異世界を創って神様になったけど実際は甘くないようです。

ヨルベス

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第二章 その魂、奮い立つ

第70話 チンピラと鍛練と夜のケダモノ

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「じゃあの!」
「あっ!」

 夕刻の色に染められたココルに戻って最初に開口したのはトゥールだった。
 別れの挨拶を短く言って、何処へ向かうとも教えることなく、すたこらさっさと駆け出していった。

 あ、あの女ぁ……。

「見えなくなっちゃいましたね……」

 退散していったトゥールの行動には、テレサも呆然と見送るしかなかった。

 風のように気まぐれなロリ……女だった。何者か分からなかった。
 かなり怪しい奴とも思えなかったから深くは訊かなかったが……調査に同行した報酬は貰えないまま逃げられた。

 踏み倒しか。最後まで振り回しやがって。
 いつ会えるとも知らんが、もしまた会えたらとっちめてやる。

 しかし今日はシュヴェルタルを捜しに行ったり、トゥールと不気味なものを調査したり、帰り道にカルドに会ったり……結果的には大した収穫は無かったが、いろんな事があった。

 明日こそは絶対に見つけてシュヴェルタルを見つけて討つ。それにはカルドの優れた能力に頼るだけでなく、パーティの連携を強固にしなければ。
 シュヴェルタルの強さを身を以て知ったんだ。アイツを倒すには戦力を十分に整えないと。

 だから、まずは……。

「なあ、今から酒場に行かね? せっかくカルドが居るんだから親睦会をやろうぜ」
「親睦会ですか。いいですね。皆で行きましょう」

 俺からの提案にテレサは大賛成……だけど全員とはいかない。レトは酒の匂いが苦手だから行けないんだよな。

「カルドさんも来てくれますよね?」
「断る」

 あっさりきっぱりと、もはやテンプレの如く断られた。

 即答かよ。早すぎるって。
 一緒にご飯食っても良いだろうに。どうしてコイツはこうも冷めてるのやら……。

「少しぐらい一緒にいたっていいじゃんか」
「一人になりたいんだ。しつこいとパーティを抜けさせてもらう」
「あ、おい! 明日はちゃんと来いよ!」
「……」

 念入りに声を掛けるも返事は無く、カルドもその場を離れて去っていった。

 なんだよ、あいつ……本当に付き合い悪いなあ。
 一人になりたいって言っても大抵は単独行動じゃないか。今日だってあんな場所で何をしていたのか教えてくれなかったし。

「ダメでしたね。カルドさんと仲良くなるのは難しいです……」

 気難しい性格なのは解ってはいるけど、ああもされるとテレサも落ち込みの色が浮かぶ。

 うーん……戦力は申し分無いんだけど、如何せん接触しにくいんだよなあ。
 しかも今日はいつもと様子が違った。帰り道で合流した後ずっとふさぎこんでいたし、何かあったんかな?

「どうしましょうか? 私達だけで行きますか?」
「いや、やめておく……」

 酒場に行くのは止めよう。カルドもいなきゃ親睦する意味が無い。
 活動はこれで終わりにして……クエスト案内所に目撃情報が新しく出てるかどうか確認しに行ってから家に帰るか。

「ねえねえ、そこのお兄さ~ん」

 クエスト案内所に行こうとした矢先、俺達への呼び声が掛けられた。
 声のする方に女三人組がヘラヘラとした態度で立っている。見た感じ討伐者のようだが、何の用だ?

