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「1600年春、バチカン その1」
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「1600年春、バチカン その1」
1600年2月に、クレメンス8世によって、ブルーノが火刑に処されたのち、グレゴリオス派の有力な宣教師に信長と光秀たちは、ブルーノの名誉回復を訴えた。しかし、バチカンの中枢を八年間にわたり支配してきたクレメンス8世により、グレゴリウス派は排除され、枢機卿も全てクレメンス派に入れ替わり、その声は取り上げられることは無かった。
それどころか、逆に信長たちに不慮の事故を装った危険が複数回に渡り降りかかった。懇意にしている宣教師たちからは、「おそらくクレメンス派は、ブルーノにそっくりな信長がバチカンで、ブルーノの無実を訴えることが現教皇サイドには邪魔で仕方ないと考えているのだろう。」とバチカンを離れることを勧められる始末だった。
4月のある日、蘭丸とジョバンニが、夜間に暴漢に襲われ重傷を負うことがあり、信長は、光秀からもバチカンを出ることを上申された。バチカン内の味方から、秀吉が昨年、三度目の朝鮮出兵の準備中に他界したとの情報が入ってきていた。信長の次男、信雄は家康側につき、豊臣側と争うことになるであろうということも耳に入ってきた。関ケ原の戦いの五カ月ほど前の事であった。
ミスティのアポート(物体取り寄せ能力)で信長の懐刀を取り寄せ、フリークがオカやんツアーズの高性能盗聴器を仕込み、メチャスキーのアスポート(物体送信能力)で送り返したことで、日々の信長たちの会話を確認することはできていた。
夏子と陽菜が後部のキャンパーで寝入った後、運転席キャビンで今後の事を四人で話した。ミスティーが最初に切り出した。
「信長さんたち、どうすんねんやろか?私、この先知らんねんなぁ。好兄は、この後のこと知ってんの?」
「まあな。ただ、必ずしも同じ流れになるとは決まってへんのが、このパラレルワールドなんや。なっちゃんと陽菜ちゃんがうちの会社に来た時の希望は、「本能寺の変で信長が死なない世界」で「できれば、ハッピーエンド」ということやったからなぁ。
あわよくば、グレゴリウス14世が「先住民の権利と自由への配慮」をうたった際、信長とブルーノの「奴隷制度の廃止」の意見を取り上げ、結果的に、バチカンで影のシンクタンクとしてでも信長の「天下布武」が実現できたらなぁ、と期待したんやけどなぁ…。
ただ、歴史通り、グレゴリウス14世は一年弱で死去し、次代のインノケンティオス9世も二カ月で病死した。もちろん、証拠はないが、コンクラーベ期間中のクレメンスの動きにかなり怪しい部分はあったわなぁ。三代前のウルバヌス7世から、十三日、十カ月半、二カ月と続いた教皇の就任からすぐの病死に対して、信長やブルーノも仲間を集めて、よく動いたとは思うけど、最終的にはすべて潰されてしもた。バチカンの闇は深かったちゅうこっちゃ。せやろ、フリーク。」
「そうやね。好兄ちゃんに言う事は無いけど、ミスティーとメチャスキーは、バチカンの影の部分って、ダン・ブラウン原作の映画「天使と悪魔」くらいでしか、知らんやろうけど、キリスト教の歴史は結構えぐいもんあるからなぁ。夏子ちゃんと陽菜ちゃんの意見聞かなわからへんけど、もう潮時とちゃうかな。メチャスキーは、どないや?」
