サンスクミ〜学園のアイドルと偶然同じバイト先になったら俺を3度も振った美少女までついてきた〜

野谷 海

文字の大きさ
36 / 72
第2部 新学期

番外編 【神のみぞ知る…】



 これは修学旅行中、とある神社で舞が泣き出してしまってから30分間のお話。


「もしこれで青嶋くんとの縁が切れちゃったらどうしよう……」

「大丈夫よ舞、神様はきっとそんな意地悪しないわ。こんな場合はどうしたらいいか、神社の関係者の人に聞いてみましょう?」

「分かった……」

「一人で立てる?」

「うん……」


 舞と姫華は、ほうきで境内を掃いていた神社関係者であろう60代くらいの男性に声をかけた。
「すみません、実は――」

 姫華が事情を話すと、涙を流す舞を見た男性は諭すように笑顔で答える。

「お嬢ちゃん、よほどその人が好きなんだね。少しやり方を間違えたくらいでそんなに思い悩むことなんてないさ……またやり直せばいいんだよ。それに、君がその人をそれほど強く想っているのなら、その縁は簡単には切れやしないと私は思うよ」

「でも……さっきとは願いが違うから、神様になんだこいつって思われたらどうしよう……」

「神様だって一日に数え切れないほどの人の願いを聞いているんだから、全部を覚えてなんていないさ。あ、これは私の立場では言っちゃまずかったかな……?」
 
 この男性の冗談に、姫華と舞は笑顔を見せた。
 
「ありがとうございました。……舞、やり直しに行きましょう? 私も一緒に祈るから」

「ありがとう姫……」

「君たちに良縁があることを、私も願っているよ……」


 男性に言われた通り再度やり直した舞だったが、将と顔を合わせるのはまだ気まずかった。
 
「どんな顔して戻ればいいんだろう……急に泣き出して変な子だって思われてないかな?」

「青嶋君も石子君もいい人だから、きっと大丈夫よ」

「でも、やっぱり気まずいなぁ……」

「じゃあ気分転換に、あの恋みくじってやつを引いてみない?」

 姫華の提案に舞は少しだけ元気を取り戻したようにも見えたが、これが舞をさらに追い詰めることになるとは、まさに神のみぞ知る……といった出来事だった。

「え……」

 舞が引いた恋みくじの結果は、まさかの『凶』だった。そのポップでラブリーな色合いの紙には相応しくない言葉の羅列は、舞の残り少ないHPを限界にまで削り切った。

「まさか、本当にこんなのが入っているなんて……。ごめんなさい、私が変なこと言ったから……」 

「うわぁ……波乱の予感。待ち人来ず。切り替えなさい。だってぇ……ははは……」

 舞の目は、光を失い虚ろだった。焦点もどこにも合ってはいない。その姿に姫華は目も当てられなかった。またあの男性に相談しようと姫華はひとり彼を探しに向かったが見つからない。おみくじを売っていた巫女さんに男性の場所を尋ねたが、思いがけない返答が返ってくる。

「申し訳ありません。当神社には男性の職員はおりませんが……」

 そんな筈はない。確かに神職の人間しか着ないような衣服で境内を掃除していたのだ。職員でない筈がない。そう伝えたが、巫女さんは不思議そうな表情を浮かべるだけだった。

 姫華は何度も脳内で状況を整理したが、納得できる答えが得られないまま、舞の元へと戻った。

「おじさん見つかった……?」

「いいえ、いなかったわ。でも巫女さんからおみくじをどうすればいいか聞いてきたから……」

 姫華は舞にこれ以上余計な混乱を与えない為に、この事実は伏せた。

「ここに括ればいいんだよね?」

「ええ、それできっと大丈夫」

 2人は巫女さんに言われた通り、おみくじを柱に括り付けると、手を合わせた。

「そう言えば、姫はおみくじの結果はどうだったの?」

「……」
バツの悪そうな表情を浮かべ押し黙る姫華。

「気にしないから大丈夫だよ?」

「大吉……」

「すごいじゃん!   なんて書いてあったの?」

「近いうち良縁にめぐり合うでしょう……って」

「もしかして、姫華についに彼氏が出来るのかなぁ。本当にそうなったらさ、いつかダブルデートとかしたいね……」

「……そうね。その、私だけ、ごめんなさい」

「あたしにとっては、姫の幸せだって自分のことみたいに嬉しいんだよ?   2人で悪い結果じゃなくて良かったよ」

「舞……」

「そろそろ戻ろう?   あたしはもう大丈夫だから……」

 将たちの元へ戻る途中、姫華はとある絵馬を目にする。そこには先ほど出会ったあの老人と瓜二つの男性が描かれていた。もしかして、あの人は神様本人だったのではないか……一瞬そうも思ったが、そんな訳ないと考えを改める。でもこの不思議な出来事は、自分の心の中だけに秘めておこうと思った姫華だった。

 

 
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

マカロニ
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが

akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。 毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。 そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。 数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。 平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、 幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。 笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。 気づけば心を奪われる―― 幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!