「アタシ達、酒場に行きたいんだけどー、財布の中がピンチなのー」
「お兄さん奢ってくれない? サービスしてあげるから」

 おお、女の子からのお誘いか。サービスも付けてくれるとは嬉しいことで。
 だーけーどー。酷い目に遭った前例がある故に、そのお誘いには警戒心センサーが反応しているのだ。

 奢ってほしい。そのお願いにはノーだ。これ以上金を消費できないんでね。

「悪いけど今は懐が寒いんだ。他を当たってくれないか?」
「「「はあ?」」」

 自分の考えていたものとは違う反応が返ってきた。

 誘いを断った途端、三人組の顔が険しくなり睨んでくる。今にも事を起こしそうな程にだ。
 空気が変わり、危なげな雰囲気が漂い始めた。

「なんで断んの? アタシら困ってんのに」
「どうしてと言われましても、今しがたシンジさんが仰いましたが……」
「黙れよ」

 しつこいな。奢れるほど金持ってる奴なら、あのデカい家に住んでんぞ。

「本当はたんまり持ってんでしょ?」

 こりゃアレだ。女の子がチンピラの男達に絡まれる展開に少し似てる。
 女に絡まれるとは初めてだ。いや、この場合イケメン狩りかな?

 でも女に絡まれるのは珍しい。普通は男がやることだろうに。

「持ってねーよ。お前らにやる分はな」
「無いだってえ……!?」

 もう一度言ってやると、女達がより苛立ちを露わにした。
 これは完全に怒ったな。だがコイツらにやる金は持ってないのだから諦めてもらいたい。

「痛い目遭いたくなかったらさあ、大人しく金出しなよ!」

 ダメか。まあこういう展開は襲ってくるのがセットだよな。
 なーんて、余裕こいてる場合じゃないか。

「目を瞑れ!」

 テレサ達にそう言い、迫る女三人の目の前に左手を前に出す。
 やがてその手から、眩い魔法ひかりが迸った。

「うっ!?」
「眩しっ! 目が……見えない……!」

 視界を奪われた女達は目元を抑え、その場で苦悶する。
 うわっはっは、いい気味だ。人から金を巻き上げようとするからこうなる。

「金は無いが、代わりのものならいくらでもやるぜ?」
「こ、このぉ……!!」

 早くも視界を取り戻した一人がナイフを取り出して襲いかかってきた。
 銀色の刃は至近距離まで掻い潜り……俺の脇腹に吸い込まれていった。

 刃が肉を切り裂いて深々と侵入する。奥歯を強く噛み締めても拡散しない鋭い痛みを分かち合うように、テレサの悲痛な叫びが上がった。

「あっ、バカ!」
「っ……ぉああぁっ!!」
「ぎゃんっ!」

 脇腹の痛みに耐えながら、女の身体を掴んで地面に叩きつける。相手は呻き、反撃の意を失ったようだ。
 スキル『投げ技』が決まったな。自分でやったとは思えない見事な動きだ。

「そっちの二人も受けてみるか?」
「ピンピンしてる……ナイフが刺さってるのに……」
「わざと受けてやったんだぜ? 今ここで人を呼べばどうなるだろうな?」
「な、なに?」
「この身体にはコイツのナイフが刺さっている。第三者もその瞬間を見てるしな」

 村長をはじめ俺はこの村の人間に信頼されている。この他所から来ただろう女達よりも。
 ココルの住民を呼べば、コイツらが不利になるって事だ。

「逃げた方が良いんじゃねーの? お尋ね者になりたくなかったらさ」
「ひ……!」
「に、逃げろっ!」

 三つの顔が同時に青ざめる。怯えだした女達は慌てて逃亡していった。

 逃げたか。何も奪われなくて良かったが……妙な連中だったな。
 さっき仲間がバカと言ってたのはただ嗜めたようには聞こえなかったが、考えすぎか?

