『私たち、JKプロレスラーズ 外伝 「三人のおっさん副業レスラーズ~謎の連続殺人事件を解決せよ~」』

あらお☆ひろ

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「3人の襲撃」

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「3人の襲撃」

 イベント当日、会場は大盛況だ。事前の調べで3人のパスポートの写真は手に入っていた。「警備員の顔に気を付けていれば、3人の接近はわかるはずだ。猟奇殺人犯をこれ以上のさばらせる訳にはいかん!ロス市警の意地を見せてやれ!」
とケネス警部が私服警官たちに檄を飛ばした。

 来賓控室でデビッドがセシルとユジンとチャックに3人の写真を渡した。
「この顔、しっかりと頭に入れてください。警部も動いてくれていますが、いかんせん、この人出です。チャックさんは俺たち3人で必ず守ります。チャックさんは午後3時のリングでの挨拶のセレモニーまで極力、この部屋から出ないようにしてください。トイレの時も俺たちの誰かが同行します。警備員は信用しないでください。
 奴らがどこで見ているかわからないので、俺たちはマスクをかぶって衣装に着替えよう。」
そそくさと着替え、マスクをかぶる3人。チャックはスーツ姿でその様子を見守っている。
 朝からイベントは順次進み、前座の試合で3人の出番も無事に終わり、チャックと3人は控室でじっと、チャックのセレモニーの時間を待っている。

 午後2時50分、コンコンコンとドアがノックされた。
「チャック・イェーガーさん、そろそろお時間ですのでお迎えに参りました。」
との声がかかった。
「はい、ちょっと待ってくださいね!」
とユジンがドアを開けようとしたところ、「バカーン!」とドアがけ破られた。吹っ飛ぶユジン。警備員のユニフォームを着た3人の男が飛び込んできた。
「父の恨みを思い知れーっ!」
と青龍刀を持った男がチャックに一直線に襲い掛かる。かろうじて、デビッドが座っていたパイプイスで青龍刀の男を殴り倒す。続いて、ヌンチャクと長棒を持った男が襲い掛かってくる。セシルと起き上がってきたユジンが挟み撃ちで男たちをなぎ倒した。

「チャックさん、とりあえず、外へ逃げましょう!セシル、ユジン行くぞ!」
とデビッドがチャックの腕を引き、倒れた男たちを踏みつけドアの外にでる。ドアの前で2人の私服警官が倒れている。どうやら、男たちにやられたようだ。出口につながる廊下の右側を見ると警備員が何人かこちらに向かって走ってきている。
(敵か味方かわからん以上、こっちはダメだ!)そう判断したデビッドはリングのある会場に続く左のルートを選んだ。デビッド、チャック、ユジン、セシルの順で左へ走った。3人の男は、各々の武器を持ち、起き上がってきた。
後ろを気にしながら、走り続けるが、レスラーを引退して15年になる75歳のチャックの息が上がり、逃げるペースが上がらない。途中、応援に駆けつけた刑事たちが男に飛びかかるが、ヌンチャクと長棒によって簡単にやられてしまった。
(こいつら、なかなか強いぞ。)セシルが廊下の非常ベルを鳴らし、携帯でケネス警部に電話をかけた。
「やつら、控室に現れました。中国武術の武器を持っています!今、リングに向かって逃げています。観客を退避させてください。」

 あっという間に、廊下を抜けて会場に入った。スポットライトがチャックとデビッドを照らし、音楽が鳴り響く。観客には事態が伝わっていないため、大きな拍手が起こった。リング上には、今日のラウンドガールを務めている、知り合いの女子プロレスラーのアグネス・リッケンバッカーとマチルダ・ルークが大きな花束を持ってチャックの登場を待っていた。やっとのことで、チャックを連れて、リングに上がるデビッド、少し遅れてユジンとセシル。
「あれー?デビッドさん、セシルさん、ユジンさん、聞いてた段取りと違いますよー?」
「三人そろってなんなんですか?チャックさん息切らせて大丈夫ですか?」
とアグネスとマチルダが花束をチャックに渡そうとすると、三人の警備員が手に武器を持ってリングに飛び込んできた

 スーツ姿のチャックに3人のマスクマン。さらに遅れて、青龍刀、ヌンチャク、長棒を持った警備員がリングに上がった。
「アグネス、マチルダ!チャックさんをリング下に退避させてくれ!」
「えっ?何なのよー」
デビッドは赤コーナーの角にチャックを押し込み、アグネスとマチルダにチャックを預け向き直った。赤コーナー前に立つ3人のマスクマン。その正面の3人の警備員は帽子と制服を脱ぎ捨てる。中には拳法道着を着こんでいた。リング上でにらみ合う6人を観客は演出と思い、立ち上がっての拍手と歓声、口笛、指笛が鳴りやまない。
 何を勘違いしたのか、リングアナウンサーが青龍刀を持った道着の男にマイクを手渡した。青龍刀を持った男が、チャックを指さしマイクを持ち叫んだ。

「この老いぼれは、インチキ試合で30年前に俺たちの親父を殺した。4000年の歴史を持つ、中国拳法を侮辱した。今日は、俺たち3人が中国拳法こそが世界最強であることを証明し、こいつらの罪を今この場で精算してやる!俺は少林拳(青龍刀を頭上に上げる)、こいつはジークンドー(右の男がヌンチャクを回す。会場が盛り上がる)、こいつは八極拳(左の男が長棒を振り回す。ふたたび大きな歓声が湧き上がる)。行くぞ!」
と叫ぶと同時に3人が襲い掛かってきた。

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