県立冒険者高等学校のテイマーくん

丸八

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四章 二体目ですよ

五十二話

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 俺達が全員入ると同時に扉が閉まる。一瞬、動揺が走るけど、入室すると扉が閉まるのはあらかじめ聞いているので、すぐにみんな落ち着きを取り戻す。

 ボス部屋の中は外とは違い、薄暗かった。

 目測で一辺は10mの立方体ってところかな。かなり広く感じる。

 床や壁はゴツゴツとした岩肌で、なんだか洞窟の中を思い浮かべる。

 何処からか生臭い風が吹いていて、思わず顔をしかめさせられる。見れば他のパーティーメンバーも同じような顔をしている。


「何も、無い?」


 ポツリと市場君が呟く。

 確かにボス部屋の中は何もなく、ガランとしている。


「あそこ、魔力の塊」


 泉ヶ丘さんが指差したのは、部屋の中央だ。微かに靄のようなものが浮いている。多分、それが泉ヶ丘さんの言う魔力の塊なんだろう。

 気付くと魔力の塊は濃く、それでいて大きく渦巻いていく。

 その光景に圧倒され、思わず後退る。


「シャー!!」


 一瞬、黒く光った魔力の渦は、一体の大蛇へと形を変えた。


角大蛇ホーンボアっス!」


 吉根が叫ぶ。

 ボスは一本角が生えてる大蛇だ。角大蛇とか安直な名前だよね。

 鮮やかなエメラルドグリーンの蛇体の体長は3mほど。太さは直径60cmぐらいあり、泉ヶ丘さんなら一呑み出来るだろう。

 角のある頭部は厳つい感じだけど、意外と眼は円らで、爬虫類が好きなら可愛いとすら思うかもしれない。

 チロチロと舌が出入りする口の奥には鋭い歯が並んでいる。毒は無いって聞いてるけど、噛まれたら痛いだけじゃ済まなさそうだ。


「来るぞ!」


 角大蛇が身体をくねらせながら、先頭に立っている吉根に向かう。なかなかのスピードだ。


「コンチクショウっス!」


 角で串刺しにしようと突進してくるのを入り身で躱し、吉根は盾で角大蛇の頭をしたたかに叩く。

 頭を揺さぶられ、一瞬ふらつきを見せる角大蛇。


「そらっ!【強撃】をくらえ!」


 市場君が角大蛇の胴を叩き切る勢いで戦斧を振り下ろす。しかし、戦斧の刃は角大蛇の鱗に多少の傷を付けるにとどまった。


「硬いな!」
「でも、無傷じゃないっス。このまま続けるっス!」
「おうよ!」


 流石は階層主だ。一筋縄じゃいけなさそうだな。

 だけど、攻撃が全く効いてない訳じゃないから、ミスさえしなければ駆除出来そうだ。

 俺は前衛と泉ヶ丘さんの間に立ち、展開しだいで柔軟に動けるようにする。

 天子田さんは泉ヶ丘さんより少し後ろで盾をかまえている。戦うことが出来ないから、守りを固めながら待機してもらっているんだ。

 角大蛇の強さはブラックハウンドの群と同等か、少し劣るくらいだ。硬くて力は強いけど、一体だけなのでまだ対処しやすそうだ。


「ツクモ、【突風】を!」
「ちぅ!」


 吉根が攻撃を受けそこなってノックバックしてしまう。そこを追撃しようとしているところに、ツクモの【突風】をぶつける。

 角大蛇はカウンターパンチを受けた感じになりよろめいて追撃は逸れる。その間に吉根は体勢を立て直す。


「サンキュっス」


 ついでにHPが減っている吉根に【癒しのそよ風】をかける。

 このまま押しきれるかと思ったけど、腐っても階層主だ。それほど甘い相手じゃなかった。


「ぐわっ!?」
「リク!」


 尻尾を鞭のようにしならせると、戦斧を振り上げていた市場君に叩きつけ、そのまま身体全体で巻きついていった。

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