恋人、はじめました。

桜庭かなめ
恋愛
 紙透明斗のクラスには、青山氷織という女子生徒がいる。才色兼備な氷織は男子中心にたくさん告白されているが、全て断っている。クールで笑顔を全然見せないことや銀髪であること。「氷織」という名前から『絶対零嬢』と呼ぶ人も。  明斗は半年ほど前に一目惚れしてから、氷織に恋心を抱き続けている。しかし、フラれるかもしれないと恐れ、告白できずにいた。  ある春の日の放課後。ゴミを散らしてしまう氷織を見つけ、明斗は彼女のことを助ける。その際、明斗は勇気を出して氷織に告白する。 「これまでの告白とは違い、胸がほんのり温かくなりました。好意からかは分かりませんが。断る気にはなれません」 「……それなら、俺とお試しで付き合ってみるのはどうだろう?」  明斗からのそんな提案を氷織が受け入れ、2人のお試しの恋人関係が始まった。  一緒にお昼ご飯を食べたり、放課後デートしたり、氷織が明斗のバイト先に来たり、お互いの家に行ったり。そんな日々を重ねるうちに、距離が縮み、氷織の表情も少しずつ豊かになっていく。告白、そして、お試しの恋人関係から始まる甘くて爽やかな学園青春ラブコメディ!  ※特別編9が完結しました!(2026.3.6)  ※小説家になろう(N6867GW)、カクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想などお待ちしています。

陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件

暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!

【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません

竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──

みんなの女神サマは最強ヤンキーに甘く壊される

けるたん
青春
「ほんと胸がニセモノで良かったな。貧乳バンザイ!」 「離して洋子! じゃなきゃあのバカの頭をかち割れないっ!」 「お、落ちついてメイちゃんっ!? そんなバットで殴ったら死んじゃう!? オオカミくんが死んじゃうよ!?」 県立森実高校には2人の美の「女神」がいる。 頭脳明晰、容姿端麗、誰に対しても優しい聖女のような性格に、誰もが憧れる生徒会長と、天は二物を与えずという言葉に真正面から喧嘩を売って完膚なきまでに完勝している完全無敵の双子姉妹。 その名も『古羊姉妹』 本来であれば彼女の視界にすら入らないはずの少年Bである大神士狼のようなロマンティックゲス野郎とは、縁もゆかりもない女の子のはずだった。 ――士狼が彼女たちを不審者から助ける、その日までは。 そして『その日』は突然やってきた。 ある日、夜遊びで帰りが遅くなった士狼が急いで家へ帰ろうとすると、古羊姉妹がナイフを持った不審者に襲われている場面に遭遇したのだ。 助け出そうと駆け出すも、古羊姉妹の妹君である『古羊洋子』は助けることに成功したが、姉君であり『古羊芽衣』は不審者に胸元をザックリ斬りつけられてしまう。 何とか不審者を撃退し、急いで応急処置をしようと士狼は芽衣の身体を抱き上げた……その時だった! ――彼女の胸元から冗談みたいにバカデカい胸パッドが転げ落ちたのは。 そう、彼女は嘘で塗り固められた虚乳(きょにゅう)の持ち主だったのだ! 意識を取り戻した芽衣(Aカップ)は【乙女の秘密】を知られたことに発狂し、士狼を亡き者にするべく、その場で士狼に襲い掛かる。 士狼は洋子の協力もあり、何とか逃げることには成功するが翌日、芽衣の策略にハマり生徒会に強制入部させられる事に。 こうして古羊芽衣の無理難題を解決する大神士狼の受難の日々が始まった。 が、この時の古羊姉妹はまだ知らなかったのだ。 彼の蜂蜜のように甘い優しさが自分たち姉妹をどんどん狂わせていくことに。 ※【カクヨム】にて編掲載中。【ネオページ】にて序盤のみお試し掲載中。【Nolaノベル】【Tales】にて完全版を公開中。 イラスト担当:さんさん

春から一緒に暮らすことになったいとこたちは露出癖があるせいで僕に色々と見せてくる

釧路太郎
キャラ文芸
僕には露出狂のいとこが三人いる。 他の人にはわからないように僕だけに下着をチラ見せしてくるのだが、他の人はその秘密を誰も知らない。 そんな三人のいとこたちとの共同生活が始まるのだが、僕は何事もなく生活していくことが出来るのか。 三姉妹の長女前田沙緒莉は大学一年生。次女の前田陽香は高校一年生。三女の前田真弓は中学一年生。 新生活に向けたスタートは始まったばかりなのだ。   この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」にも投稿しています。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。