「俺は、この中世は、「ゲイは絶対悪」やから、はよ元の世界に戻りたいけどなぁ。」
「メチャ兄は、いっつも自分のことばっかりやん。一番下の妹が偉そうに言うのはおかしいかもしれへんけど、うちら、「オカやんツアーズ」は仕事で異世界旅行やってんねんから、お客さんのなっちゃんと陽菜ちゃんの意見が一番ちゃうの?」
「せやな、ミスティー、よう言うた。明日、フリークとメチャスキーで蘭丸かジョバンニにでも早めにバチカン出るよう、状況だけうまく話してやってくれや。ちなみに、俺が前回見たこの先はやなぁ…。」
好哉が自分の見たこの世界の将来を語り、三人は黙ってその結末を聞いた。好哉は、話しを取りまとめ、明日の朝、夏子と陽菜にはミスティーが希望を聞くことになった。
翌朝、ミスティーは、夏子と陽菜が用意した金髪のかつらをかぶせて、バチカン庭園を歩いた。幸い、周りの人も黒い瞳と眉毛のふたりに興味を持ちながらも、声をかけてくる者はいない。
庭園の奥に、バチカンの図書館が見える。この図書館には、羊皮紙にかかれた古文書から、信長がヴァリニャーノを通じて、グレゴリウス13世に送った狩野永徳作の安土城の屏風絵「安土図」や信長の親書も保管されているはずである。二十一世紀の現在でも八万点の古文書があり、未整理のものが多く、NTTデータがデジタルアーカイブ整理に協力している。
その昔、フリークが「自分の国の資料くらい自分の国でやれや。」とバチカンの特番を見ながら文句を言っていたのを思い出した。
ミスティーは、歩きながらふたりに聞いた。
「なっちゃん、陽菜ちゃん、この旅も体験時間換算すると一ケ月を迎えるとこまで来てるねんけど、どうしたい?」
「えっ?ミスティーちゃん、それってどういうこと?もう帰るってこと?」
夏子が聞いた。
「うん、昨晩、三人の兄ちゃんたちと話したんやけど、「信長さんが生きてるとこ見たい」と「ハッピーエンド」が希望やったやんか。好兄は、この後の流れ知ってるみたいやねんけど、パラレルワールドのこの異世界では、必ずしもその通りになれへんこともあんねんて。
この間、蘭丸さんとジョバンニさんが襲われたやん。それは、好兄の経験には無かったことやねんて。今のままやと、バチカンから、信長さんたちに、更なる害が加えられる可能性があるかもしれへんって…。そしたら、ハッピーエンドでも何でもなくなってしまう可能性が出てくるかもしれへんねんて。最悪、ブルーノさんの二の舞もありえるって…。
けど、私たち、大きくは、歴史に干渉でけへんから、もし、ふたりが「もう帰る」って言うなら、ここで元の世界に戻るのも一つの手やし、最悪、フリーク兄とメチャ兄が、蘭丸さんとジョバンニさんにバチカンを離れるように言ってみよかって…。」
ミスティーは、あえて夏子と陽菜と目を合わさずに話した。
「ミスティーちゃんの言うことはようわかる。なっちゃんの希望を優先してほしいねんけど、私はここ一カ月近く信長さんや光秀さん見てきて、もう家族みたいな気になってるから、信長さんたちがバチカンに捕まったり、殺されちゃったりって言うのはいややなぁ。なっちゃんはどうなん?」
「うん、そこは、陽菜ちゃんといっしょ。バッドエンドは見たくない。ただ、信長さんの夢がこれで終わりって言うのもちょっと違うような…。でも、ミスティーちゃんたちが動いてくれることで、信長さんたちに災難が降りかかることが無いなら、そっちの方がええかな。」
「なっちゃん、陽菜ちゃん、それでええかな?
