県立冒険者高等学校のテイマーくん

丸八

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四章 二体目ですよ

五十一話

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「あ、山頂、もとい最奥っスね」


 途中から傾斜がキツくなり、本格的な山登りの感じが出てきたけど、ようやく果てが見えてきた。

 体力があまりない泉ヶ丘さんは、既に立っているのがやっとのようだ。

 標高は200mといったところだろうか。振り向くとダンジョンの中が一望出来る


「あそこの扉がボス部屋っスね。とりあえず一旦休憩にするっス」


 吉根が休憩の言葉を口にした瞬間、泉ヶ丘さんは膝から崩れ落ちた。そのまま下まで転がり落ちそうだったので、慌てて市場君が支える。


「これ、水です」
「あり、がと」


 息も絶え絶えな泉ヶ丘さんに、天子田さんがリュックから水筒を取り出して渡す。

 水筒の蓋に注いだ分を一息に飲み干す泉ヶ丘さん。

 相当バテてるようだ。


「オレらも座って休憩するっス」
「そうだね」


 地味に俺の足もツラい。偵察の為に何度も登ったり下りたりを繰り返したからね。

 吉根や市場君も何度か戦闘を行ったから疲れているだろう。足場もそんなに良くなかったからね。

 天子田さんも言わずもがなだ。ドロップアイテムで重くなっていく荷物を何回も上げ下ろししたからね。スキルの補助があるとはいえ過酷だよね。ただ、基礎体力が違うのか、一見ピンピンしてるけど。


「ダンジョンの中は無風なのがツラいっスね」
「確かに。ちょっと風があると良いのにな」
「ちぅ!」


 ツクモが任せとけって感じで【送風】を使う。威力は弱めで、扇風機の弱ぐらいだ。それを範囲を広げてみんなに風が当たるようにしてくれている。

 どうやら、魔法の威力の調整が出来るようになったみたいだな。

 火照った身体にちょうど良い涼しさだ。


「スゴいぞ、ツクモ!」
「ちぅ!」


 頭を撫でて褒めてやる。目を細めて嬉しそうだ。


「ツクモちゃんは芸達者っスね」
「うんうん」


 残りのメンバーも寄ってきて風に当たる。

 俺達も水筒から水を飲み、短めの休憩をとる。ダンジョンの中だから、完全にリラックスする事は出来ないけど、随分と疲れが取れた気がするな。


「さて、あそこにボス部屋の扉があるけど入るっスか?」


 全員の息が整ったところで、吉根が切り出した。


「行く。山をまた登りたくない」


 珍しく泉ヶ丘さんが食い気味だ。

 階層主を倒して次の階層に行けば、ダンジョンに入る時にどの階層に行くか選べるようになるからね。

 体力的に泉ヶ丘さんがこの山道を何回も行ったり来たりするのは難しいだろう。


「そうだな。ボスを倒して転移装置で帰ろう。オレもこの山道を下りていくのは流石にしんどい」
「そうだね、そうしよう」
「了解っス。天子田さんもそれで良いっスか?」
「は、はい。お任せします」


 みんなも階層主戦に賛成のようだ。さすがにここからの景色を眺めてたら下りていく気が失せるからね。

 さて、出陣。っと、その前にツクモのSPを振っておこう。今回は体力と器用に振っておく。体力が1と器用が2だ。

 魔力なんかは種族とジョブのお陰で自然と伸びるから、当分は足りないところを伸ばしたい。


「じゃあ、ボス戦行くっスよ!」
「おう!」


 前衛二人は意気揚々と歩き出す。

 ボス部屋の前はちょっとした広場になっていて、エネミーの気配は無い。

 高さが3m程の扉がダンジョンの壁面にはまっている。飾り気の無い扉に手をつけ、吉根がおもいっきり押していく。

 引き戸だったというお約束もなく、扉は徐々に開いていくのだった。
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