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全てを食らうもの編
単身赴任
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リガの街 昼 sideユーゴ
「コレットちゃん涎拭きましょうねー」
ジネットに抱かれた状態で、手足をパタパタしている娘の口周りを拭くが、何かの遊びか食べ物と思ったらしく、口の中へ入れようと動いている。
よし、拭き終わって、美人さんがもっと美人になったぞ。
口寂しくなったのか、自分の指を吸い始めるコレット。
子供達はそろそろ首が座るのではないだろうか。そうなれば抱っこもおんぶも思いのままだ。
「ああーーー!」
「あら。クリスどうしたの?」
ぬお!?
クリスが泣き出した!
どうしたクリス!パパに任せろ!
「ほら泣かないで。よしよし」
と思ったが、リリアーナの腕の中で揺すられると、あっという間に泣き止んだ。流石だ。
「クリスもふきふきしましょうねー」
涙と涎を拭きとる。
うむ。男前がもっと男前になった。
「あー」
お?男前になったクリスが俺の方を見て声を上げている。
どうしたー?
「うふふ。パパに抱っこして欲しいのよね。ね?クリス」
「あー」
なんですと!?喜んで!
「クリスおいでー」
首に気を付けながら、リリアーナからクリスを貰い受ける。
「あー」
「クリス嬉しいのかなー?パパも嬉しいですよー」
クリスは俺の顔をじっと見て、手足を動かしている。可愛いなあ。
「皆様。お茶をお持ちしました」
「あー!」
お茶を持ってきたアリーがリビングに入って来ると、クリスのくりくりしたお目目がアリーの方を向き、興奮したような声を出した。
「アリー。抱っこしてあげて」
「よろしいのですか?」
「もちろん」
クリスとコレットにとって、常に深夜一緒にいるアリーは、もう一人の母親だ。
コレットも視線をアリーに移している。
「どうしましたクリス御坊っちゃん」
「あー」
クリスに声を掛けるアリーだが、多分もう一人の母を見つけたから、興奮して声を出しているだけだ。その証拠にクリスはニパっと笑顔だ。
⦅ご主人!巡回終わったよ!異状なし!⦆
⦅これよりコレット、クリス護衛任務開始⦆
「あー」
「あ!」
そう思念を出しながら、リビングに突撃してくる我が家の警備隊長達。
アリーの方に向いていたクリスとコレットだが、親友の登場に視線はそっちへ行った。
子供の心は移ろいやすいのだ。
⦅クリスー。ポチだよー⦆
⦅タマです⦆
ポチは俺の背にジャンプしてクリスと視線を合わし、ソファに座ったジネットに抱かれているコレットには、タマが向かっていった。子供達も大興奮だ。
うむ。写真を撮ろう。
はん?家の前に転移?
これは…前にリリアーナの出産のお祝いに来た司祭と、…ドナート枢機卿か?
ははあん。さてはリリアーナとクリスの顔を見に来たな?しょうがないなあ。存分に見て帰るといい。
「リリアーナ。どうもドナート枢機卿が来たみたいだ」
「まあ。ドナート枢機卿が?クリスを見に来たのかしら?」
「多分ね。アリー、ごめんだけどお客様のお茶を2人分お願い」
「分かりました」
さて迎えに行こうか。
うっわ。玄関を開けて門の方を見たが、ドナート枢機卿顔が青いじゃん…。絶対これ厄介ごとだよ…。
今子供のアルバム編集で忙しいって事に出来ないかな?出来ないよなあ…。
「これはドナート枢機卿お久しぶりです。今日はどうされました?」
頼む。2日酔いで顔が青いだけだと言ってくれ。
「ユーゴ殿、緊急事態です。通知のベルが起動し、神々が人種では打倒できない存在が襲来しようとしていると仰られました。至急ユーゴ殿のご助力を要請しろと我々に通達が」
切羽詰まった様子でドナート枢機卿が切り出すが…。
うっそだろ。直接のご指名とはいつぶりだよ…。これ絶対長引くぞ。
「しょ、詳細をお願いします」
「はい。かつて海神が大海溝に敷いた結界を破り、異なる世界からの襲撃者がやって来るようです。神々は現在、その封印の詳細地を調べていると」
来てるのは分かってるのに、結界が何処か分かってねえのかよ!海神死んでるんか!?