 連中に対する奇妙な違和感について考えてると、不安な色を帯びているテレサに気が付いた。
 口元に手を当てているのは、恐ろしい光景を見てる故か。彼女の細い指がある部分を差す。

「あの……それ、大丈夫なのですか?」

 テレサが訊いているのは、脇腹に刺さったままのナイフのこと。
 刃はしっかりと肉に埋め込まれていて、そこからじわりと服に血を染み広げている。それに意識を戻すと酷い痛みが再燃し始めた。

「……一つ言いたいことがある」
「は、はい?」
「死ぬほど痛いぞ」
「だったらすぐに言ってください!」

 わざと受けたなんて嘘です。避けきれなかっただけなんです。

 うぅ、ちょー痛い。早く抜かなきゃ。
 でもこのナイフ、どうやって抜い――

「キュッ!」
「痛あぁぁぁぁ!?」
「レトさん!?」

 刺さったナイフをどうにか抜こうとして、突然飛び付いたレトが柄を噛んでは一気に引き抜く。
 抜けたのは良いが、それはそれで小さな騒動となった。




「五十一……五十二……五十三……」

 テレサが家で晩御飯を作っている間、俺は屋外で鍛錬をしていた。
 手伝うのもいいし、完治した直後で身体を動かすのもどうかと思うが、こうせずにはいられなかった。

 レトの視線を受けながら得物を振り続ける。ただ機械のように繰り返すのではなく、この場にはいない敵を仮想し、あらゆる軌跡わざを描く。

 シュヴェルタルあいつに対し自分ならどんな攻撃を、どんな攻撃なら通じるのかと、そんな事を考えながら振り続ける。

「八十八……八十九……」

 振るう回数に比例して腕の痛みも増してきた。
 以前の自分なら、すぐ止めただろう。

 だけど……少しでも強く、少しでも上へ。

 この身はBボーナスPポイントで強くすることはできないが、鍛錬で強くなることはできる。地道な努力を続けていかねば。

 少なくとも、この手に握り締められている贈り物に相応しく。

 このダガーは大切な者がくれた。
 彼女はもうこの世にはいないが、見守られている気分で、笑われないように鍛えていかないと。

「キュ?」

 レトが気付く。静かな空気の中に這い寄る異変に。
 それは俺にも耳朶を撫でる形で訪れた。

 足音が……こっちに近付いている。ココルの村人だろうか?

「……」
「カルド……?」

 暗がりから出てきたのは、カルドだった。

 驚いた。こんな時刻に来るのも、一人になりたいと誘いを断ったのに今来たのも。
 だから、何の用で来たのか気になった。

「夜中に徘徊してると怪しまれるぜ?」
「……」

 無言か。マジで怪しい徘徊者と勘違いされるぞ。
 まったく……用件を喋ってくれなきゃこっちが困るもんだ。

「もっかい言っておくが、明日は必ず来いよ。ちゃんとお前がやると言ったんだからな」
「分かっている。だが……お前はこの先どうするつもりだ?」
「この先?」
「シュヴェルタルを討った後の話だ」

 後のこと……?

 どういう理由があって、そんな質問を訊くんだろうか? それを訊いて、俺からの答えを知りたくてわざわざ家まで来たのか?

 今日はなんか……少し違う気がする。
 まあでも、珍しいカルドからの問いには答えたい気持ちもある。

 討った後はどうするか。そりゃあ――

「もう決まってるさ。テレサの件が解決したらココルを発つ。ゆくゆくはロンディアに渡るんだ」
「ロンディア……?」

 冷めた目が少しだけ目蓋を剥く。それには疑問というより多少の驚きが含まれていた。

「どうかした?」
「いや……昔読んだ書物にそんな名前があったのを覚えている……」
「お、それにはなんて書いてあったんだ?」
「そこまで関心が無かったからな。細かい事は覚えていない」

 なんだよ、知りたかったのに……。

 残念に思いながらも、それ以上情報を聞けそうになかったんで、中断していた鍛錬を再開することにした。
 なのだが……。

(…………きっ、気まずい!)

