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三章 平和って良いですね

二十四話

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「これは………【能力閲覧】ってスキルが生えたのか。それから、【育成】ってスキルもあるな」


 鑑定宝珠で見たステータスと同じような数字が並んでいる。違う点といえば、ツクモのステータスがちゃんと数値化されている事と、残りSPという物があることか。それからツクモに進化なるものが追加されてるな。

 恐らく、これは【能力閲覧】ってスキルのおかげで自分と従魔のステータスが見えるようになったんだろう。


「便利だな、これ。触れたりはするんだろうか?」


 ふと疑問に思い、触ってみることにした。何処でも良かったけど、残りSPの所に指をやってみた。単純に何か気になったからね。

 画面が切り替わり、各ステータスの数字の後ろに+と-のマークが現れた。+は濃い黒で、-は薄いグレーっぽい色だ。その後ろには「最大」の文字がある。

 そして、一番下には「やり直す」と「確定」って書いてあるな。


「これって、任意でステータスをいじれるって事だよなぁ」


 授業では、ステータスはジョブ取得後のレベルアップ時に、ジョブに合ったステータスが上がるのと、スキルが生えた時に対応したステータスが上がると教わった

 後はステータスの上がるアイテムや、装備している間だけボーナスがつく武具はあるな。

 もし、任意でステータスを上げることが出来るなら、なんかズルしてるみたいだ。


「って言っても、危険な目には極力あいたくないから、強くなれるならなりたいけどな」


 俺は試しに筋力の数字をいじってみる。

 +を押すと、数字は2に変わり、後ろの-が+と同じように濃い黒色になった。残りSPは当然58だ。

 今度は-を触ると数字はまた1に戻り、-の色も元の色に戻る。もう一度-を押しても、数字は変わらない。当たり前かもしれないけど、数字を最初のものより下げる事はできいんだろうな。

 次に「最大」を押してみる。残りSPが0になり、筋力が60になる。


「この状態で変わってるのかな?」


 疑問に思ったから、近くにあった少し大きめの石を持ち上げてみる。思った以上に軽く感じるな。ステータスが1上がる毎に5%身体能力が上がるらしいので、60であれば通常の3倍になっている計算だ。

 キャンセルしてもう一度持ち上げてみると、やっぱり重く感じるな。


「この仮段階ですでに変わるんだな。お試ししながら決めても良いのかもしれないな」
「ちぅ」
「あ、ゴメン。いけない、ちょっと時間が経っちゃったね。反対側も見てみて何も無いようなら皆の所に戻ろうか」
「ちぅ」


 考え込んでいたら、少し時間が経ち過ぎたようだ。

 その間、放っておかれたツクモは少し寂しそうにしていた。頭を撫でてご機嫌をとると、嬉しそうに鳴いて俺の肩に上ってきた。

 あまり遅いと吉根たちにも心配かけるかもしれないから、新しいスキルの検証は後にして偵察に戻る。

 森ゾーンには入らず、境目周辺を見回って何匹かエネミーを駆除してツクモの非常食を確保。

 一度森に踏み入ろうとしたけど、それだけで【危険察知】が僅かに反応したので、やはりやめておいた。

 あらかた見て回ったので、俺達はみんなの所に戻ることにした。
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