しかも大海溝ってことは海の国だろ!?そこに何日詰めときゃいいんだよ!?
「それと…」
ドナート枢機卿が言い辛そうにしているが、まだあるのか。
「その"全てを食らうもの"という存在なのですが、神々でさえその強さを推し量ることができないと」
終わった。日帰りはプランは無理みたいだ。
「わ、分かりました。行きましょう。少し家族と話してきます」
「おお!どうかよろしくお願いします!」
ちくしょおおおおおお!!
◆
「皆ごめん。神様から直接指名で依頼されちゃったから、お仕事に行ってきます」
皆をリビングに集めて謝りまくる。
産まれたばかりの子供達と、奥さん達を置いて単身赴任とか…。おかしい。許されないはずだ。
「あなた。お気をつけて。コレットの事は任せてください」
「まあ。神々から。無事に帰ってきてくださいね。クリスの事は私が」
「お気を付けてご主人様!」
「いざとなったらナイスバディに変身するから、家の事は任せるのじゃ」
「屋敷の事は私が」
「勇吾様!御武運を!」
「みんなありがとう」
この原因を作ってくれた奴は、けちょんけちょんにして帰って来るから待っててね。
というか俺の方は無事に帰ってこれるんだろうか…。違う世界の位階の強さが違うのは、あのクソッタレな神の笑える大ポカで知っている。
いや、ネガティブな事を考えるな。
「コレットー。クリスー。パパお仕事行ってくるからねー」
相手が何であろうと、この恨みはらさでおくべきか。
「ポチ、タマ。皆をお願いね」
「わん!」
「にゃー」
よし行くか。
返って来た時に、子供が俺の事を見て泣きだしたら、原因はもう一回ぶん殴る!
「コレットちゃん涎拭きましょうねー」
ジネットに抱かれた状態で、手足をパタパタしている娘の口周りを拭くが、何かの遊びか食べ物と思ったらしく、口の中へ入れようと動いている。
よし、拭き終わって、美人さんがもっと美人になったぞ。
口寂しくなったのか、自分の指を吸い始めるコレット。
子供達はそろそろ首が座るのではないだろうか。そうなれば抱っこもおんぶも思いのままだ。
「ああーーー!」
「あら。クリスどうしたの?」
ぬお!?
クリスが泣き出した!
どうしたクリス!パパに任せろ!
「ほら泣かないで。よしよし」
と思ったが、リリアーナの腕の中で揺すられると、あっという間に泣き止んだ。流石だ。
「クリスもふきふきしましょうねー」
涙と涎を拭きとる。
うむ。男前がもっと男前になった。
「あー」
お?男前になったクリスが俺の方を見て声を上げている。
どうしたー?
「うふふ。パパに抱っこして欲しいのよね。ね?クリス」
「あー」
なんですと!?喜んで!
「クリスおいでー」
首に気を付けながら、リリアーナからクリスを貰い受ける。
「あー」
「クリス嬉しいのかなー?パパも嬉しいですよー」
クリスは俺の顔をじっと見て、手足を動かしている。可愛いなあ。
「皆様。お茶をお持ちしました」
「あー!」
お茶を持ってきたアリーがリビングに入って来ると、クリスのくりくりしたお目目がアリーの方を向き、興奮したような声を出した。
「アリー。抱っこしてあげて」
「よろしいのですか?」
「もちろん」
クリスとコレットにとって、常に深夜一緒にいるアリーは、もう一人の母親だ。
コレットも視線をアリーに移している。
「どうしましたクリス御坊っちゃん」
「あー」
クリスに声を掛けるアリーだが、多分もう一人の母を見つけたから、興奮して声を出しているだけだ。その証拠にクリスはニパっと笑顔だ。
⦅ご主人!巡回終わったよ!異状なし!⦆
⦅これよりコレット、クリス護衛任務開始⦆
「あー」
「あ!」
そう思念を出しながら、リビングに突撃してくる我が家の警備隊長達。
アリーの方に向いていたクリスとコレットだが、親友の登場に視線はそっちへ行った。
子供の心は移ろいやすいのだ。
⦅クリスー。ポチだよー⦆
⦅タマです⦆
ポチは俺の背にジャンプしてクリスと視線を合わし、ソファに座ったジネットに抱かれているコレットには、タマが向かっていった。子供達も大興奮だ。
うむ。写真を撮ろう。
はん?家の前に転移?
