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第8話 ぼっちはクラスのグループを知らない
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「夕奈は可愛いと言うより、綺麗なタイプだからね。そういう人はむしろ落ち着く」
「……はっ?! 私は今まで何を……」
唯斗のその一言で、一度野に放たれた魂が体へと戻ってきてくれた。危ない危ない、もう少しで召されるところだった。
……っていうか、今私のこと褒めた? 褒めたよね! 綺麗な女だって褒めてくれましたよね?!
「なんだ、唯斗君に嫌われてるのかと思ったよー♪」
「前は嫌ってたけどね。カイロくれたから嫌いじゃないに昇格した」
「ず、随分と安上がりな昇格試験だったんだね……」
「温もりは僕にとって2番目に大事なものだからね」
「まあ、よく分からんがとにかくよし! じゃあ、唯斗君に認められた記念としてパーッと遊びに行っちゃう?」
「あ、そういうのいいから」
「……」
キッパリと断られたことで、さすがの夕奈も胸がチクリと痛んだ。そこまで拒絶しなくてもいいのに……酷い男だよ、まったく!
「夕奈はもっと口数減らした方がいいと思うよ。その方が絶対モテる」
「アドバイスどうも! まあ、言われずともモテモテですけどねー!」
「へぇ、そうなんだ」
唯斗は教科書のページをめくりながら、話半分に返事をする。もはやここまで来れば、夕奈に勉強の意思がないことは明白。
時間を無駄にしないためにも、話には適当に返事をしておいて、復習をしようという算段だ。
「二年生になってからもう6回?いや、7回は告白されたってけなー?」
「なのに放課後に遊びに行かないんだね。彼氏に振られたの?」
「違いますけど?! 全員断ったんだし!」
「へぇ、そうなんだ」
返事の仕方がまずかったのか、夕奈は不満そうに眉をひそめた。
「……興味無さそうだね」
「まあね」
「少しはあるでしょ?」
「無いね」
「……ミリも?」
「じゃあ、逆に聞くけど好きな人いるの?」
「へっ?! そ、それは……」
「いないんでしょ?じゃあ、この話しても無駄じゃん」
唯斗がそう言うと、彼女はしばらくもがき苦しむアザラシみたいな声を発した後、「い、居ないわけじゃないし……」と呟いた。
「そりゃよかった」
「ってもう話聞いてないよね?!」
……バレたか。なんとかこれで凌げると思ったんだけどなぁ。どうせ、どこまで聞いても一緒のような内容の話だったし。
唯斗は小さくため息をつくと、出していたペンや教科書を片付けて椅子から立ち上がる。
「え、帰るの?」
「今日は集中できなさそうだからね。明後日の休みに図書館でも行こうよ。その方が黙れるでしょ」
「どうしても黙らせたいと言うわけだね?」
「うん、出来れば永遠に喋らないで欲しい」
「……なんか、酷くない?」
勉強を教えて欲しいと言い出したのは夕奈の方だ。シュークリームという報酬を約束された以上、こちらも手を抜くことは出来ない。
唯斗の中あるのは、そういう責任感のようなものなのだ。
「無理だったら連絡して、それなら報酬もいらないから」
そう言って帰ろうとする彼を、夕奈は「待ってよ!」と引き止める。面倒くさそうに振り返った唯斗へ、彼女はとある質問を投げかけた。
「連絡って……どうやって?」
夕奈は唯斗のRINEを知らない。おまけに言えば、このクラスの誰も彼のアカウントの存在を知らないのである。
「そもそも、唯斗君ってクラスのグループにいたっけ?」
「……じゃあ、自力で頑張って」
「見捨てないでくだせぇぇぇぇ!」
「だって、どうしようもないじゃん」
「唯斗君がアカウントを教えてくれたらいいだけだし!」
「怪しい人に教えるのはちょっと」
「誰が不審者やねん!」
夕奈はハリセンでペチンと唯斗の肩を叩くと、自分のポケットからスマホを取り出して、何度が操作したあとの画面を彼に見せた。
「これが私のIDだから!今すぐに追加して!」
「……するフリじゃダメ?」
「ダメに決まってんだろ」
ついにスーパーパリピの本性を表したらしい。何度も急かすという精神攻撃で僕を言う通りに操ると、強制的にIDの交換とやらをさせられてしまった。
唯斗は『新しい友達』という欄に現れた、やけに加工の激しい自撮り画像を遠い目で眺めると、スっと横にスワイプする。
「何ブロックしようとしてんの?!」
「いや、邪魔だなと思って」
「それはさすがに怒るよ?」
「あ、怒ってるところ見てみたい」
「はい、じゃあ怒りまーす!……ってできるか!とにかく、ブロックだけはしないで!」
「じゃあ、アプリ消す」
「やめて?!」
結局2人は、『テストが終わるまではブロックしないし、アプリも残す』という約束をしたのである。
そして唯斗が帰った後の教室、一人残った夕奈は画面に増えた新たなアイコンを見つめながら呟いた。
「……連絡先ゲット……ふふふ」
「……はっ?! 私は今まで何を……」
唯斗のその一言で、一度野に放たれた魂が体へと戻ってきてくれた。危ない危ない、もう少しで召されるところだった。
……っていうか、今私のこと褒めた? 褒めたよね! 綺麗な女だって褒めてくれましたよね?!