信長さんたちが、バチカン離れないってことになったら、旅はお終い。離れるってことになったら、好兄が見たエンディングはなかなかのもんやったらしいから…。ちょっと、覗いて帰るってことでね。じゃあ、それで、兄ちゃん達には話をするわな。」
ふたりは、同時に頷いた。
ミスティーは、オカやん号に戻ると、三人の兄に夏子と陽菜の意向を伝え、好哉がふたりの意思確認をとった。朝食を済ませた後、最後の思い出作りに、フリークがバチカンとローマの街へ夏子と陽菜を観光に連れて行くことになった。
残った三人で、作戦を練った。何パターンか案を作り、午後から蘭丸とジョバンニの療養している教会を訪れ、話をすることになった。蘭丸が、安土の街で出会ったことを覚えていてくれたこともあり、話の途中で、信長と光秀と弥助も加わった。
好哉が、現在の日本の状況を伝えた。信長と光秀はイエズス会、ドミニコ会の修道士から聞いている情報と一致していることを確認した。信長は、元来の珍しいもの好きが発揮されたのか、未来から三人が来たという話も問題なく受け入れてくれていた。光秀も当初、戸惑いはあったものの、自分たちしか知りえないことを好哉が次々と話すので、すぐに信用してくれたようだ。
信長からの申し出で、その日の夜、夏子、陽菜も招いての食事会を開いてくれることになった。教会での食事会ということで話は進んだが、途中、好哉が口を滑らせた「オカやん号」の話から、信長が「どうしても二十一世紀の技術を見てみたい。」と言い出し、オカやん号に五人を招待することになった。夕食は、久しぶりに和食が食べたいとの事だったので、好哉が腕を振るうことになった。
そんな話が進められている中、フリークと夏子と陽菜は、生の中世バチカンとローマを楽しんでいた。サン・ピエトロ大聖堂からサンタンジェロ城へ。その後、映画「ローマの休日」で主人公の王女がジェラートを食べながら、階段を下りてくるシーンで有名なスペイン広場にきた。もっとも、この時点では、南側のスペイン大使館は無い。
「まだ、今の時点では「スペイン広場」の名称やないんやで。」
とフリークから説明を受け、ジェラート代わりのぶどうジュースと甘めのワインを楽しんだ。
そこから、サンタンドレア・デッレ・フラッテ教会を回った。ここでもフリークからの豆知識が出た。
「現実の時代では、ベルニーニの手がけた「カルツゥーシュを持つ天使」と「いばらの冠を持つ天使」の二体の彫刻が有名やねんけど、完成から1729年まで、サンタンジェロ橋の欄干に吹きっさらしになってんねんで。」
「えっ?ずっと雨ざらし?日本では考えられへんよねぇ。そこらのお地蔵さんと同じ扱いやもんな。で、サンタンジェロ橋行ったら見れんの?」
陽菜が聞いた。
「いや、残念やけど、ベルニーニ、この時代では、まだ二歳か三歳やから、家で粘土人形作ってるくらいとちゃうかな。」
「なに、それ。ベルニーニの家行って、その粘土人形買い取ったら、将来、ベルニーニの処女作いうことで売って大金持ちになれるかもな。」
夏子が大笑いした。
教会を出て、トレビの泉に着いた。夏子と陽菜の知っている噴水のある人口の泉と違い、ただの古代ローマから続く十一本の水道の末端でしかなかった。フリークの小ネタでは、1762年に改修され、現在の姿になり、コインの投げ入れの風習が始まったとの事だった。
「あー、せっかく恋愛成就のお願いしようと思ってたのに、ただの水くみ場でコイン投げてたら、「あほ」がおるって思われて逮捕されてまうなぁ。」
陽菜が残念がった。
それから、ローマに入り、サンタ・マリア・イン・コスメディン教会で「真実の口」を見た。教会正面柱廊の奥に飾られていた。お決まりだが、夏子と陽菜は真実の口に手を突っ込んでキャーキャー言ってはしゃいでいた。
楽しむふたりに水をかけるようにフリークが笑いながらふたりに言った。
「夏子ちゃん、陽菜ちゃん、喜んで手入れてるけど、それ、いわゆる下水道のマンホールやからな。」
「もう、フリークさんの意地悪!嫌い!」
夏子と陽菜はふくれっ面を見せ、あっかんべーとして見せた。
最後にローマで1,2を争う名観光地のコロッセオにふたりを連れてきた。
「あー、スマホ出してええねやったら、今日一日で3ギガは写真撮って、インスタ100件くらいあげてるわなぁ。」
