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第57話 日焼け止め塗りは入念に
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平手打ちから数分後、夕奈の背中全体に日焼け止めを塗り終えた唯斗は、追加命令として足も塗らされようとしていた。
「均等に塗ってよね。一部だけ焼けてたりしたら困るから」
「はいはい」
適当に返事をしつつ、容器を逆さにして液を太ももに垂らすと、夕奈は驚いたように体をビクッとさせる。
「そのまま出さないでよ! 冷たいんだから」
「ごめん、こういうの初めてだからわかんなくて」
「は、はじめて……?」
夕奈はガバッとこちらを振り向いた夕奈は、唯斗の言葉に顔を赤くすると、首をブンブンと振ってまたうつ伏せになる。
「し、仕方ないなー! 私が手取り足取り教えてあげようじゃないの!」
「それは助かる。どうすればいいの」
「直接垂らしたのはもう仕方ないとして、日焼け止めを肌の上でゆっくり伸ばしてくれる?」
小さく頷いた唯斗は夕奈の太ももを両手で包み込むように挟むと、上から下へと日焼け止めを馴染ませていく。
何度も繰り返していくと、白かった日焼け止めが肌に溶け込むように無くなった。これでいいのかな?
「は、はじめてにしては上出来やないの」
「ならよかった」
「ちゃんと水着の際まで塗ってくれた?」
「そこまでやるの?」
「そこだけ焼けちゃうやん?」
「確かに」
背中じゃないから自分で届くのではとは思ったが、唯斗はあえて口に出さないでおいた。
これはさっきの平手打ちのお詫びだからね。満足するまで付き合って、後で文句をつけられないようにしないと。
「塗るよ」
「ば、ばっちこい」
やたら気合いの入っている夕奈の太もも上部へ、手のひらに乗せて人肌の温度まで温めた日焼け止めを垂らす。
それを指先で丁寧に水着と肌の境目へと塗り込んでいくと、夕奈が何やら悶え始めた。
「大丈夫?」
「き、気にしないで続けて!」
本人がそう言うならと、唯斗は水着に沿って指を移動させていく。初めは真っ直ぐ大まかに、その後は円を描くようにして馴染ませる。
その間も夕奈が苦しそうな声を漏らすから、唯斗はなんだか悪いことをしているような気分になってしまった。
「はい、終わったよ」
言われた業務が終了する頃には、寝ていただけの夕奈の息遣いが荒くなっているではないか。
自分自身がやってもらったことがないから分からないけど、日焼け止めを人に塗ってもらうのは意外と疲れるものなのかもしれない。
「ほら、遊んできなよ」
「まだ……こっちも塗ってもらうから」
フラフラと体を起こした彼女は、唯斗に向けて腕を差し出す。どうやらそこも塗れと言うことらしかった。
今の彼は夕奈の言うことを聞くマシンだ。これが終われば寝ているだけでいいのだから、駄々をこねるより早く終わらせる方がいいに決まっている。
「はいはい」
太ももの時と同じようにして塗り始めると、夕奈は口元をニヤニヤさせながら唯斗の手の動きを目で追い始めた。
「二の腕も?」
「あたぼーよ」
命令とあらば仰せのままに。唯斗は日焼け止めを追加して、肩から肘までの間をスーッと撫でるように塗り込んでいく。
これが給料の出る仕事だったらやる気も出るんだけどね。唯斗は早く満足してくれないかと、夕奈の表情を伺いつつ作業を進めた。
「二の腕、触り心地いいね」
「それはどういう意味かね? 答えによってはこのままラリアットしちゃうけど」
「ぷにぷにしてるから、枕にちょうど良さそうだなって」
「よし、プロレスしようぜ」
「遠慮しとく」
あっさりと断られて困り顔の夕奈を気にも留めず、唯斗は変わらず塗り続けている。
ただ、その触り方が意識してか無意識か分からないが、どことなくいやらしいのだ。
夕奈はどうつっこむべきか分からず、ただただ我慢するほか無かった。
「腕周りのダイエット、試してみたら?」
「こちとら女の子やぞおら」
気遣いで言ってあげたのに、唯斗は頭をベシベシと叩かれてしまう。
数秒遅れて追加された「夕奈ちゃんだって傷つくんだけど!」という言葉を聞く限り、彼女自身も太ってきたことを気にしているらしい。これは余計なお世話だったね。
「夕奈は太ってるくらいがちょうどいいよ」
「もしかしてバカにしてる? そっちがその気なら、私だって唯斗君の悪口言ってやるかんな!」
夕奈はそう言うと、唯斗の体をじっと見つめ始めた。時折口元を緩めたり、サッと目を逸らしたりしているけど……。
「腹筋が割れてない!」
散々時間をかけた割に、出した答えがそれだった。唯斗が「太ってないからいいじゃん」と言うと、返す言葉が見つからなかったのか俯いてしまう。
「なんで寝てばかりなのにそんな痩せてるのさ」
「僕、太らない体質だから」
「クソったれぇぇぇぇぇ!」
夕奈はベ〇ータもびっくりな叫び声を上げると、二の腕をぷにぷにしていた唯斗の手を跳ね除け、全力疾走で瑞希たちのいる海へと突っ込んでいった。
「絶対に痩せてやるかんなぁぁぁぁ!」
そう宣言した彼女は、十数分後には海の家で買ってきた焼きそばを3パックも食べていた。
そんな姿を見ながら天音にポテトを食べさせてあげていた唯斗が、どうせ無理なんだろうなと悟ったことは言うまでもない。
「均等に塗ってよね。一部だけ焼けてたりしたら困るから」
「はいはい」
適当に返事をしつつ、容器を逆さにして液を太ももに垂らすと、夕奈は驚いたように体をビクッとさせる。
「そのまま出さないでよ! 冷たいんだから」
「ごめん、こういうの初めてだからわかんなくて」
「は、はじめて……?」
夕奈はガバッとこちらを振り向いた夕奈は、唯斗の言葉に顔を赤くすると、首をブンブンと振ってまたうつ伏せになる。
「し、仕方ないなー! 私が手取り足取り教えてあげようじゃないの!」
「それは助かる。どうすればいいの」
「直接垂らしたのはもう仕方ないとして、日焼け止めを肌の上でゆっくり伸ばしてくれる?」
小さく頷いた唯斗は夕奈の太ももを両手で包み込むように挟むと、上から下へと日焼け止めを馴染ませていく。
何度も繰り返していくと、白かった日焼け止めが肌に溶け込むように無くなった。これでいいのかな?
