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第43話 水曜日の恋人はいじわる⑦ 昼休みにお仕置きは無理だよね?
しおりを挟む「友也ってさ、そんなに俺にお仕置きされたいのか?」
昼休みなのに、水曜日しかシない約束なのに、曜日も時間を無視して襲われかかっている。
「会長!、後で生徒会室に行くからな!」
昼休み、生徒会室で一人ランチが日課な俺こと底辺高校生徒会長の結城友也、教室から出ようと思ったら俺の水曜日の恋人こと生徒会書記の三田遼太に呼び止められた。
声の方に振り返ると、リア充している遼太は仲良いクラスメートに囲まれてランチを取ろうしている。
男子女子合わせて10人近くが彼を中心にランチを楽しもうとして集まっている中、俺に垂れた目をニコニコと細めながらヒラヒラと手を振っている。
遼太は背が高く均等の取れた体で普通にカッコいい、垂れ目なのもあって人懐っこい笑顔が得意、博愛主義も入っているから誰にでも優しい、明るく朗らかな性格、どんな相手ともフレンドリーに話すことが出来る強力なコミュ力も持っている。
そんな仕様をしているから老若男女、犬猫すらも、この世の大体の生命体は彼に懐くようになっている。
クラスの王様から話しかけられたら普通は嬉しいところだが、顔が曇り不機嫌になる俺。
教室では、話しかけるなって言っているっ!
「約束を破るな!」と言いたいけど不自然だから「分かった。」と言って教室外に出ると、大きな笑い声と共に「遼太、まじめぇ!!」「昼休みも仕事すんのかよ?」「アイツと居てもつまんねぇだろ?」「あんな暗いヤツに優しすぎだろ?」とか聞こえてきた。
俺をディスる声にイラつくけど、不愛想で暗いのは事実だからしょうがない。
高2の同学年、同じクラスの三田遼太、恋人であることも付き合っていることも絶対の秘密、オープンにして良い関係は同じ生徒会役員であることのみ、人目のある所では絶対に馴れ馴れしくしないコトと約束している。
ここは田舎だから些細な事でもすぐに噂になる、男同士が付き合っているなんて知られたら大騒動になる、しかも不人気生徒会長とリア充のモテ愛されヤンキーが恋人関係など知れたら学校どころか近所も歩けなくなる。
人嫌いで周りと同調できない俺、皆と仲良く楽しく生きている遼太が羨ましくて、眩しくて、思わず「お前に手折られたい」とかワケ分からない告白して付き合うことになった。
明るい遼太と付き合ったからと言って、俺の性格が劇的に変わるわけもなく人嫌いが治るワケでもない、遼太以外のリア充なんてバカにしか見えない、ノリ良くバカ騒ぎ出来るヤツが真面目に生きているヤツよりエライという価値観が嫌いすぎるっ!!
イラつき気味に生徒会室がある3階の階段を駆け上ると廊下に見知った姿が見えて足が止まった。
あれは遼太が呼ぶ所のカトちゃん、親が漁師の親玉をしている生徒会副会長の女の子。
生徒会室の前で誰かを待っている姿、待っているって俺のコトだ。
俺は彼女からバレンタインの日に告白を受けている、遼太に「付き合う気がなければ断ってこい!」と言われたのに女の子にキツイことも言えないから曖昧にしてしまった。
彼女が現れてから遼太が嫉妬をしているのか意地悪になって困っている。
どうしよう、引き返すか?
副会長と一緒に居るのを見られて、昨日はワケの分からないお仕置きをされてしまった。
「お仕置きに興奮した」とか言う遼太が一緒にイってくれたのは嬉しかったけど、届いてはいけない場所までに挿入されていたようで微妙に調子が悪い、彼女と一緒にいる所を見られて、これ以上お仕置きされたら俺が壊れる。
階段をまだ登り切っていないから俺の姿はまだ彼女に見えていないはず、騒がしくて嫌だけど教室に戻ってランチをするしかない。
引き返そうと背を向けたら「結城会長!」と呼び止められて、ズルズルと生徒会室に連れて行かれた。
…マズい、非常にマズい。
副会長が「食べて下さい、どうぞ♡」と差し入れてくれたサンドイッチが不味いのではなく、カトちゃんこと副会長の女の子と二人きりでいるこの状況がマズい。
日差しが暖かく差し込む昼休みの生徒会室、昨日遼太とエロいコトをした作業テーブルに並んで座る会長の俺と副会長は遼太が呼ぶ所のカトちゃん、ニコニコと俺に笑顔を向けて来る。
生徒会副会長は電車が走っていない僻地付近から2時間掛けて通学していると言う網元の娘、名前は加藤葉月、手作りのサンドイッチって朝何時に起きて作ったのだろう?