これは…前にリリアーナの出産のお祝いに来た司祭と、…ドナート枢機卿か?
ははあん。さてはリリアーナとクリスの顔を見に来たな?しょうがないなあ。存分に見て帰るといい。
「リリアーナ。どうもドナート枢機卿が来たみたいだ」
「まあ。ドナート枢機卿が?クリスを見に来たのかしら?」
「多分ね。アリー、ごめんだけどお客様のお茶を2人分お願い」
「分かりました」
さて迎えに行こうか。
うっわ。玄関を開けて門の方を見たが、ドナート枢機卿顔が青いじゃん…。絶対これ厄介ごとだよ…。
今子供のアルバム編集で忙しいって事に出来ないかな?出来ないよなあ…。
「これはドナート枢機卿お久しぶりです。今日はどうされました?」
頼む。2日酔いで顔が青いだけだと言ってくれ。
「ユーゴ殿、緊急事態です。通知のベルが起動し、神々が人種では打倒できない存在が襲来しようとしていると仰られました。至急ユーゴ殿のご助力を要請しろと我々に通達が」
切羽詰まった様子でドナート枢機卿が切り出すが…。
うっそだろ。直接のご指名とはいつぶりだよ…。これ絶対長引くぞ。
「しょ、詳細をお願いします」
「はい。かつて海神が大海溝に敷いた結界を破り、異なる世界からの襲撃者がやって来るようです。神々は現在、その封印の詳細地を調べていると」
来てるのは分かってるのに、結界が何処か分かってねえのかよ!海神死んでるんか!?
しかも大海溝ってことは海の国だろ!?そこに何日詰めときゃいいんだよ!?
「それと…」
ドナート枢機卿が言い辛そうにしているが、まだあるのか。
「その"全てを食らうもの"という存在なのですが、神々でさえその強さを推し量ることができないと」
終わった。日帰りはプランは無理みたいだ。
「わ、分かりました。行きましょう。少し家族と話してきます」
「おお!どうかよろしくお願いします!」
ちくしょおおおおおお!!
◆
「皆ごめん。神様から直接指名で依頼されちゃったから、お仕事に行ってきます」
皆をリビングに集めて謝りまくる。
産まれたばかりの子供達と、奥さん達を置いて単身赴任とか…。おかしい。許されないはずだ。
「あなた。お気をつけて。コレットの事は任せてください」
「まあ。神々から。無事に帰ってきてくださいね。クリスの事は私が」
「お気を付けてご主人様!」
「いざとなったらナイスバディに変身するから、家の事は任せるのじゃ」
「屋敷の事は私が」
「勇吾様!御武運を!」
「みんなありがとう」
この原因を作ってくれた奴は、けちょんけちょんにして帰って来るから待っててね。
というか俺の方は無事に帰ってこれるんだろうか…。違う世界の位階の強さが違うのは、あのクソッタレな神の笑える大ポカで知っている。
いや、ネガティブな事を考えるな。
「コレットー。クリスー。パパお仕事行ってくるからねー」
相手が何であろうと、この恨みはらさでおくべきか。
「ポチ、タマ。皆をお願いね」
「わん!」
「にゃー」
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返って来た時に、子供が俺の事を見て泣きだしたら、原因はもう一回ぶん殴る!
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