県立冒険者高等学校のテイマーくん

丸八

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四章 二体目ですよ

六十一話

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「どうやらあれで最後っスね」


 オブジェが色を失い、活動を停めた。どうやら魔力切れみたいだね。

 オブジェの前には最後のゴブリンが立っている。手に持っているのは棍棒よりちょっと細い木の枝だ。

 魔力が足りなくて武器が貧相な枝になったのかと思ったけど、そういうわけじゃなかったようだ。


「ゴブリンマジシャン」


 ポツリと泉ヶ丘さんがエネミーの正体を看破する。どうやらゴブリンにも魔法を使う個体がいるようだ。

 魔法使う人って知性的なイメージがあったから意外だわ。ツクモも賢いしね。

 でも、結局スキルの一つだからそういうのは関係無いのかも。


「うわ!?【火球ファイヤーボール】撃ってきたっス!」


 ゴブリンマジシャンの持つ木の枝みたいな杖から、拳大の火の玉が打ち出された。驚いた吉根はそれを盾で叩き落とす。

 威力はそんなに強くなさそうだね。


「ツクモ、【突風】」
「ちぅ!」


 お返しとばかりにツクモが【突風】を放つ。

 ゴブリンマジシャンはあっさり吹き飛ばされ、地面を転がる。


「トドメは任せろ!」


 起き上がろうとするゴブリンマジシャンに駆け寄る市場君。


「あ、そこはダメだ!」


 市場君とゴブリンマジシャンの間の床が他とは少し色が違う。俺は慌てて引き留めたけど、既に遅かったようだ。


「ぬわっ!?」


 バチンっと音がして、トラバサミに引っ掛かる市場君。足首の辺りを挟まれ、見事にスッ転んだ。


「痛たたたた………」


 すぐに起きようとする市場君だったけど、目の前には杖を構えたゴブリンマジシャンが立っていた。


「おっと、危ないっス」


 ゴブリンマジシャンが【火球】を放つ寸前、背後に回り込んだ吉根が袈裟掛けに切り捨てる。


「大丈夫っスか?」
「あぁ、大丈夫だ。すまん、助かった」


 ゴブリンマジシャンが倒れた後、入り口の扉が開き、罠も消え去った。もちろん、市場君の足のトラバサミも綺麗サッパリ消え去った。

 市場君は吉根に手を借りて起き上がる。そこへ泉ヶ丘さんが小走りで走ってきて、心配そうに声をかける。

 当然ながら、HPは多少減ってはいるようだけど、怪我なんかはしてないみたいだ。


「さて、おたのしみの宝箱っスね」
「そうだね」


 市場君と泉ヶ丘さんがイチャイチャしてる間に、俺達は宝箱の側まで移動する。

 何故かエネミーネストに出現するエネミーからはアイテムがドロップしない。

 まぁ、もしドロップしたらしたで足元に散らばり過ぎて邪魔だし、拾うのも大変だろうからそれはそれでありがたい。

 その分と言って良いのか分からないけど、宝箱の中身は豪華だという噂だ。


「これで宝箱が人食い箱だったら目も当てられないっスね」
「そういうのをフラグって言うらしいよ。エネミーネストの出入口は、中のエネミーが全滅しないと開かないらしいから、人食い箱はないと思うよ」


 後ろを付いてくる天子田さんもウンウンと頷いているし、ツクモもちぅちぅと抗議の声をあげている。

 ツクモは賢いな。

 宝箱を一通りチェックすると、鍵も罠も仕掛けられてなかった。

 それと【危険察知】や【魔物感知】も反応してないから人食い箱の心配もなさそうだ。


「じゃ、時間も無いしチャッチャと開けるよ」
「お願いっス」


 慎重かつ手早く宝箱を開ける。

 中身はそれぞれ指輪と水晶珠、ポーションだった。

 水晶珠は多分スキル珠か転職の宝珠だろうな。なんのジョブかによるけど転職の宝珠だったら嬉しい。

 指輪はどことなく武骨なデザインでカッコいい。


「これ、魔力を感じる。多分、魔道具」
「マジっスか!?」
「ミキ本当か!スゲェ」


 沸き立つ俺達。魔道具は高値が付くからな。有用なら自分達で使えば良いし、これは嬉しい。


「あの、そろそろ帰らないと時間が危ないです」
「あ、本当だ。みんな、急ごう!」
「そっスね!」
「イカン、うかれすぎた」


 天子田さんが冷静に時間を気にしててくれたから、俺達は遅刻を免れたのだっ。
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