「なんだ、唯斗君に嫌われてるのかと思ったよー♪」
「前は嫌ってたけどね。カイロくれたから嫌いじゃないに昇格した」
「ず、随分と安上がりな昇格試験だったんだね……」
「温もりは僕にとって2番目に大事なものだからね」
「まあ、よく分からんがとにかくよし! じゃあ、唯斗君に認められた記念としてパーッと遊びに行っちゃう?」
「あ、そういうのいいから」
「……」
キッパリと断られたことで、さすがの夕奈も胸がチクリと痛んだ。そこまで拒絶しなくてもいいのに……酷い男だよ、まったく!
「夕奈はもっと口数減らした方がいいと思うよ。その方が絶対モテる」
「アドバイスどうも! まあ、言われずともモテモテですけどねー!」
「へぇ、そうなんだ」
唯斗は教科書のページをめくりながら、話半分に返事をする。もはやここまで来れば、夕奈に勉強の意思がないことは明白。
時間を無駄にしないためにも、話には適当に返事をしておいて、復習をしようという算段だ。
「二年生になってからもう6回?いや、7回は告白されたってけなー?」
「なのに放課後に遊びに行かないんだね。彼氏に振られたの?」
「違いますけど?! 全員断ったんだし!」
「へぇ、そうなんだ」
返事の仕方がまずかったのか、夕奈は不満そうに眉をひそめた。
「……興味無さそうだね」
「まあね」
「少しはあるでしょ?」
「無いね」
「……ミリも?」
「じゃあ、逆に聞くけど好きな人いるの?」
「へっ?! そ、それは……」
「いないんでしょ?じゃあ、この話しても無駄じゃん」
唯斗がそう言うと、彼女はしばらくもがき苦しむアザラシみたいな声を発した後、「い、居ないわけじゃないし……」と呟いた。
「そりゃよかった」
「ってもう話聞いてないよね?!」
……バレたか。なんとかこれで凌げると思ったんだけどなぁ。どうせ、どこまで聞いても一緒のような内容の話だったし。
唯斗は小さくため息をつくと、出していたペンや教科書を片付けて椅子から立ち上がる。
「え、帰るの?」
「今日は集中できなさそうだからね。明後日の休みに図書館でも行こうよ。その方が黙れるでしょ」
「どうしても黙らせたいと言うわけだね?」
「うん、出来れば永遠に喋らないで欲しい」
「……なんか、酷くない?」
勉強を教えて欲しいと言い出したのは夕奈の方だ。シュークリームという報酬を約束された以上、こちらも手を抜くことは出来ない。
唯斗の中あるのは、そういう責任感のようなものなのだ。
「無理だったら連絡して、それなら報酬もいらないから」
そう言って帰ろうとする彼を、夕奈は「待ってよ!」と引き止める。面倒くさそうに振り返った唯斗へ、彼女はとある質問を投げかけた。
「連絡って……どうやって?」
夕奈は唯斗のRINEを知らない。おまけに言えば、このクラスの誰も彼のアカウントの存在を知らないのである。
「そもそも、唯斗君ってクラスのグループにいたっけ?」
「……じゃあ、自力で頑張って」
「見捨てないでくだせぇぇぇぇ!」
「だって、どうしようもないじゃん」
「唯斗君がアカウントを教えてくれたらいいだけだし!」
「怪しい人に教えるのはちょっと」
「誰が不審者やねん!」
夕奈はハリセンでペチンと唯斗の肩を叩くと、自分のポケットからスマホを取り出して、何度が操作したあとの画面を彼に見せた。
「これが私のIDだから!今すぐに追加して!」
「……するフリじゃダメ?」
「ダメに決まってんだろ」
ついにスーパーパリピの本性を表したらしい。何度も急かすという精神攻撃で僕を言う通りに操ると、強制的にIDの交換とやらをさせられてしまった。
唯斗は『新しい友達』という欄に現れた、やけに加工の激しい自撮り画像を遠い目で眺めると、スっと横にスワイプする。
「何ブロックしようとしてんの?!」
「いや、邪魔だなと思って」
「それはさすがに怒るよ?」
「あ、怒ってるところ見てみたい」
「はい、じゃあ怒りまーす!……ってできるか!とにかく、ブロックだけはしないで!」
「じゃあ、アプリ消す」
「やめて?!」
結局2人は、『テストが終わるまではブロックしないし、アプリも残す』という約束をしたのである。
そして唯斗が帰った後の教室、一人残った夕奈は画面に増えた新たなアイコンを見つめながら呟いた。
「……連絡先ゲット……ふふふ」
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