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第101話 『カンザ・アド王国』国王の申し出
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わたしは何時もの司令室で、魔王軍……『JOKER剣魔国』軍の幹部であり、『JOKER剣魔国』そのものの首脳部でもある面々と会議をしていた。コンザウ大陸へ侵攻軍として出向いている、総大将ガウルグルク、副将の3名オルトラムゥ、鉄之丞、ゼロは通話水晶の映像での会議参加だ。
ちなみに直接司令室に居るのは、わたしとアオイ、ミズホ、ザウエル、そして何時もの文官6名である。文官たちは議事録と、会議中に出た案件などに関する書類作成をやってくれている。いつも助かってるよ、ほんとに。
「で、ザウエル。『カンザ・アド王国』との繋ぎは取れたのかな?」
「はい、魔道軍団の間諜の中でも腕利きを密使にして、騎士ゲイルズの手紙を第2騎士団騎士団長に届けました。第2騎士団長ランドルフ・リーガンはその密使に返書と、そして『カンザ・アド王国』国王マードック三世の親書を託して返して来まして」
『国王の親書とな!? 相手も本気だと言う事かの? 嘘偽りではなく?』
通話水晶の作り出した映像の中で、ガウルグルクが驚き怪しむ。ザウエルは頷く。
「僕の使い魔であるインコを密使の肩にとまらせて、第2騎士団長の様子を窺っていたんですがね。『センス・ライ』の魔法に反応が無かったので、少なくとも第2騎士団長のレベルでは本気でそう思ってますね」
『『『なんと……』』』
ガウルグルク、オルトラムゥ、鉄之丞が驚きの吐息を漏らす。ちなみに『センス・ライ』の魔法は、しばらく前にザウエルが開発した新しい魔法だ。原型は、わたしが使うことができる魔道の術法、『虚言感知』である。文字通り相手が嘘偽りを語ったときに、この術を行使しておけば術者にはそれが判ると言う物なのだが。
まあ、この術の弱点として、相手が『嘘を吐いた』と考えたとき、それを感知するものであるため、相手が『自分は本当の事を言っている』と思い込んでいる場合は、嘘を暴けないという事がある。だがまあ、この場合は『カンザ・アド王国』国王、マードック三世が第2騎士団長を切り捨てるつもりでも無ければ、大丈夫だろう。
マードック三世にとって、本当の忠臣だからなあ、第2騎士団長は。『リューム・ナアド神聖国』の傀儡である第1騎士団長、バウルス・コートニーと違ってさ。
「ザウエル、親書の内容は?」
「封は切ってませんが、万が一の破壊工作を疑って、あらかじめ様々な魔法的、科学的手法で調べましたので、既に内容は知ってます。ですが、あくまでも一国の国王からの親書なのですから、僕からの説明ではなく先ずは魔王様が目を通すべきかと」
「……まあ、道理だね」
わたしは渡された親書の封を切って、内容を読む。続けて、こちらは封を切ってあったが、第2騎士団長ランドルフより騎士ゲイルズへの返書を手に取り、読み終わった。
『魔王様、その国王まぁどっく三世とやらの親書には、なんと?』
「ああ、鉄之丞。一言で言えば、鉄之丞の時代で言えば……。臣従するって言えばわかるかな?王位をわたしに禅譲し、自分は退位して臣籍に降りたいと言ってきた。自国を『JOKER剣魔国』に併合して欲しいとさ。
そのかわり……」
「「『『『『そのかわり?』』』』」」
全員が、異口同音に尋ねる。わたしは重々しく頷いた。
「国民に……。事実上の盟主国である『リューム・ナアド神聖国』への上納……やつらは『神教』への寄付、御報謝、お布施だと言ってるらしいがね。それを工面するために税金を搾り取られて困窮している国民への、大規模食糧援助とアーカル大陸の様なインフラ整備、そして最低1年間の税金の免除を願い出て来ているよ。」
『ですが『カンザ・アド王国』は軍事大国であるはず。『リューム・ナアド神聖国』の横暴に対し、対抗はできぬので?』
「元帥魔獣大将殿、そうもいかないんですよ。まずあの国は、食料自給率が低い。他国から食料が入って来なければ、立ち枯れてしまうんです。そして『リューム・ナアド神聖国』が『神教』の名のもとに周辺国家に働きかければ……。