「せやね、ほんと、スマホがマストの街やったなぁ。トレビの泉だけは、残念やったけど、後は満足度1万パーセントやったわ。半日間、フリークさんありがとう。いい思い出ができたわ。ありがとね。」
ふたりが、フリークに頭を下げた。
「じゃあ、最後に、コロッセオの超恐ろしい都市伝説を…。と思ったけど、余りにひどい話やから、元の時代に帰ってからにしよか。」
「えっ?なになに?今さらビビれへんから、教えてよー。なあ、陽菜ちゃん!」
「そりゃ、そうやわ、なっちゃん。フリークさんの落とし方にも慣れたし、教えてぇなぁ。」
「ほんまに後悔せえへんか?」
「うん、大丈夫。」
ふたりは元気に答えた。
しかし、フリークから約10分の話を聞いた後、帰り道の小一時間、何の会話もできない重い雰囲気に包まれた。夏子と陽菜は、安易にフリークに聞き、奥深いローマの闇を知ったことを後悔した。黙って帰る途中、フリークのトランシーバーの呼び出しが鳴った。
オカやん号に三人が戻ると、思いもよらないサプライズが夏子と陽菜を迎えた。
後部のリビングに好哉、ミスティといっしょにワインを楽しむ、信長と光秀と蘭丸が居たのだ。運転席では、弥助とジョバンニがメチャスキーにいろいろと機械の説明を受けている。
「えっ?これってどういうことなん?私らの存在って絶対内緒やなかったん?」
夏子がミスティーに言った。ミスティーが答える前に、信長が夏子と陽菜の顔を見て言った。
「おお、そなたたちは、安土で「ちよこれいと」と「きゃんでー」とかいう菓子をくれた町娘じゃったな。今日は、西洋着で頭は金髪になっておるじゃないか。その節は、ごちそうになったのう。あれ以来、「金平糖」では物足りなくなってしもうて困ったもんじゃわい。まあ、こちらに寄られい。」
「まあ、信長さんも光秀さんもいいってことなんで、事の流れのサプライズってやつやね。なっちゃんも陽菜ちゃんも良かったやん、ほんまもんの信長さんと話せるって、こんな機会、この先千年あれへんで。」
夏子と陽菜は完全に固まっている。好哉とミスティーに促され、極度の緊張で両手、両足を同時に出しながら、夏子と陽菜は、信長、光秀、蘭丸の前の席に進んだ。
「おっ?ナンバ歩き?その変装といい、そなたらクノイチか?」
ほろ酔いの信長がふたりに問いかけた。みんな笑った。
徐々に緊張も解け夏子と陽菜は、めちゃくちゃ喜んだ。夏子は本来飲めない年齢だが、信長から、「十九歳といえば、立派な大人じゃ。」とワインを勧められるままに飲んだ。好哉は、女性陣が三人と話している間、ミニキッチンで、酒のあてを作った。(安土桃山時代は、まだ醤油はあまり普及して無かったはずやから、ここはみそ味中心やな…。)現地で手に入れた魚や野菜を味噌仕立てで調理した。魚は西京焼きに、豚の塩漬けハムは、薄くスライスし豚汁にした。食卓に並ぶ数々の和食で、久しぶりの「味噌」の味を楽しみ、信長も光秀も非常に喜んだ。それ以上に、オカやん号に積んでいた、二十一世紀の白米で作る飯は非常に喜ばれた。信長は、好物の湯漬けを三杯食べた。約二時間の宴は、あっという間に時間が過ぎて行った。
慣れないお酒と半日のバチカン、ローマ散策に疲れた夏子と陽菜は、奥のソファーで沈没し、寝息を立てている。ジョバンニ、弥助も加わり、オカやんツアーズの四人と合わせて九人での打ち合わせが始まった。
ふと、にわかに陽菜が立ち上がった。
「ちょっとすみません。はばかりに…。」
とトイレに向かう途中で足がもつれ、リビングのデスクに置いてあった量子コンピューターにぶつかった。「ひゅいーん」という音とともに、画面に「システムダウン」と赤い画面が出た。
「やべえ、光学迷彩復旧までに三十分はかかるぞ。オカやん号が見えるようになってしもてるわ。」
フリークが慌てて、量子コンピューターを再起動させる。
「えっ?私なんかしてしもた?」
陽菜は、わけもわからずおろおろしてる。シャッターを上げたキャンパー部分のリビングの室内が外から丸見えになっている。
(んっ!!!)ミスティの脳裏に約十人のナイフを持った黒装束の男の姿が浮かんだ。
「兄ちゃんたち、敵が来るよ。東の方から。約十人、黒装束、みんなナイフを持ってる。あとボウガン持ってるやつも。」
