隣の席の美少女が何故か憐れむような目でこちらを見ているけど、僕には関係がないのでとりあえず寝る ひとりが好きなぼっちだっているんですよ?

プル・メープル

文字の大きさ
35 / 63

第35話 夕奈応援団

しおりを挟む
 とある日の朝、教室にて。

「なあ、風花ふうか
「なぁに~?」
夕奈ゆうな小田原おだわらって、どう思う?」

 瑞希みずきの言葉に風花は「うーん」と少し悩んだ後、「水と油かな~」と呟く。
 教室の中央辺りに座って、後方窓際で何やらやり取り……というか一方的に話しかけている姿を眺めながら、2人は小さくため息をこぼした。

「夕奈のあれって、絶対小田原のこと好きだよな」
「好きじゃなきゃあんなに絡まないよ~」
「それな」
「マルもそう思うか」

 ずっとスマホをいじっていたこまるも、一瞬だけ視線を夕奈たちの方へ向けると、再度画面へ目を落とす。

「入学してすぐ、『小田原って人の連絡先知らない?』って聞かれた。あれは多分一目惚れ」
「なるほど、だから告白も全部断って……」
「そういうことだったんだね~♪」
「いえす」

 一つの謎が解けて満足気に頷き合った3人だが、奮闘する夕奈を見ると揃ってため息をこぼしてしまった。

「ねえ、なんで勉強してるの?」
「……」
「無視は酷くない?夕奈ちゃん、もう泣くからね!」
「……」
「いいのか?本当に泣くよ?」
「うるさい」

 無視されっぱなしで、ましてや邪魔者扱い。心を開きかけている時期もあったみたいだが、あのペースで話しかけられたら、彼のようなタイプが閉ざしてしまうのも無理はない。

「私たちがサポートしてやるか」
「影から応援かな~」
「りょ」

 密かにそんな同盟を組んだ3人の元へ、不思議そうな顔をした花音かのんがやってきた。

「みなさん、こそこそしてどうしたんですか?」
「よし、とりあえずカノはあの二人に混ざってこい」
「わ、私がですか?! 悪いですよぉ……」
「とりあえず、小田原にまともに返事させるんだ」
「ふぇぇ、わかりましたぁ……」

 言われるがまま、トコトコと教室後方へと歩いていく花音。その背中を見つめ続けながら、エールを送る3人。

「こういうのはカノが一番最適なんだよな」
「口下手だけど、一生懸命だからね~♪」
「わかる」

 4人それぞれがバラバラの性格。だからこそ、最適なサポートの仕方が見つかりやすいという利点がある。

「私たちは夕奈が居たから集まれてるんだもんな」
「そうじゃなかったら、性格的にも絶対合わなかったもんね~」
「それな」

 瑞希が「すごいやつだよ、全く」と呟くと、他の2人は何も言わずにただ頷いて見せた。

「その夕奈をあそこまで惹きつける小田原も相当だけどな」
「どこを好きになったんだろうね~♪」
「雰囲気?」

 こまるの呟きに、瑞希と風花は「ああ、わかる」と無意識に同意の言葉をこぼす。
 彼女らにとって、唯斗のようなダラーっとしたやる気のなさそうなタイプは、母性本能をくすぐられるようだ。

「青春してる感じ、羨ましいな」
「あれ~?瑞希ちゃんも彼氏欲しいの~?」
「おう、夕奈を見てると幸せそうだからな」
「わかる」

 風花が「彼氏、降ってこないかな~♪」と呟くと、「それはそれで危ないだろ」と瑞希が笑った。
 降ってきたとしたら、それは異世界から来たか人間じゃないパターンか、もしくはギャングの子供だろう。
 3人は『出来ればこの世界の人間で、なおかつ普通の人がいいな』なんて思いながら、再び夕奈の方を振り向くと、その光景に思わず言葉を失った。

「夕奈、邪魔なんだけど」
「わ、私のせいじゃ……」

 何故か、夕奈が唯斗に抱きついていたのだ。しかし、お互い仲良くなったという感じでもないし、あの唯斗がこの短時間で簡単に心を開くはずがない。
 そう思って視線をずらしてみれば、花音が「仲良しです!」と達成感と言わんばかりの表情をしているのが見えた。
 おそらく、彼女が夕奈の背中を押したりでもしたのだろう。物理的に。
 瑞希はすぐに駆け寄ると、夕奈の襟首を掴んで唯斗から離れさせ、花音をひょいと抱えて元の場所へと戻った。

「わ、私、何か間違えちゃいましたか?!」
「間違えたも何も、さすがにあれはないだろ……」
「ご、ごめんなさい……」

 うるうると涙目になる花音を仕方ないなと抱き寄せ、よしよしと頭を撫でて慰めてあげる。カノはこれでも頑張ったんだ、言いすぎるのは良くなかったよな。

「次は上手くできるようにします!」

 瑞希は元気を取り戻した花音に「おう」と頷いて、唯斗と夕奈の方を見る。先程のトラブルがあったからか、2人はしっかり会話をしていた。
 唯斗が相変わらず面倒くさそうなのは仕方ないとして、夕奈の方はどことなく嬉しそうだからな。

「まあ、ギリギリ合格ってとこか」

 カノなりのやり方ってことにしておこう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

クラスで1番の美少女のことが好きなのに、なぜかクラスで3番目に可愛い子に絡まれる

グミ食べたい
青春
高校一年生の高居宙は、クラスで一番の美少女・一ノ瀬雫に一目惚れし、片想い中。 彼女と仲良くなりたい一心で高校生活を送っていた……はずだった。 だが、なぜか隣の席の女子、三間坂雪が頻繁に絡んでくる。 容姿は良いが、距離感が近く、からかってくる厄介な存在――のはずだった。 「一ノ瀬さんのこと、好きなんでしょ? 手伝ってあげる」 そう言って始まったのは、恋の応援か、それとも別の何かか。 これは、一ノ瀬雫への恋をきっかけに始まる、 高居宙と三間坂雪の、少し騒がしくて少し甘い学園ラブコメディ。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

処理中です...