更には第1騎士団の存在があります。第1騎士団とその騎士団長バウルスは敬虔な、というより熱狂的な『神教』信者でして。自国の国王よりも『リューム・ナアド神聖国』の言うことを聞くような奴です。」
『ナント……。『かんざ・あど王国』ハ半バ『りゅーむ・なあど神聖国』ニ乗ッ取ラレテイル様ナ物デハナイデスカ』
そうなんだよね。今回コンザウ大陸南岸諸国解放軍に第2騎士団の第5中隊を送り込めたのは、『カンザ・アド王国』王家の必死の頑張りと必死のゴマすり、そして関係者への必死の贈賄があったからだ。
魔道軍団の間諜によれば、『カンザ・アド王国』王家は2代前までは『リューム・ナアド神聖国』べったりの政策を取ってたらしいけど、先代と当代は方針を若干変えてるんだよね。『リューム・ナアド神聖国』へのお布施と称する上納は、国民から搾り取るんじゃなく、王家の財を取り崩して出したり。
だけど、それもあんまり意味なかったんだよね。第1騎士団が、民の余裕が多少でもあると見るや、王命なしに勝手に動いて、民から蓄え搾り取って『リューム・ナアド神聖国』に騎士団長バウルスの名で贈ったし。無論王は罰しようとしたけれど、先んじて『リューム・ナアド神聖国』が『神教』の名で、バウルスを敬虔な信者だと褒めたたえる文を各国に送ったんだ。
おかげで『カンザ・アド王国』はバウルスを罰する事なんて出来なくなった。そんな目に遭っているのに、『カンザ・アド王国』国王は表向き『リューム・ナアド神聖国』に忠実な従属国的行動を取っていた。だからすっかり反骨の芽は折れたんだろうと思って、敵に分類してたんだよね。
でも、この親書が本気だとしたなら、マードック三世の心は折れて無かったという事だね。まあ、本当の本当に、これが罠ではなく本気だとしたら、だけどさ。
「そう言えば、わたしが勇者として『カンザ・アド王国』を訪れた当時には、即位して2年目のマードック三世は歓迎してくれけど……。でも、わたしが12歳の外見をしてたせいかな。一瞬痛ましい物を見る視線だった」
「わたしも勇者へのおべんちゃらばかりの他国の人と違って、『カンザ・アド王国』の国王は何と言っていいのか……。多少好ましい物を感じましたね。ただ、直後に第1騎士団長が美辞麗句をだらだら長々喋り出したんで、印象が埋もれてしまいましたが」
アオイとミズホの印象も、悪くないらしいな。マードック三世、か。
「ふむ……。さて、可能な限り早くマードック三世と会見を持たなければならないな。それも秘密裏に。ザウエル、セッティングを頼めるかな?」
「了解です。転移魔法の使い手を出して、コンザウ大陸のガナンズ基地にマードック三世をご招待しましょうか。招待している間は、変身魔法の使い手をマードック三世に化けさせて、王城に置いときましょう。ただ、その事に関して親書の返答は、きっちり書いてくださいね」
「了解だ。その会見の場で、マードック三世が嘘を吐いているか否か確かめるとしよう」
さて、本当にマードック三世、本気だろうか。それに本気であっても、第1騎士団長にバレてたりしたら。くれぐれも、油断はしないで置こう。
ちなみに直接司令室に居るのは、わたしとアオイ、ミズホ、ザウエル、そして何時もの文官6名である。文官たちは議事録と、会議中に出た案件などに関する書類作成をやってくれている。いつも助かってるよ、ほんとに。
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『『『なんと……』』』
ガウルグルク、オルトラムゥ、鉄之丞が驚きの吐息を漏らす。ちなみに『センス・ライ』の魔法は、しばらく前にザウエルが開発した新しい魔法だ。原型は、わたしが使うことができる魔道の術法、『虚言感知』である。文字通り相手が嘘偽りを語ったときに、この術を行使しておけば術者にはそれが判ると言う物なのだが。
まあ、この術の弱点として、相手が『嘘を吐いた』と考えたとき、それを感知するものであるため、相手が『自分は本当の事を言っている』と思い込んでいる場合は、嘘を暴けないという事がある。だがまあ、この場合は『カンザ・アド王国』国王、マードック三世が第2騎士団長を切り捨てるつもりでも無ければ、大丈夫だろう。
マードック三世にとって、本当の忠臣だからなあ、第2騎士団長は。『リューム・ナアド神聖国』の傀儡である第1騎士団長、バウルス・コートニーと違ってさ。
「ザウエル、親書の内容は?」