「ミスティ、プレコグニション(未来透視)か?」
「うん、好兄、あと五分で何か来るよ。フリーク兄もメチャ兄も気を付けて。」
信長が、不思議な顔をして聞いた。
「ぷれこぐ…なんじゃそれ?」
「プレコグンニション。未来透視の能力です。ナイフ…、もとい短刀と洋弓を持った男たちが、ここを襲いに来るビジョン…、あー、予知映像が見えました。何か、武器は持ってはりますか?」
「いや、丸腰じゃ。バチカンでは、屋外での帯刀は許されておらぬからなぁ。」
光秀も蘭丸も同様のようだ。真っ先に、ジョバンニと弥助がオカやん号の表に飛びだした。
メチャスキーがそれに続いた。好哉は、信長と光秀に
「こんなものしかないですが、無いよりはましでしょう。」
とさっきまで調理に使っていた万能包丁を一本ずつ渡した。ケガの酷い、蘭丸にはスタンガンを渡した。
「蘭丸さんは、動けないと思いますので、室内で夏子ちゃんと陽菜ちゃんの護衛お願いします。さすがに槍の代わりになるものは無いんで、これを渡しておきます。敵の身体に押し付けて、このスイッチを押すと、相手は痙攣しますから。くれぐれも、相手と密着する前に使ってください。」
と蘭丸の目の前で、バチバチバチとスタンガンを稼働させて見せた。
ガン!ガンッ!と室内に外から金属物があたる音が響いた。
「兄ちゃん、ボウガンで撃たれてる。私も出るわ。好兄は、信長さんと光秀さん頼むね。陽菜ちゃんは、とりあえずトイレに隠れてて!」
「あぁ、分かった。ミスティー、こんな状況やけど、仮に殺し屋やったとしても、相手を傷つけすぎんようにな!」
「はいっ。ミスティーちゃんも気をつけてね。」
と好哉はキッチンペーパーを半折にしてはさみを入れ式神を作り始め、陽菜はトイレに駆け込んだ。夏子は、ソファーで相変わらず寝ている。蘭丸がソファーと入り口の間の席に足を引きずりながら移動した。
1600年2月に、クレメンス8世によって、ブルーノが火刑に処されたのち、グレゴリオス派の有力な宣教師に信長と光秀たちは、ブルーノの名誉回復を訴えた。しかし、バチカンの中枢を八年間にわたり支配してきたクレメンス8世により、グレゴリウス派は排除され、枢機卿も全てクレメンス派に入れ替わり、その声は取り上げられることは無かった。
それどころか、逆に信長たちに不慮の事故を装った危険が複数回に渡り降りかかった。懇意にしている宣教師たちからは、「おそらくクレメンス派は、ブルーノにそっくりな信長がバチカンで、ブルーノの無実を訴えることが現教皇サイドには邪魔で仕方ないと考えているのだろう。」とバチカンを離れることを勧められる始末だった。
4月のある日、蘭丸とジョバンニが、夜間に暴漢に襲われ重傷を負うことがあり、信長は、光秀からもバチカンを出ることを上申された。バチカン内の味方から、秀吉が昨年、三度目の朝鮮出兵の準備中に他界したとの情報が入ってきていた。信長の次男、信雄は家康側につき、豊臣側と争うことになるであろうということも耳に入ってきた。関ケ原の戦いの五カ月ほど前の事であった。
ミスティのアポート(物体取り寄せ能力)で信長の懐刀を取り寄せ、フリークがオカやんツアーズの高性能盗聴器を仕込み、メチャスキーのアスポート(物体送信能力)で送り返したことで、日々の信長たちの会話を確認することはできていた。
夏子と陽菜が後部のキャンパーで寝入った後、運転席キャビンで今後の事を四人で話した。ミスティーが最初に切り出した。
「信長さんたち、どうすんねんやろか?私、この先知らんねんなぁ。好兄は、この後のこと知ってんの?」
「まあな。ただ、必ずしも同じ流れになるとは決まってへんのが、このパラレルワールドなんや。なっちゃんと陽菜ちゃんがうちの会社に来た時の希望は、「本能寺の変で信長が死なない世界」で「できれば、ハッピーエンド」ということやったからなぁ。
あわよくば、グレゴリウス14世が「先住民の権利と自由への配慮」をうたった際、信長とブルーノの「奴隷制度の廃止」の意見を取り上げ、結果的に、バチカンで影のシンクタンクとしてでも信長の「天下布武」が実現できたらなぁ、と期待したんやけどなぁ…。