「は、はじめてにしては上出来やないの」
「ならよかった」
「ちゃんと水着の際まで塗ってくれた?」
「そこまでやるの?」
「そこだけ焼けちゃうやん?」
「確かに」
背中じゃないから自分で届くのではとは思ったが、唯斗はあえて口に出さないでおいた。
これはさっきの平手打ちのお詫びだからね。満足するまで付き合って、後で文句をつけられないようにしないと。
「塗るよ」
「ば、ばっちこい」
やたら気合いの入っている夕奈の太もも上部へ、手のひらに乗せて人肌の温度まで温めた日焼け止めを垂らす。
それを指先で丁寧に水着と肌の境目へと塗り込んでいくと、夕奈が何やら悶え始めた。
「大丈夫?」
「き、気にしないで続けて!」
本人がそう言うならと、唯斗は水着に沿って指を移動させていく。初めは真っ直ぐ大まかに、その後は円を描くようにして馴染ませる。
その間も夕奈が苦しそうな声を漏らすから、唯斗はなんだか悪いことをしているような気分になってしまった。
「はい、終わったよ」
言われた業務が終了する頃には、寝ていただけの夕奈の息遣いが荒くなっているではないか。
自分自身がやってもらったことがないから分からないけど、日焼け止めを人に塗ってもらうのは意外と疲れるものなのかもしれない。
「ほら、遊んできなよ」
「まだ……こっちも塗ってもらうから」
フラフラと体を起こした彼女は、唯斗に向けて腕を差し出す。どうやらそこも塗れと言うことらしかった。
今の彼は夕奈の言うことを聞くマシンだ。これが終われば寝ているだけでいいのだから、駄々をこねるより早く終わらせる方がいいに決まっている。
「はいはい」
太ももの時と同じようにして塗り始めると、夕奈は口元をニヤニヤさせながら唯斗の手の動きを目で追い始めた。
「二の腕も?」
「あたぼーよ」
命令とあらば仰せのままに。唯斗は日焼け止めを追加して、肩から肘までの間をスーッと撫でるように塗り込んでいく。
これが給料の出る仕事だったらやる気も出るんだけどね。唯斗は早く満足してくれないかと、夕奈の表情を伺いつつ作業を進めた。
「二の腕、触り心地いいね」
「それはどういう意味かね? 答えによってはこのままラリアットしちゃうけど」
「ぷにぷにしてるから、枕にちょうど良さそうだなって」
「よし、プロレスしようぜ」
「遠慮しとく」
あっさりと断られて困り顔の夕奈を気にも留めず、唯斗は変わらず塗り続けている。
ただ、その触り方が意識してか無意識か分からないが、どことなくいやらしいのだ。
夕奈はどうつっこむべきか分からず、ただただ我慢するほか無かった。
「腕周りのダイエット、試してみたら?」
「こちとら女の子やぞおら」
気遣いで言ってあげたのに、唯斗は頭をベシベシと叩かれてしまう。
数秒遅れて追加された「夕奈ちゃんだって傷つくんだけど!」という言葉を聞く限り、彼女自身も太ってきたことを気にしているらしい。これは余計なお世話だったね。
「夕奈は太ってるくらいがちょうどいいよ」
「もしかしてバカにしてる? そっちがその気なら、私だって唯斗君の悪口言ってやるかんな!」
夕奈はそう言うと、唯斗の体をじっと見つめ始めた。時折口元を緩めたり、サッと目を逸らしたりしているけど……。
「腹筋が割れてない!」
散々時間をかけた割に、出した答えがそれだった。唯斗が「太ってないからいいじゃん」と言うと、返す言葉が見つからなかったのか俯いてしまう。
「なんで寝てばかりなのにそんな痩せてるのさ」
「僕、太らない体質だから」
「クソったれぇぇぇぇぇ!」
夕奈はベ〇ータもびっくりな叫び声を上げると、二の腕をぷにぷにしていた唯斗の手を跳ね除け、全力疾走で瑞希たちのいる海へと突っ込んでいった。
「絶対に痩せてやるかんなぁぁぁぁ!」
そう宣言した彼女は、十数分後には海の家で買ってきた焼きそばを3パックも食べていた。
そんな姿を見ながら天音にポテトを食べさせてあげていた唯斗が、どうせ無理なんだろうなと悟ったことは言うまでもない。
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