17 / 63
第17話 奇跡と呪い
しおりを挟む
今日、今年三度目の席替えが行われた。
ついにこの机くんともお別れか……と思ったものの、くじで引き当てたのはまたも窓際最後列。
神に感謝の言葉を叫びたくなる気持ちを堪えるのもつかの間、唯斗はちらりと隣の席に腰掛けた人物を見て、神は死んだことを確信した。
「奇跡……だね♪」
「呪いの間違いだよ」
夏休みが来るまで、唯斗はずっとこの歩く騒音機から逃れられないらしい。彼女の友人3人が、こちらを振り返ってニヤニヤと笑っているのが見えた。
==================================
「夕奈ちゃん、嬉しそうだね~♪」
「そ、そんなことないし!」
「嘘つかなくてもいいぞー?小田原の隣で喜んでるくせに」
帰路の途中、クールな見た目の瑞希 玲と服装も口調もユルユルな雪月 風花が、夕奈の頬を両サイドからツンツンとしていた。
「もー!マルちゃん助けて!」
「断る」
「あっさり?!」
淡々とした口調で『ウケる』『わかる』『それな』のを使いこなすThe JKの今子 こまるは、スマホをいじりながらふいっと顔を背ける。
見捨てられた夕奈はガックシと肩を落とし、再度ツンツン攻撃を受けることになった。
「夕奈、好きなんだろ?小田原のこと」
「べ、別に!」
「あっそ。なら、私が手出しちまうぞ?」
「ダメダメダメ!そんなことしたら……瑞希の大事にしてるブーツ捨てるから!」
「あ、縁切るとかじゃないんだな」
「一線越えたら縁切る!」
「一線ってどこだ?」
「そりゃ、ねぇ……?」
ごにょごにょと照れ始める夕奈に、瑞希が「エッチか?」と聞くと、彼女は小さく頷いて両手で顔を隠した。
「……そうやってりゃ可愛いのにな」
「ほんとその通りよね~♪」
「わかる」
「誰の顔が隠した方がマシって言うんや!」
「そういう意味じゃねぇよ」
瑞希にコツンと脳天を叩かれ、まるで相手を格上と認めた野犬のように大人しくなる夕奈。
この3人、突発的でない暴走なら止められるほどの、彼女にとって良き理解者なのだ。
「お前には落ち着きが必要だな。話してみた感じ、小田原も落ち着いた女が好きらしいし」
「……確かにそんなこと言ってた」
「夕奈ちゃんも大人なレディーになってみれば~?」
そう言われて度なしの黒縁メガネを手渡された夕奈は、3人の顔を順番に見てから、おそるおそるメガネを装着した。
「こりゃ行けるな」
「落ち着いてるように見えるわ~♪」
「それな」
みんなの反応で自信がついたのか、夕奈はグッと拳を握りしめて歩いてきた道を引き返し始める。
「どこ行くんだ?」
「唯斗君、寝てたからまだ学校に残ってるはず。すぐに見せてくゆ!」
「頑張って~♪」
「いってら」
勇ましささえ感じる堂々とした歩みの彼女の背中を、見えなくなるまで眺めた3人は、「それじゃ行きますか」という瑞希の一言で学校へ向けて歩き出す。
「どうせ泣いて帰ってくるだろうしな」
「テンプレよね~」
「わかる」
彼女らは爆死する未来しかないであろう友人のために、同じく学校へと向かうのだった。
==================================
一方その頃、学校にて。
「……あれ、また寝ちゃってた……」
「お、おおお起きましたか!」
やたら声が震えている女子が、ゴシゴシと寝惚け眼を擦る唯斗の前に立っていた。
「どちら様……?」
「わ、わわわわわ私は……その……えっと……」
「あ、そう言えば見たことある。夕奈の友達でしょ」
「そ、そうですそうです!おおおおお世話になってます!」
「お世話した覚えはないけどね」
人と話す時のキョドり癖がコンプレックスのコミュ障な彼女の名前は、七瀬 花音。
何らかの目的を持って、唯斗が目覚めるのを待っていた人物である。
ついにこの机くんともお別れか……と思ったものの、くじで引き当てたのはまたも窓際最後列。
神に感謝の言葉を叫びたくなる気持ちを堪えるのもつかの間、唯斗はちらりと隣の席に腰掛けた人物を見て、神は死んだことを確信した。
「奇跡……だね♪」
「呪いの間違いだよ」
夏休みが来るまで、唯斗はずっとこの歩く騒音機から逃れられないらしい。彼女の友人3人が、こちらを振り返ってニヤニヤと笑っているのが見えた。
