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四章 二体目ですよ

四十七話

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 金曜日。

 再び合同実習の日だ。

 今回も前回と同じメンバーで探索をしていく。特に不満も無いし、卒業までこれで固定でも良いぐらいだ。


「よし、それじやそろそろ行くっスよ」


 引き続き吉根がパーティーリーダーだ。前回ボス犬がドロップした革鎧と、普通のブラックハウンドがドロップした革兜を着込んでいる。段々硬くなって立派な壁役になって欲しい。

 因みに、エネミーからドロップした装備品は学校の工房でサイズ調整してもらえる。前回、三つ革鎧がドロップしたんだけど、それぞれ吉根と市場君、それから天子田さんが着けている。

 泉ヶ丘さんは動きにくくなるからと、今回は装備しないそうだ。

 天子田さんは革鎧の他にヘルメットと大きな盾を装備している。防具だけでも固めておきたかったらしい。因みにヘルメットと盾は市販の強化プラスチック製だ。

 最近はホームセンターに簡単な防具は売ってるようになった。便利な時代だね。


「じゃ、俺はこの辺で」
「気を付けるっスよ」


 林ゾーンに来ると俺は樹上へ。定番のアイテムパトロールだ。

 それに上から見ていた方が索敵もしやすいというのもある。


「おっとぉ」
「ちぅ」


 ただ、気を付けなきゃいけないのが、たまにブッシュスネークと鉢合わせしてしまうことだ。

 今も着地する寸前に【危険察知】が働いて驚かされた。見ればなかなか立派な大きさのブッシュスネークが幹にへばりついている。

 着地と同時に俺は棒を振るう。

 ブッシュスネークも油断していたんだろう、ほとんど反応する事もなく魔石になった。


「大丈夫っスかぁ?」
「大丈夫。蛇がいただけだよ。魔石を落とすから受け取ってね」
「はい」


 天子田さんに向けてそっと魔石を落とす。それを上手くキャッチする。さすが運動部だけあって天子田さんは反射神経が良いな。

 苦もなく魔石を受け取った天子田さんは、リュックのサイドポケットにしまう。それを見届けて先へ進む。

 今回の目的地は、森ゾーンの先にある山岳ゾーンだ。そこの何処かに二層へ向かう階段があるそうだ。

 行けるようなら二層へも行ってみたいと、俺達は事前に話し合っていた。

 三層に出るっていうブラックハウンドを倒したので、戦力的には大丈夫だろうという判断だ。まあ、その前に階層主を倒さなくちゃいけないから、油断は出来ないけどね。

 この第一ダンジョンは一年かけて攻略するって事だけど、実習自体は週に一日しかないからね。6月から始めて、夏休みなんかの長期休暇を除いたら三十回あるかないかだ。

 さくさく行けるところは行かないと、のんびりしてたら留年してしまう。

 まぁ、プロなら一日あれば踏破してしまうらしいけどね。俺達はレベルを上げながらだから、どうしても時間がかかってしまうんだ。


「そろそろ森に入るから警戒してね!」
「了解っス」
「任せとけ」


 今回のフォーメーションは先頭が吉根で二番目が泉ヶ丘さん。その次に天子田さんで、最後に市場君だ。

 他の人から後ろからエネミーが来ることもあるって聞いたから、その対策としてこの並びにした。

 まぁ、樹上から俺が索敵しているから、よっぽど奇襲はされないだろうけど、一応念のためだ。

 俺達はそれぞれ緊張しつつ、木々が密集する森の中へと進むのだった。
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