『私たち、JKプロレスラーズ 外伝 「三人のおっさん副業レスラーズ~謎の連続殺人事件を解決せよ~」』

あらお☆ひろ

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「大乱戦」

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「大乱戦」

 3対3の大乱闘が始まった。チャックは、アグネスとマチルダに手を引かれ、リング下に退避し、リングサイドのセコンド席で6人の戦いを見守った。3対3の個人での闘い、コンビネーションを用いた闘いと一進一退を繰り返し、観客は大盛り上がりだ!
 闘いの中で青龍刀の男にデビッドが言う。
「中国で刃物を使うのは、床屋と料理人と服の仕立て屋だけだろー!」
 ヌンチャクの男をセシルがからかう。
「お前さんもブルース・リーのファンか!」
 長棒の男にユジンが怒鳴る。
「ジャッキーチェンの酔拳でも棒のおっさんはやられキャラだっただろう。てめえ、少しは遠慮しろ!」
 デビッド、セシル、ユジンがわめきながら闘うが、武器を持つ分、3人の暴漢の方が優勢に見える。間一髪で相手の武器の攻撃をかわしながら、徐々に相手の攻撃パターンを身体に覚えさせていく。

 3人の拳法道着の男たちは
「俺たちの親父は、お前らインチキプロレスのせいで道場は閉鎖、用心棒の仕事も無くなり街を出なきゃならなかった。母は、父を馬鹿にし、ほら吹き呼ばわりして、俺たち3人を残して出ていった。」
「もともと、異種格闘技には否定的だった親父を騙くらかした、団体のやつとプロモーターは泣きながら詫び入れて死んでいったぜ。」
「無茶な理由を付け、父の拳法家としての誇りを踏みにじり、無理やりリングに上げ不利な判定で親父を負けさせたレフリーは60分みっちりかけて反省させてやった。」
「チャイナタウンを捨て、華人区に移り住んだが、親父が負けた事をインチキテレビが広めていたため俺たち家族の居場所はなかった。テレビ屋はぺらぺらと言い訳しやがるから、スパっと殺してやったよ。」
「残るは、チャックの野郎だけだ!」
「お前ら邪魔すんな。」
とわめきながらセシルたちに向かって武器をふるう。

「父の無念を晴らすためにかけた、俺たちの汗と怒りをわからせてやる!」
と一瞬のスキをつき、青龍刀を持った男がチャックに青龍刀を投げつけた。咄嗟に、背を向け逃げようとしたチャックの背中に青龍刀の刃が食い込み、前のめりに倒れこむ!
「きゃーっ!」大きな悲鳴が会場を包み込んだ。

「貴様ーっ!」セシルが、青龍刀を持っていた男にジャンピングニーパットを喰らわせ、倒れた男の両足を抱え、ジャイアントスイング振り回しで、残り2人のヌンチャクと長棒をたたき落とす。デビッドとユジンは、リング上に落ちたヌンチャクと長棒をリング下に投げ落とし、浴びせ蹴りとエルボースマッシュを決めた。
 武器を無くした3人に次々とプロレス技が決まる。相手はふらつきながらも、立ち上がってくる。
「よし、やるぞ!」とセシルが、デビッドとユジンに目配せをすると同時に、3人の背後にまわり、
「チャックさんのかたきだーっ!」
3人揃ってのバックドロップ!後頭部をしたたかに打ち付けられ、動けなくなった3人の拳法道着の男たちに、やっと駆け付けた、ケネス警部と3人の刑事が手錠をかけた。

「あっ、チャックさんは!?」
とセシルがコーナーを振り向くと
「こら!お前ら、「何がチャックさんの仇だーっ」だ!勝手に俺を殺すんじゃねぇよ!」
とチャックがアグネス、マチルダとリングに入ってくるところだった。
「えっ!?チャックさん?背中は?」
とユジンがキョトンとして聞いた。チャックは、ニコリと笑って、振り向き背中を見せた。スーツの背中が斜めに大きく切り裂かれている。
「デビッドのお節介のおかげで命拾いしたぜ!ありがとうよ!」
とスーツの上着とシャツを脱ぐと、グレーの防刃ベストが現れた。
「はぁーあ、、、。良かったぁ・・・。」
「さすがは、俺たちのスーパースター!今も無敵ですね!」
とセシルとユジンは、ヘナヘナとその場にへたり込んだ。

 リングに倒れた、3人が拳法道着の男たちは手錠をかけられ、拘束着で両腕を固められて、連行されようとしている。何やら喚き散らしているが、さるぐつわをかまされているので何を言っているかは全くわからない。両脇を警察官に抱えられリングを降りる3人に向かってセシルが
「あんたらの馬鹿にしたプロレスもまんざらじゃないだろう。会場を盛り上げて、最後に勝つ!これが俺たち、プロレスラーさ!」
と言い放った。
 3人を倒したマスクマンに会場全員から大きな拍手が巻き起こった。

 リングアナウンサーがセシルにマイクを渡した。
「さーて、ちょっと演出と進行にイレギュラーがありましたが、われらのLAが生んだ偉大なスーパースター「チャック・イェーガー」さんです!皆さん大きな拍手でお迎えください!」
赤コーナーの位置に立つチャックにスポットライトが当たる。背中がぱっくりと切り裂かれたスーツにあらためて袖を通し、セシルからマイクを渡され、スピーチを始めた。
「ロスのみなさん、元プロレスラーのチャック・イェーガーです。この度は、お騒がせしましてすいません。」
とリング中央で4方に向けてお辞儀をして回る。会場からは、割れんばかりのこの日一番の拍手と歓声が巻き起こった。

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