県立冒険者高等学校のテイマーくん

丸八

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四章 二体目ですよ

四十八話

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「ん?普通だな」


 森ゾーンの中はいたって普通だった。前回のような不自然な程の静けさがなかった。

 やはり前回がイレギュラーだったんだろうな。

 辺りを警戒しながら進む。パーティーから離れている事によって、【危険察知】の反応が変わる。俺以外のメンバーが襲われる時にほとんど反応しなくなるんだ。

 逆に言えば、エネミーの反応を察知するスキルが生えるチャンスだ。


「あ、市場君。右手に蛇が!」
「おう!」


 下生えが揺れてるのを【遠見】で注視すれば、茶色と黒の斑模様のブッシュスネークがいるのを発見。色が今までの緑色とは違うから、変異体や上位種の可能性もあるな。

 俺の声に市場君が反応する。すぐにブッシュスネークを捕捉出来たようだ。

 ブッシュスネークが攻撃してくる前に戦斧で下生えごとズドンと叩き切った。豪快だな。

 後には魔石と蛇皮が残る。どうやら装備品じゃなくて素材のようだ。

 天子田さんが回収していると、今度は前方から三体のワイルドドッグが走ってきた。既に吉根も気付いており、臨戦体勢を整えている。


「前に犬三体!」
「了解っス」
「はい!」


 おっと、こっちにもブッシュスネークだ。【危険察知】の警告音のままに顔を上げると三匹のブッシュスネークが幹を這い下りてきた。


「ツクモ、コイツらはこっちで処理しよう」
「ちぅ」


 ツクモは返事をするが早いか、【突風】を放つ。ブッシュスネークを三匹とも巻き込んで吹き荒れた魔法は、二匹のブッシュスネークを魔石に変える。


「トドメ、っと。後続はいないな」


 棒でブッシュスネークの頭を潰して止めを刺す。

 下を見ると、吉根達も危なげなくワイルドドッグを駆除していた。


「エネミー多いね」
「そう、ね」


 魔石を天子田さんに届ける序でに声をかける。袋の口を広げて差し出してくれたので、その中にブッシュスネークの魔石をいれる。チャリチャリと魔石同士が当たる音が心地いい。


「いくら奥の方っていっても一層目からこんなにエネミーでるんスね」
「まだこっちの方に来る連中が少ないのかもしれんな」
「あぁ、八剣達の件でビビってる連中も結構いたっスね」


 駆除する数よりリポップする数の方が多いから、エンカウントの頻度が高いんじゃないかと市場君が言う。

 八剣君のパーティーが入院したことで、怖がってる人も多いみたいだ。

 入院っていっても、既に傷は治って退院しているらしいけど、全滅のインパクトは大きかった。

 特に女子は少し尻込みしている子が多いようだ。命に別状がなくても傷跡が残るのは普通なら嫌だろうしね。


「泉ヶ丘さんと天子田さんは大丈夫?無理してない?」
「あたしはリクを信頼してるから」


 言って顔を赤らめる泉ヶ丘さん。さりげなく惚気られたな。市場君も照れながら頭を掻いている。

 実際、市場君の戦斧は【剛力】と相まってかなりの威力だからね。頼もしいダメージディーラーだよ。


「わ、私もみんなの事信頼してる、から」
「信頼してくれて嬉しいっスね」


 そう言いながら、拾い集めた魔石を天子田さんに渡す吉根。

 天子田さんは黙って袋の口を締めると、リュックに入れて背負い直す。


「連携もとれるようになってきたし、よほどの事がないかぎり逃げることぐらいはできるだろ」
「そっスね。頼りにしてるっスよ、斥候さん」
「頼りにするのは良いけど、丸投げすんなよ。ちゃんと自分たちでも警戒するんだぞ」
「はいはい」
「了解っス」
「お前らなぁ」


 軽口を叩きあいながら隊列を整える。硬くなり過ぎない雰囲気は良い結果を生みそうだ。
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