ただ、歴史通り、グレゴリウス14世は一年弱で死去し、次代のインノケンティオス9世も二カ月で病死した。もちろん、証拠はないが、コンクラーベ期間中のクレメンスの動きにかなり怪しい部分はあったわなぁ。三代前のウルバヌス7世から、十三日、十カ月半、二カ月と続いた教皇の就任からすぐの病死に対して、信長やブルーノも仲間を集めて、よく動いたとは思うけど、最終的にはすべて潰されてしもた。バチカンの闇は深かったちゅうこっちゃ。せやろ、フリーク。」
「そうやね。好兄ちゃんに言う事は無いけど、ミスティーとメチャスキーは、バチカンの影の部分って、ダン・ブラウン原作の映画「天使と悪魔」くらいでしか、知らんやろうけど、キリスト教の歴史は結構えぐいもんあるからなぁ。夏子ちゃんと陽菜ちゃんの意見聞かなわからへんけど、もう潮時とちゃうかな。メチャスキーは、どないや?」
「俺は、この中世は、「ゲイは絶対悪」やから、はよ元の世界に戻りたいけどなぁ。」
「メチャ兄は、いっつも自分のことばっかりやん。一番下の妹が偉そうに言うのはおかしいかもしれへんけど、うちら、「オカやんツアーズ」は仕事で異世界旅行やってんねんから、お客さんのなっちゃんと陽菜ちゃんの意見が一番ちゃうの?」
「せやな、ミスティー、よう言うた。明日、フリークとメチャスキーで蘭丸かジョバンニにでも早めにバチカン出るよう、状況だけうまく話してやってくれや。ちなみに、俺が前回見たこの先はやなぁ…。」
好哉が自分の見たこの世界の将来を語り、三人は黙ってその結末を聞いた。好哉は、話しを取りまとめ、明日の朝、夏子と陽菜にはミスティーが希望を聞くことになった。
翌朝、ミスティーは、夏子と陽菜が用意した金髪のかつらをかぶせて、バチカン庭園を歩いた。幸い、周りの人も黒い瞳と眉毛のふたりに興味を持ちながらも、声をかけてくる者はいない。
庭園の奥に、バチカンの図書館が見える。この図書館には、羊皮紙にかかれた古文書から、信長がヴァリニャーノを通じて、グレゴリウス13世に送った狩野永徳作の安土城の屏風絵「安土図」や信長の親書も保管されているはずである。二十一世紀の現在でも八万点の古文書があり、未整理のものが多く、NTTデータがデジタルアーカイブ整理に協力している。
その昔、フリークが「自分の国の資料くらい自分の国でやれや。」とバチカンの特番を見ながら文句を言っていたのを思い出した。
ミスティーは、歩きながらふたりに聞いた。
「なっちゃん、陽菜ちゃん、この旅も体験時間換算すると一ケ月を迎えるとこまで来てるねんけど、どうしたい?」
「えっ?ミスティーちゃん、それってどういうこと?もう帰るってこと?」
夏子が聞いた。
「うん、昨晩、三人の兄ちゃんたちと話したんやけど、「信長さんが生きてるとこ見たい」と「ハッピーエンド」が希望やったやんか。好兄は、この後の流れ知ってるみたいやねんけど、パラレルワールドのこの異世界では、必ずしもその通りになれへんこともあんねんて。
この間、蘭丸さんとジョバンニさんが襲われたやん。それは、好兄の経験には無かったことやねんて。今のままやと、バチカンから、信長さんたちに、更なる害が加えられる可能性があるかもしれへんって…。そしたら、ハッピーエンドでも何でもなくなってしまう可能性が出てくるかもしれへんねんて。最悪、ブルーノさんの二の舞もありえるって…。
けど、私たち、大きくは、歴史に干渉でけへんから、もし、ふたりが「もう帰る」って言うなら、ここで元の世界に戻るのも一つの手やし、最悪、フリーク兄とメチャ兄が、蘭丸さんとジョバンニさんにバチカンを離れるように言ってみよかって…。」
ミスティーは、あえて夏子と陽菜と目を合わさずに話した。
「ミスティーちゃんの言うことはようわかる。なっちゃんの希望を優先してほしいねんけど、私はここ一カ月近く信長さんや光秀さん見てきて、もう家族みたいな気になってるから、信長さんたちがバチカンに捕まったり、殺されちゃったりって言うのはいややなぁ。なっちゃんはどうなん?」
「うん、そこは、陽菜ちゃんといっしょ。バッドエンドは見たくない。ただ、信長さんの夢がこれで終わりって言うのもちょっと違うような…。でも、ミスティーちゃんたちが動いてくれることで、信長さんたちに災難が降りかかることが無いなら、そっちの方がええかな。」
「なっちゃん、陽菜ちゃん、それでええかな?