 カルドに見られながらの鍛練という、奇妙な時間が続く。すぐにでも止めたい気分だ。

「お前、それは何処で身に付けた?」

 何回か続けた時、カルドが閉じてばかりの口を開いた。
 他人の事には関心の薄い彼だが、剣術の心得を持っている身としては興味が無かったわけではないらしい。

「リージュさ。俺を助けてくれた奴が教えてくれたんだ」
「教わったにしては型が定まっていない。何故だ?」
「う……習うより身体で覚えろって言ってきてな。そりゃもう武器ブンブン振り回して殺す気で掛かってきて……」
「それは師に恵まれなかったな。動きもぎこちなく、無駄が多い」

 名だたる剣士からのありがたい低評価。差はあれど、それにはショックを感じられずにはいられず悔しさだって抱いた。

 未熟なのは分かってるよ。フィーリは異常に強かっただけで師匠じゃなかったし。

 はーあ、俺もカルドみたいに強かったらなあ。カルドは何処でそこまでの強さを身に付けたのやら……。

「そうだ。せっかく来たんだから、アドバイスくれよ」
「何のアドバイスだ……」

 教えてほしいのは、戦い方のアドバイス。二つ名を持つ程の人物なら有効な話を聞けそうだ。

 それを伝えるとカルドは呆れ顔になり、溜め息さえ吐いた。
 うんざりしたって止めはしないぞ。

「教えてくれよカルドさんよー。一言くらいでもいいからさー」
「っ……相手の身体の動きをよく観察しろ」
「身体?」
「そうだ。どう動くか分かれば何通りかの行動を予測できる。熟していけば守りと迎撃程度ならやれよう」

 言ってる事は理解できる。戦闘中にそんな事を考えられるカルドも凄いと思う。
 けどよ? それがすぐに出来たら苦労しないんだよ……。

「……シュヴェルタルはどんな敵だった?」
「え? あー、剣を持ってて恐ろしく強かった。長くは持たなかったな」
「どう強い?」
「んー、なんというか物凄く剣の扱いが上手くて……まるで達人だったな」
「そうか。ならば……があるんだな?」
「型? あっ……」

 そうか。シュヴェルタルは剣の扱いが上手かったが、それ故に戦い方が固まっている。
 相手の攻撃パターン、モーションが分かるなら少しでも対応できる。これなら確かに予測できそうだ。

「分かった気がする。感謝するよ」

 カルドが教えてくれた事を意識しながら、またも鍛錬を再開。

 シュヴェルタルの動きを思い出してと……確かあーして、こーしてたな。
 少しだけ対抗できそうな気がする。と言っても、主に戦うのはカルドなんだけどな。こんな事をしても出番があるかどうかも分からん。

「――相手をしよう」
「え?」
「手合わせだ。加減はしてやるが、思いっきり掛かってくるといい」

 腰の両手剣を手に持ち、よく見る構えに移るカルド。鞘から取り出し晒された刃には、ちろちろと揺らめく光が映っていた。

 しばし呆然。まさかカルドが鍛錬に付き合ってくれるとは思えなかったからだ。
 そんな状況が来るなんてまったく予想しなかったが、やがて口端に笑みを浮かべる。

 あの【閃傑】と手合わせができるとは良い機会だ。
 相手がいれば鍛錬が捗る。どれほど強いか、俺の腕がどこまで通じるか確かめてみたい。

「ああ、お手並み拝見だ……!」

 一人だけの鍛練を止め、戦闘態勢のカルドと向かい合う。
 ほんの少しの静寂。焚き火の炎がパチッと炸裂した時、お互いの得物が交錯した。



 テレサが呼びに来たのを頃合いに、模擬戦闘は終わった。

 躱され、防がれ、やられての三拍子。「加減とは?」という疑問が出るくらいにボコボコにされたが、パラメーターが少し上がっていた。

 カルドが帰った後はテレサと一緒にご飯を食べて、何周りか時を経て明日に備えて眠りについた。

 ……が、俺だけは眠りにつけなかった。

 軽い目蓋は何度閉じても開いてしまい、消えかけるソーラダイトの光に照らされた天井の模様を注視してしまう。

 ね、眠れねえ。あれだけ身体を動かしたのに全然眠りにつけない。
 天井ばかり見つめて辛くなってきたんで、少し夜風に当たろうと身体を起こす。すると、ベッドの上で眠るテレサが目に入った。