バックボーンを考えると心遣いが重い。
ついでに俺の身体の危機も迫っている。
俺に好意を全開に放っている副会長は、髪を染めるのが普通なバカ学校で異色な黒髪、小じんまりとしたポニーテール、視力が悪いのか黒縁の眼鏡、大人しく真面目な風貌なのに稼業を手伝っているのか冬でも小麦色の肌、背は俺と同じくらい。
真面目と健康が入り混じっている生徒会副会長、俺の何が良いのだろう?
漁師の豪快でゴツイ男に囲まれているから、逆に俺みたいな大人しい小さい男が好みなのかな?
そんな疑問はどうでも良いか、俺は遼太と付き合っているのだから、気まずくなるけどハッキリと「お付き合いは出来ません」と断るしかない。
女の子にキツイ事は言いたくないけど言うしかない、心が痛むけど口を開いた。
「副会長、大変申し訳ないんだけど…その…。」
「毎日来るのはダメですか?」
「う…ん…、そうではなくて…。」
「じゃあ、毎日来て良いですか?」
「毎日ではなく…。」
「一日置きだったらいいですか?」
「お付き合いは出来ないから、二度と来ないで下さい」と言いたいけど、グイグイと好意を向けられると言いずらい、俺の煮え切らない態度が悪いからか、何曜日に来ていいのかと曜日交渉に論点が移っている。
テーブルを前に椅子に座って向かい合い気味な俺達、気づけば生徒会副会長との距離が近くなっている。
「困っていますか?」と聞かれて正しく困っているので頷くと、結構な勢いで両手で頬を掴まれて「何?」と思っている内にガブッと生徒会副会長の口が俺の口に重なってきた。
状況が分からなくて体が硬直する、キスしていると認識するのに時間が掛かった。
…!!!!!!!!!!!!、えっっ!!!!
漁師の娘だけど女の子だから大丈夫と甘くみていたっ!!!
女の子からキスして来るものなのか今時はっ?
真面目そうに見えて狩猟本能が全開かっ?
引き剥がそうとしても結構な握力で顔を掴まれていて避けられない。
さすが稼業を手伝っているだけあって身体能力が高いっ!!
椅子をガタつかせて逃げようしている格好が、彼女の嗜虐性を煽っているのか唇が離れない。
マズい!!、非常にマズい!!!
そろそろ遼太が現れそうっ!!!
ガチャ…
「うぃ――っす!!待ったぁ?友也、おおおっっっっ!」
ドアが開き、時が止まった。
俺の頬を掴む副会長の腕を剥がそうとしている格好にはなっているけど、俺の口と副会長の口はガッツリとハマっている。
遼太の声が聞こえたからか、やっと唇が剥がれたけど、気まずすぎて死にそうな俺。
始めて直視した黒縁の眼鏡の中にある副会長の瞳は挑戦的で生命力に満ち溢れてる。
冬でも小麦色の肌の副会長、女の子だけど少年ぽく微笑んで唇からペロッと舌を覗かせた。
俺には「会長、また来ますねっ!」と丁寧に明るく言って、ドア前に立つ遼太には「部屋に入る時はノックくらいしたら?」と睨みつけて副会長が部屋から出て行った。
静まり返る室内、ニコニコしているけど超絶キレている遼太が口を開いた。
「友也ってさ、そんなに俺にお仕置きされたいのか?」
怒りながらツカツカと歩み寄ってくる遼太から逃げながら「誤解っ、突然キスして来たから避けられなかった!」と弁解しても「そうなんだ?」と笑いながら俺を捕まえようとしてくる。
最終的に部屋の隅に追いやられて捕まってしまった。
手首を強く掴まれて痛い、弁解しようと開いた口に口が重なり言葉を発することが出来ない。
俺は今、昼休みなのに、水曜日しかシない約束なのに、曜日も時間を無視して襲われかかっている。
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