?」

「え?  風香さんこれは?」

「冗談だから。なに本気にしてるの?」
服も黒けりゃ腹も黒いのかと思った。子供だと思ってバカにしやがって……。


 カウンター席に座るよう促された俺は、肩身が狭い思いでちょこんと腰掛ける。
「何飲む?  もちろんジュースだけど」

「じゃあ、コーラで……」

 カウンターの視線の高さがちょうど真ん前に立つ風香さんの豊満な胸と同じだった。
「あの、なにか上着着てもらってもいいっすか?  ガン見しちゃいます」

「これは見てもいいんだよ。わざと見せてんだから。こういうのに慣れてない男はすぐ浮気するからね」

「こういうのに慣れるのも問題があるのでは?」

「まぁ社会に出たら、付き合いとか色々あんの。もし浮気して姫華泣かせたらチンコ切るからね」

「冗談に聞こえないんすけど。それに付き合ってないし」

「だってこれは冗談じゃないし」

「え……」
とんでもなく恐ろしいことをボソッと言われた気がするが、一旦忘れることにした。

 
 形だけの乾杯を終えると、身の上話になった。
「私、弟も欲しかったんだよね。姫華は昔から大人しかったから……。だから青嶋君が可愛くってちょっかいかけたくなるんだ」

「それは、光栄です……。俺も姉がいないんで、なんか新鮮です」

「今度からお姉ちゃんって呼んでもいいよ?」

「気が向いたら、そうさせてもらいます……」

 この人はきっと、男を手玉に取る特殊訓練を受けている。大人の女性はみんなこんなにもレベルが高いのだとしたら、俺は大人になるのが少し怖くなった。
 

「青嶋君は、どんな女の子がタイプなの?」

「なんですかいきなり」

「こういう話がスムーズかつスマートに出来る男の方がモテるから、練習させてあげようと思ってね」

「……最初は、やっぱ見た目から入っちゃいます」

「正直でよろしい」

「でも仲良くなって、自分の知らない一面が見えた時に、ドキッとすることが多い気がします」

「君は今、誰を思い浮かべてる?」

「秘密です……」

「もしかして私?」
今まで散々小浦には勝てないと思ってきたけど、最近突然現れたもう一人の強敵が、俺の前で不敵な笑みを浮かべていた。

 
 


⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

あとがき。

ここまで『サンスクミ』をご愛読下さいまして、本当にありがとうございます。

この番外編をもちまして、第1部『夏』が終了となります。この物語は3部構成となっておりますので、第1部ではキャラクターの魅力や個性などが皆様に伝わればいいなぁと思って書いていました。これからの第2部ではストーリーにも力を入れて執筆しておりますので、ご期待下さい。

この物語が今後どうなっていくのか気になる、ここまで面白かった、と、思ってくれた方はぜひ評価や小説のお気に入りなど、気が向いたらお願いします。皆様からアクションを頂けるたび、私は毎度飛び上がって喜んでいます。

必ず完結まで書き上げると、皆様にここでお約束しますので、今後とも『サンスクミ』をどうか宜しくお願い致します。
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