 なんとも綺麗な寝顔。すーっと静かに繰り返す呼吸も穏やかだ。
 一日の終わりに感謝し、明日を期待する健やかな眠り顔。そんな風に眠れるテレサに微笑ましい気分になる。

 しかし眠り姫の無垢さは、よろしくない感情さえ与えてくれた。


 ……夜這い、しちゃおうかあ。


 時刻は深い夜。一つの家の中には男女が一組。
 舌がペロリと唇を這う。夜の空気は人を邪な気分にさせてくれる。

 大昔、日本は夜這いを良しとする文化があったとかないとか。
 ここは日本じゃないし夜這いの文化があるのか知らんが、法や男女の公序良俗はまだ緩いとみた。

 というか、夜這いしちゃってもいいだろ。何日も一緒に住んでるんだし。過ちを犯してもテレサなら許してくれそうな気がする。


 ンなわけで……クズシンジ、今から夜這いしちゃいまーす!

「んんんんんっ!!」

 脛に訪れる痛み。それはベッドの下から現れたの妨害だった。

「キュウゥゥ……」

 歯形を残してベッドの下から出てきたのはレト。嫌な気配を感知して出てきたらしい。

 いってて……人の脚を噛みおって。声を我慢していなかったらテレサが起きてしまうところだった。
 今は眠る時間帯だ。さっさと戻って寝るんだな。

「キュイッ、キュッ」

 ……戻らない。何をしても嫌がり、眠りにつこうとはしなかった。
 コイツ、俺が何をしようとしているのか分かってやがる。これからのお楽しみを邪魔するつもりか?

 眠る女の子と同じ屋根の下、ケダモノが二匹。
 少女を襲おうとするケダモノ、少女を守ろうとするケダモノが夜の空気をピリつかせて対峙する。ゴゴゴという効果音が聞こえそうだ。

「どけ、大人しく戻るんだな」

 お前は番犬……じゃなくて番ラーダ(?)としてのありようを示し過ぎた。
 下がってもらおうか。俺は今からテレサにスケベする。妨害するならお前であっても容赦しないぞ。

 さあ、どうする? 抵抗するか?

「キュ……キュッ」

 小さな顔がある方向に向かって振られる。鼻先が差すのは外へ通じる扉だった。

 表へ出ろってか。外だったらテレサを起こさず存分にファイトできる。
 いいだろう。外でお前との力関係をはっきりしてやろうじゃねえか。

 レトの提案に乗り、家の外へ出る。すると…………ガチャリ。
 背後で音が鳴った。

「は?」

 後ろを見れば、戸が閉まっている。そこにレトはいなかった。

「お、おい? レト?」

 何をしているんだ、あの生き物は。外に出るんじゃなかったのか?

 家の中に戻ろうとして、コト、と音も追加される。何かあったのかと確認しに扉を開けようとしたが、何かが引っ掛かって開けられなかった。

 内側から愉快げな鳴き声が小さく聞こえる。今ので事態をはっきり理解した。

 や、やられたぁ……!

 締め出されてしまった。上手いこと外に誘い出して器用にドアを閉めやがった!
 くっ! 開かない! は、入れねえっ!完全に施錠されてやがるっ! さっきの音は閂を掛けた音だったんだ!

 こうなったら扉を破壊する? いや、こんな夜更けにそんな事をしてみろ。他人に見られたら強盗だと勘違いされて騒ぎになる。

 あ、あの畜生っ。味な真似をしやがって。
 なんとかテレサを起こすしかないっ。起きてー! 気付いてテレサー!

「開けてっ! 開けてっ! 開けてくださいっ。開けてええええぇぇぇぇ!!」

 どれだけ叩いても堅く閉ざされた扉は開かず、そのまま朝を迎える羽目になった……。



皆本みなもと 進児しんじ
《スキル》
『投げ技』
 ・相手の身体を掴んだ時、投げ技が使える(成功率は所持者の筋力のパラメーターに比例する)。
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