「封は切ってませんが、万が一の破壊工作を疑って、あらかじめ様々な魔法的、科学的手法で調べましたので、既に内容は知ってます。ですが、あくまでも一国の国王からの親書なのですから、僕からの説明ではなく先ずは魔王様が目を通すべきかと」
「……まあ、道理だね」
わたしは渡された親書の封を切って、内容を読む。続けて、こちらは封を切ってあったが、第2騎士団長ランドルフより騎士ゲイルズへの返書を手に取り、読み終わった。
『魔王様、その国王まぁどっく三世とやらの親書には、なんと?』
「ああ、鉄之丞。一言で言えば、鉄之丞の時代で言えば……。臣従するって言えばわかるかな?王位をわたしに禅譲し、自分は退位して臣籍に降りたいと言ってきた。自国を『JOKER剣魔国』に併合して欲しいとさ。
そのかわり……」
「「『『『『そのかわり?』』』』」」
全員が、異口同音に尋ねる。わたしは重々しく頷いた。
「国民に……。事実上の盟主国である『リューム・ナアド神聖国』への上納……やつらは『神教』への寄付、御報謝、お布施だと言ってるらしいがね。それを工面するために税金を搾り取られて困窮している国民への、大規模食糧援助とアーカル大陸の様なインフラ整備、そして最低1年間の税金の免除を願い出て来ているよ。」
『ですが『カンザ・アド王国』は軍事大国であるはず。『リューム・ナアド神聖国』の横暴に対し、対抗はできぬので?』
「元帥魔獣大将殿、そうもいかないんですよ。まずあの国は、食料自給率が低い。他国から食料が入って来なければ、立ち枯れてしまうんです。そして『リューム・ナアド神聖国』が『神教』の名のもとに周辺国家に働きかければ……。
更には第1騎士団の存在があります。第1騎士団とその騎士団長バウルスは敬虔な、というより熱狂的な『神教』信者でして。自国の国王よりも『リューム・ナアド神聖国』の言うことを聞くような奴です。」
『ナント……。『かんざ・あど王国』ハ半バ『りゅーむ・なあど神聖国』ニ乗ッ取ラレテイル様ナ物デハナイデスカ』
そうなんだよね。今回コンザウ大陸南岸諸国解放軍に第2騎士団の第5中隊を送り込めたのは、『カンザ・アド王国』王家の必死の頑張りと必死のゴマすり、そして関係者への必死の贈賄があったからだ。
魔道軍団の間諜によれば、『カンザ・アド王国』王家は2代前までは『リューム・ナアド神聖国』べったりの政策を取ってたらしいけど、先代と当代は方針を若干変えてるんだよね。『リューム・ナアド神聖国』へのお布施と称する上納は、国民から搾り取るんじゃなく、王家の財を取り崩して出したり。
だけど、それもあんまり意味なかったんだよね。第1騎士団が、民の余裕が多少でもあると見るや、王命なしに勝手に動いて、民から蓄え搾り取って『リューム・ナアド神聖国』に騎士団長バウルスの名で贈ったし。無論王は罰しようとしたけれど、先んじて『リューム・ナアド神聖国』が『神教』の名で、バウルスを敬虔な信者だと褒めたたえる文を各国に送ったんだ。
おかげで『カンザ・アド王国』はバウルスを罰する事なんて出来なくなった。そんな目に遭っているのに、『カンザ・アド王国』国王は表向き『リューム・ナアド神聖国』に忠実な従属国的行動を取っていた。だからすっかり反骨の芽は折れたんだろうと思って、敵に分類してたんだよね。
でも、この親書が本気だとしたなら、マードック三世の心は折れて無かったという事だね。まあ、本当の本当に、これが罠ではなく本気だとしたら、だけどさ。
「そう言えば、わたしが勇者として『カンザ・アド王国』を訪れた当時には、即位して2年目のマードック三世は歓迎してくれけど……。でも、わたしが12歳の外見をしてたせいかな。一瞬痛ましい物を見る視線だった」
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◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
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自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
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