隣の席の美少女が何故か憐れむような目でこちらを見ているけど、僕には関係がないのでとりあえず寝る ひとりが好きなぼっちだっているんですよ?

プル・メープル

文字の大きさ
38 / 63

第38話 早朝にかかってくる電話は出るといいことがない

しおりを挟む
 終業式の翌日。ゆっくり寝ようと思っていた唯斗は、早朝に電話の着信音で起こされた。
 どうやらRINEの着信のようで、見知らぬアカウントからだ。無視しようとも思ったが、しつこく電話してくるせいで眠れず、仕方なく電話に出ることに。

『ようやく出てくれました!』
「……誰?」
花音かのんです!』
「キャノン? 大砲を頼んだ覚えはないけど……」
『か・の・ん・です!』

 『小学生の時のあだ名を掘り返さないでくださいよぉ……』という言葉を聞いて、唯斗はようやく意識がはっきりとしてきた。

「ああ、花音ね。ごめん、寝ぼけてた」
『朝早いですからね。仕方ないです!』

 そう言われて時計を見てみるとまだ朝の5時。外も薄暗いくらいで、普通起きる理由なんてないはずなんだけど……。

「そもそも、どうして花音が僕の───────」
『今日は夕奈ゆうなちゃんが山に行く日です! 一緒にお見送りしましょう!』
「あれ、やっぱりスピーカーしかついてない?」

 第二の歩く騒音機モードを発動した彼女は、『すぐに着替えてください!』だとか『間に合わなくなりますよ!』だとか言ってくるが、唯斗はとりあえず適当に返事をして通話を切った。
 そして気持ちのいい二度寝をしようとした矢先、コンコンと言う音が鼓膜を震わす。
 音の発生源はドア……じゃない。窓だ。

「……」

 風で窓が揺れただけだろう。そう思い直して、起こした体をもう一度ベッドへ沈め込む。が、またすぐにコンコンと窓を叩かれた。
 しかし、鍵さえかかっていれば何人たりとも入ることは出来ない。唯斗はそんな安心感とともに眠りに落ちようとして──────────。

「3、2、1……」

 聞こえてきたカウントダウンに何かの危険を感じ、慌てて窓を開けた。
 視界に写ったのは制服姿の花音。どうやらベランダから降りようとしていたらしく、振り返りながら「おはようございます!」なんて呑気に挨拶をしてきた。

「ここ、2階だけど。どうやって上がったの?」
「投げてもらいました!」

 そう言いながら彼女の指す下を覗いてみると、制服姿の3人が立っているのが見える。女子の力で人を2階まで飛ばすとは、さすがのコンビネーションだ。
 先程のカウントダウンは、飛び降りた花音を受け止めるものだったらしく、窓を割ろうとしているのかと思ってしまった唯斗は、まだ寝ぼけているらしい頭を軽く叩いた。

「……行かなきゃダメ?」
「ダメです!」
「行きたくないんだけど」
「無理矢理連れて行きます!」
「随分と積極的だね」
「えへへ♪ それほどでもです♪」
「……褒めてないよ」

 唯斗が小さくため息をつくと、下にいる瑞希みずきが「残念だな」と呟いた。

「帰りにアイスでも奢ってやろうかと思ってたんだが。嫌なら無理にとは──────────」
「すぐに準備するよ」
「おう、待ってるぞ」

 そういうわけで、アイス……じゃなくて夕奈のために見送りに行くことにした。天音のためのテイクアウトもできるのかな? チョコもあるといいな。
 唯斗はそんなことを思いながら、制服に着替えること5分。玄関を開けて外に出たところで瑞希に洗面所まで連れ戻され、丁寧に寝癖を直されること10分。
 説得時間も合わせて約30分ほどかかり、ようやく一行は山行きバスの出発場所である学校へ向けて歩き出したのである。

「夕奈、喜ぶだろうな」
「泣くかもね~♪」
「それな」

 朝焼けが屋根から顔を出し始めた通学路。唯斗は少し前を歩く3人と隣の花音を順番に眺めた後、呟くように言葉を零したのだった。

「みんな、いつでもこのテンションなんだね」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

クラスで1番の美少女のことが好きなのに、なぜかクラスで3番目に可愛い子に絡まれる

グミ食べたい
青春
高校一年生の高居宙は、クラスで一番の美少女・一ノ瀬雫に一目惚れし、片想い中。 彼女と仲良くなりたい一心で高校生活を送っていた……はずだった。 だが、なぜか隣の席の女子、三間坂雪が頻繁に絡んでくる。 容姿は良いが、距離感が近く、からかってくる厄介な存在――のはずだった。 「一ノ瀬さんのこと、好きなんでしょ? 手伝ってあげる」 そう言って始まったのは、恋の応援か、それとも別の何かか。 これは、一ノ瀬雫への恋をきっかけに始まる、 高居宙と三間坂雪の、少し騒がしくて少し甘い学園ラブコメディ。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

処理中です...