==================================
「夕奈ちゃん、嬉しそうだね~♪」
「そ、そんなことないし!」
「嘘つかなくてもいいぞー?小田原の隣で喜んでるくせに」
帰路の途中、クールな見た目の瑞希 玲と服装も口調もユルユルな雪月 風花が、夕奈の頬を両サイドからツンツンとしていた。
「もー!マルちゃん助けて!」
「断る」
「あっさり?!」
淡々とした口調で『ウケる』『わかる』『それな』のを使いこなすThe JKの今子 こまるは、スマホをいじりながらふいっと顔を背ける。
見捨てられた夕奈はガックシと肩を落とし、再度ツンツン攻撃を受けることになった。
「夕奈、好きなんだろ?小田原のこと」
「べ、別に!」
「あっそ。なら、私が手出しちまうぞ?」
「ダメダメダメ!そんなことしたら……瑞希の大事にしてるブーツ捨てるから!」
「あ、縁切るとかじゃないんだな」
「一線越えたら縁切る!」
「一線ってどこだ?」
「そりゃ、ねぇ……?」
ごにょごにょと照れ始める夕奈に、瑞希が「エッチか?」と聞くと、彼女は小さく頷いて両手で顔を隠した。
「……そうやってりゃ可愛いのにな」
「ほんとその通りよね~♪」
「わかる」
「誰の顔が隠した方がマシって言うんや!」
「そういう意味じゃねぇよ」
瑞希にコツンと脳天を叩かれ、まるで相手を格上と認めた野犬のように大人しくなる夕奈。
この3人、突発的でない暴走なら止められるほどの、彼女にとって良き理解者なのだ。
「お前には落ち着きが必要だな。話してみた感じ、小田原も落ち着いた女が好きらしいし」
「……確かにそんなこと言ってた」
「夕奈ちゃんも大人なレディーになってみれば~?」
そう言われて度なしの黒縁メガネを手渡された夕奈は、3人の顔を順番に見てから、おそるおそるメガネを装着した。
「こりゃ行けるな」
「落ち着いてるように見えるわ~♪」
「それな」
みんなの反応で自信がついたのか、夕奈はグッと拳を握りしめて歩いてきた道を引き返し始める。
「どこ行くんだ?」
「唯斗君、寝てたからまだ学校に残ってるはず。すぐに見せてくゆ!」
「頑張って~♪」
「いってら」
勇ましささえ感じる堂々とした歩みの彼女の背中を、見えなくなるまで眺めた3人は、「それじゃ行きますか」という瑞希の一言で学校へ向けて歩き出す。
「どうせ泣いて帰ってくるだろうしな」
「テンプレよね~」
「わかる」
彼女らは爆死する未来しかないであろう友人のために、同じく学校へと向かうのだった。
==================================
一方その頃、学校にて。
「……あれ、また寝ちゃってた……」
「お、おおお起きましたか!」
やたら声が震えている女子が、ゴシゴシと寝惚け眼を擦る唯斗の前に立っていた。
「どちら様……?」
「わ、わわわわわ私は……その……えっと……」
「あ、そう言えば見たことある。夕奈の友達でしょ」
「そ、そうですそうです!おおおおお世話になってます!」
「お世話した覚えはないけどね」
人と話す時のキョドり癖がコンプレックスのコミュ障な彼女の名前は、七瀬 花音。
何らかの目的を持って、唯斗が目覚めるのを待っていた人物である。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
クラスで1番の美少女のことが好きなのに、なぜかクラスで3番目に可愛い子に絡まれる
グミ食べたい
青春
高校一年生の高居宙は、クラスで一番の美少女・一ノ瀬雫に一目惚れし、片想い中。
彼女と仲良くなりたい一心で高校生活を送っていた……はずだった。
だが、なぜか隣の席の女子、三間坂雪が頻繁に絡んでくる。
容姿は良いが、距離感が近く、からかってくる厄介な存在――のはずだった。
「一ノ瀬さんのこと、好きなんでしょ? 手伝ってあげる」
そう言って始まったのは、恋の応援か、それとも別の何かか。
これは、一ノ瀬雫への恋をきっかけに始まる、
高居宙と三間坂雪の、少し騒がしくて少し甘い学園ラブコメディ。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる