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第8章 引き離されて
第131話 リバウンド(2)★
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「だめっ……」
将の指を感じたとたん、聡は反射的に腰をひいた。
唇が離れた聡の顔を、将は見つめていた……目を見開いた真剣な顔だ。
そんな顔のくせに、熱く潤った聡の粘膜にさらに指を割り込ませてくる。
聡も将を見つめ返してくる。
だけど頬は尋常ではないほど紅潮しているし口は半開きになっている。
呆けたような表情に、いままで舌をからませていたその唇は唾液で濡れて光り、たまらなく淫らな顔だ。
きっと、将の中指がとらえたあたりも唇と同じようになっているに違いない。
「シャワー……あびないと」
聡は、やっと言葉を口にすることができた。
将はかまわず、続ける。
1秒後には聡は体をびくっと痙攣させて、さっきより高い声を漏らした。
聡は何度も、だめ、だめ、と首をふりながら逃げようと腰をひいたが、将は執拗に聡の敏感な場所を追ってくる。
それはどんどん的確にさえなってきている。
次第に、だめ、という言葉は、将に対する制止というより、快楽に溺れて一人歩きしそうな自らの肉体への、せめてもの抵抗と戒めになっている。
しかしそれも、もはや用をなさず、結局快楽を示すサインとなってしまった。
そして……ついに、将は聡から最後の1枚を抜き取ってしまった。
聡は将の前で、生まれたままの姿になってしまった。
将は一糸まとわぬ聡の体をいとおしく眺めた。
次々と襲う感覚に耐えられずに、目を閉じて肩を上下させている……なまめかしい聡。
聡をここまで連れて来たのは、まぎれもなく将である。
将は、それに満足し、さらに新たなる興奮を得ていた。
そして自分も同じように最後の1枚を脱ぎ捨てた。
聡は将がそのまま覆い被さってくるのかと思いきや、かつて聡が将自身に施したのと同じことを始めたので驚いた。
「や……そんなこと、しなくていい」
驚いた聡は横たわったまま将を見下ろして、息も絶えだえにようやく口にした。
が、まもなく、さっき胸の先端に感じたのより何十倍も鋭利な刺激がそこから体中に走るのを感じた。
ギターの、張りつめた高い弦を尖ったものでつま弾くような、そんな鋭い刺激。
制止の言葉を口にしようとするが、脳が麻痺してしまったように、言葉にならない声となって口から漏れていく。
あまりにも強い刺激……逃れたくても、将にがっちりと下半身を固定されている。
一方、将のほうは、進んでこんな行為に及んでいる自分に少し驚いていた。
もちろん、何度も経験はあるが、それまでは『ギブ&テイク』という感覚でのサービスだった。
存分に気持ちよくしてやるから、あとでその分返せよ、という損得勘定。
快感をこっちから与える能動的な時間と、向こうから与えてもらう受動的な時間が存在する、と17歳にして将は割り切っていたのだ。
だけど、聡を目の前にして。
『将がどうやったら気持ちよくなるか一生懸命だった』
聡がかつて将自身を愛したとき言ったこと……将は立場を変えてそれがよく理解できた。
そして今、将の前にさらけだされた聡のすべてが、いっそういとおしく思えた。
まだ17歳のくせに、こんなこと、するんだ。聡のわずかに残る意識が、無駄な抵抗を試みる。
だけど……将だから……。
理性も恥かしいという感情も、繰り返す刺激のうねりにとうに飲み込まれてしまった。
今聡を支配するのは、剥き出しになった『女』としての感覚だ。それが淫らな声をしきりに漏らす。
もう少しで……てっぺん。
「しょう、将、」
聡は、いま、心も体も、かつてないほど将を激しく求めて、手を伸ばした……。
そのとき、頂に到達してまっ白になった聡の思考を切り裂くように携帯が鳴った。
バッグの中に入ったままの聡の携帯だ。
携帯の音は、現実世界に生きる聡を一気に呼び戻した。
だけど将は、そんな音は聞こえないように続けている。
聡は自分の意図と関係なく、勝手にビクビクと痙攣する体で、息も絶え絶えになりながら
「……将、電話」
やっと声を出す。ひどくかすれた声だ。
将は、聡の開いた脚の間から顔を上げて、聡と目をあわせると
「……ほっとけよ」
と一言で、聡の濡れた襞にその舌を戻す。
しかし、携帯はしつこく鳴り続けている。
「出なくちゃ……」
「……」
「ねえ、ってば」
とうとう、いち社会人の聡が、肉体の快楽に勝った。
聡は腰を引くと、起き上がってボストンのポケットから携帯を取り出した。
そこには学校の番号が表示されていた。
聡はベッドの端に腰掛けると、同じように裸でベッドの真ん中に座り込む将に「学校」と小さく伝えて、電話を取った。
「お疲れ様です、古城先生。無事東京に戻られましたか」
電話の相手は、教頭だった。
「あ……ハイ」
聡は普通の声を出すべく苦労したが、どうしても声がかすれてしまう。
「もうお休みでしたか」
「いえ」
聡は、教え子との濡れ場を見透かされたかのようにドキっとする。
こんなふうに裸でいるのも覗かれているような錯覚。
下を向いた聡に、自分の陰毛が黒く淫らに映る。
聡は将の愛撫を受けていたときとは違った感覚で顔がカッと熱くなるのを感じた。
背中に熱気を感じて振り返る。電話で話す聡のすぐそばに将が寄り添っていた。
「それで、急で申し訳ないんですが、古城先生に渡しておきたい書類があるんです……」
教頭の用件を真剣に聞く聡を、将がいたずら心で後ろから抱きしめる。
「月曜日でも、とも思ったんですが、月曜日は用務員夫婦さんが朝から入られるから出発は早いだろうと思いまして」
「あッ」
思わず聡は場違いな声をもらしてしまった。話に対してではない。
後ろから聡を抱きしめた将は、聡の乳房をわしづかみにすると、その先端を軽くつねったのだ。
思いがけなかったのと、さっきの余韻で敏感になっている聡は、声を抑えることができなかった。
「古城先生?」
電話の向こうで教頭のけげんな声が聞こえた。
「いえ……」
聡は、携帯に向かって取り繕いながら、背筋を伸ばすと、将を睨みつけて、拳を振り上げるポーズをした。
将は声を立てずに笑いながらベッドの上に転がり『やられた』ポーズをした。
「それで、その書類ですが、今から取りに来ていただけませんか」
まったく体を隠さず、大の字に倒れている裸の将だから、当然何もかも丸見えだ。
「今から、ですか」
聡は将から目をそらして、急な用件に軽く抗議の声をあげた。
時計を見ると9時半に近い。
「ハイ。明日は休みですし……。取りに来ていただくだけですから」
聡はため息をついて、了解すると電話を切った。
電話を切るなり、横たわっていた将はバネのように起き上がり、座って携帯を握ったままの聡に抱きついてきた。
ごく自然に裸の乳房をまさぐりながら電話の内容を訊く。
「今から、なんだって」
聡はため息をつきながら、唇を尖らせて命令された内容を言う。
「ガッコ-に書類を取りに来い、だって」
「ええー!」
将は驚いたようだ。眉を歪めて目を見開いて、そりゃないぜ、という抗議を顔全体で現している。
「いまからぁ!……やめとけよ」
そのまま聡を押し倒して、口づけをする。
「そういうわけにもいかないでしょ」
聡は将の唇から自分の唇を引き剥がした。
「じゃあさ、1回終わってからにしようよ」
起き上がろうとする聡を将は押さえつけたが、聡はもう完全に仕事モードになっているようだった。
「ダメ。教頭先生、待ってるみたいだもん」
聡は将を制して起き上がると、ベッドの中でくちゃくちゃになっていた下着を見つけ出して穿いた。
将は裸のまま、ブスっとして、聡が服を次々と身につけていくさまを見ていた。
あっという間に、さっき喘ぎ声を出していた女とは別人のような社会人に変身してしまった。
「あんなに……たくせに」
「え、何?」
聡は化粧を直しているコンパクトから将に振り返った。
「フン」
とそっぽを向いて拗ねる将の声に、長く響く鈍い音が重なった。
「あ……」
興奮から醒めた将の内臓が空腹を一気に訴え始めたのだ。
「書類もらうだけだから、一緒に行く?帰りにご飯でも食べようよ」
さっきの淫らさをみじんも見せずに、聡は微笑みながら、まだ裸でいる将の隣に腰をおろした。
「ね?」
そういって首を少し傾けて上目遣いで将を見る。
そんな聡はやっぱり可愛い。将は聡の肩を抱き寄せると、
「オレ、メシより、アキラが食いたいんだけど」
といって軽く唇をあわせる。
「腹が減っては戦はできぬ、っていうでしょ。ほら服着て」
聡は将のほっぺたに音を立ててキスを返した。
将の指を感じたとたん、聡は反射的に腰をひいた。
唇が離れた聡の顔を、将は見つめていた……目を見開いた真剣な顔だ。
そんな顔のくせに、熱く潤った聡の粘膜にさらに指を割り込ませてくる。
聡も将を見つめ返してくる。
だけど頬は尋常ではないほど紅潮しているし口は半開きになっている。
呆けたような表情に、いままで舌をからませていたその唇は唾液で濡れて光り、たまらなく淫らな顔だ。
きっと、将の中指がとらえたあたりも唇と同じようになっているに違いない。
「シャワー……あびないと」
聡は、やっと言葉を口にすることができた。
将はかまわず、続ける。
1秒後には聡は体をびくっと痙攣させて、さっきより高い声を漏らした。
聡は何度も、だめ、だめ、と首をふりながら逃げようと腰をひいたが、将は執拗に聡の敏感な場所を追ってくる。
それはどんどん的確にさえなってきている。
次第に、だめ、という言葉は、将に対する制止というより、快楽に溺れて一人歩きしそうな自らの肉体への、せめてもの抵抗と戒めになっている。
しかしそれも、もはや用をなさず、結局快楽を示すサインとなってしまった。
そして……ついに、将は聡から最後の1枚を抜き取ってしまった。
聡は将の前で、生まれたままの姿になってしまった。
将は一糸まとわぬ聡の体をいとおしく眺めた。
次々と襲う感覚に耐えられずに、目を閉じて肩を上下させている……なまめかしい聡。
聡をここまで連れて来たのは、まぎれもなく将である。
将は、それに満足し、さらに新たなる興奮を得ていた。
そして自分も同じように最後の1枚を脱ぎ捨てた。
聡は将がそのまま覆い被さってくるのかと思いきや、かつて聡が将自身に施したのと同じことを始めたので驚いた。
「や……そんなこと、しなくていい」
驚いた聡は横たわったまま将を見下ろして、息も絶えだえにようやく口にした。
が、まもなく、さっき胸の先端に感じたのより何十倍も鋭利な刺激がそこから体中に走るのを感じた。
ギターの、張りつめた高い弦を尖ったものでつま弾くような、そんな鋭い刺激。
制止の言葉を口にしようとするが、脳が麻痺してしまったように、言葉にならない声となって口から漏れていく。
あまりにも強い刺激……逃れたくても、将にがっちりと下半身を固定されている。
一方、将のほうは、進んでこんな行為に及んでいる自分に少し驚いていた。
もちろん、何度も経験はあるが、それまでは『ギブ&テイク』という感覚でのサービスだった。
存分に気持ちよくしてやるから、あとでその分返せよ、という損得勘定。
快感をこっちから与える能動的な時間と、向こうから与えてもらう受動的な時間が存在する、と17歳にして将は割り切っていたのだ。
だけど、聡を目の前にして。
『将がどうやったら気持ちよくなるか一生懸命だった』
聡がかつて将自身を愛したとき言ったこと……将は立場を変えてそれがよく理解できた。
そして今、将の前にさらけだされた聡のすべてが、いっそういとおしく思えた。
まだ17歳のくせに、こんなこと、するんだ。聡のわずかに残る意識が、無駄な抵抗を試みる。
だけど……将だから……。
理性も恥かしいという感情も、繰り返す刺激のうねりにとうに飲み込まれてしまった。
今聡を支配するのは、剥き出しになった『女』としての感覚だ。それが淫らな声をしきりに漏らす。
もう少しで……てっぺん。
「しょう、将、」
聡は、いま、心も体も、かつてないほど将を激しく求めて、手を伸ばした……。
そのとき、頂に到達してまっ白になった聡の思考を切り裂くように携帯が鳴った。
バッグの中に入ったままの聡の携帯だ。
携帯の音は、現実世界に生きる聡を一気に呼び戻した。
だけど将は、そんな音は聞こえないように続けている。
聡は自分の意図と関係なく、勝手にビクビクと痙攣する体で、息も絶え絶えになりながら
「……将、電話」
やっと声を出す。ひどくかすれた声だ。
将は、聡の開いた脚の間から顔を上げて、聡と目をあわせると
「……ほっとけよ」
と一言で、聡の濡れた襞にその舌を戻す。
しかし、携帯はしつこく鳴り続けている。
「出なくちゃ……」
「……」
「ねえ、ってば」
とうとう、いち社会人の聡が、肉体の快楽に勝った。
聡は腰を引くと、起き上がってボストンのポケットから携帯を取り出した。
そこには学校の番号が表示されていた。
聡はベッドの端に腰掛けると、同じように裸でベッドの真ん中に座り込む将に「学校」と小さく伝えて、電話を取った。
「お疲れ様です、古城先生。無事東京に戻られましたか」
電話の相手は、教頭だった。
「あ……ハイ」
聡は普通の声を出すべく苦労したが、どうしても声がかすれてしまう。
「もうお休みでしたか」
「いえ」
聡は、教え子との濡れ場を見透かされたかのようにドキっとする。
こんなふうに裸でいるのも覗かれているような錯覚。
下を向いた聡に、自分の陰毛が黒く淫らに映る。
聡は将の愛撫を受けていたときとは違った感覚で顔がカッと熱くなるのを感じた。
背中に熱気を感じて振り返る。電話で話す聡のすぐそばに将が寄り添っていた。
「それで、急で申し訳ないんですが、古城先生に渡しておきたい書類があるんです……」
教頭の用件を真剣に聞く聡を、将がいたずら心で後ろから抱きしめる。
「月曜日でも、とも思ったんですが、月曜日は用務員夫婦さんが朝から入られるから出発は早いだろうと思いまして」
「あッ」
思わず聡は場違いな声をもらしてしまった。話に対してではない。
後ろから聡を抱きしめた将は、聡の乳房をわしづかみにすると、その先端を軽くつねったのだ。
思いがけなかったのと、さっきの余韻で敏感になっている聡は、声を抑えることができなかった。
「古城先生?」
電話の向こうで教頭のけげんな声が聞こえた。
「いえ……」
聡は、携帯に向かって取り繕いながら、背筋を伸ばすと、将を睨みつけて、拳を振り上げるポーズをした。
将は声を立てずに笑いながらベッドの上に転がり『やられた』ポーズをした。
「それで、その書類ですが、今から取りに来ていただけませんか」
まったく体を隠さず、大の字に倒れている裸の将だから、当然何もかも丸見えだ。
「今から、ですか」
聡は将から目をそらして、急な用件に軽く抗議の声をあげた。
時計を見ると9時半に近い。
「ハイ。明日は休みですし……。取りに来ていただくだけですから」
聡はため息をついて、了解すると電話を切った。
電話を切るなり、横たわっていた将はバネのように起き上がり、座って携帯を握ったままの聡に抱きついてきた。
ごく自然に裸の乳房をまさぐりながら電話の内容を訊く。
「今から、なんだって」
聡はため息をつきながら、唇を尖らせて命令された内容を言う。
「ガッコ-に書類を取りに来い、だって」
「ええー!」
将は驚いたようだ。眉を歪めて目を見開いて、そりゃないぜ、という抗議を顔全体で現している。
「いまからぁ!……やめとけよ」
そのまま聡を押し倒して、口づけをする。
「そういうわけにもいかないでしょ」
聡は将の唇から自分の唇を引き剥がした。
「じゃあさ、1回終わってからにしようよ」
起き上がろうとする聡を将は押さえつけたが、聡はもう完全に仕事モードになっているようだった。
「ダメ。教頭先生、待ってるみたいだもん」
聡は将を制して起き上がると、ベッドの中でくちゃくちゃになっていた下着を見つけ出して穿いた。
将は裸のまま、ブスっとして、聡が服を次々と身につけていくさまを見ていた。
あっという間に、さっき喘ぎ声を出していた女とは別人のような社会人に変身してしまった。
「あんなに……たくせに」
「え、何?」
聡は化粧を直しているコンパクトから将に振り返った。
「フン」
とそっぽを向いて拗ねる将の声に、長く響く鈍い音が重なった。
「あ……」
興奮から醒めた将の内臓が空腹を一気に訴え始めたのだ。
「書類もらうだけだから、一緒に行く?帰りにご飯でも食べようよ」
さっきの淫らさをみじんも見せずに、聡は微笑みながら、まだ裸でいる将の隣に腰をおろした。
「ね?」
そういって首を少し傾けて上目遣いで将を見る。
そんな聡はやっぱり可愛い。将は聡の肩を抱き寄せると、
「オレ、メシより、アキラが食いたいんだけど」
といって軽く唇をあわせる。
「腹が減っては戦はできぬ、っていうでしょ。ほら服着て」
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