信長さんたちが、バチカン離れないってことになったら、旅はお終い。離れるってことになったら、好兄が見たエンディングはなかなかのもんやったらしいから…。ちょっと、覗いて帰るってことでね。じゃあ、それで、兄ちゃん達には話をするわな。」
ふたりは、同時に頷いた。
ミスティーは、オカやん号に戻ると、三人の兄に夏子と陽菜の意向を伝え、好哉がふたりの意思確認をとった。朝食を済ませた後、最後の思い出作りに、フリークがバチカンとローマの街へ夏子と陽菜を観光に連れて行くことになった。
残った三人で、作戦を練った。何パターンか案を作り、午後から蘭丸とジョバンニの療養している教会を訪れ、話をすることになった。蘭丸が、安土の街で出会ったことを覚えていてくれたこともあり、話の途中で、信長と光秀と弥助も加わった。
好哉が、現在の日本の状況を伝えた。信長と光秀はイエズス会、ドミニコ会の修道士から聞いている情報と一致していることを確認した。信長は、元来の珍しいもの好きが発揮されたのか、未来から三人が来たという話も問題なく受け入れてくれていた。光秀も当初、戸惑いはあったものの、自分たちしか知りえないことを好哉が次々と話すので、すぐに信用してくれたようだ。
信長からの申し出で、その日の夜、夏子、陽菜も招いての食事会を開いてくれることになった。教会での食事会ということで話は進んだが、途中、好哉が口を滑らせた「オカやん号」の話から、信長が「どうしても二十一世紀の技術を見てみたい。」と言い出し、オカやん号に五人を招待することになった。夕食は、久しぶりに和食が食べたいとの事だったので、好哉が腕を振るうことになった。
そんな話が進められている中、フリークと夏子と陽菜は、生の中世バチカンとローマを楽しんでいた。サン・ピエトロ大聖堂からサンタンジェロ城へ。その後、映画「ローマの休日」で主人公の王女がジェラートを食べながら、階段を下りてくるシーンで有名なスペイン広場にきた。もっとも、この時点では、南側のスペイン大使館は無い。
「まだ、今の時点では「スペイン広場」の名称やないんやで。」
とフリークから説明を受け、ジェラート代わりのぶどうジュースと甘めのワインを楽しんだ。
そこから、サンタンドレア・デッレ・フラッテ教会を回った。ここでもフリークからの豆知識が出た。
「現実の時代では、ベルニーニの手がけた「カルツゥーシュを持つ天使」と「いばらの冠を持つ天使」の二体の彫刻が有名やねんけど、完成から1729年まで、サンタンジェロ橋の欄干に吹きっさらしになってんねんで。」
「えっ?ずっと雨ざらし?日本では考えられへんよねぇ。そこらのお地蔵さんと同じ扱いやもんな。で、サンタンジェロ橋行ったら見れんの?」
陽菜が聞いた。
「いや、残念やけど、ベルニーニ、この時代では、まだ二歳か三歳やから、家で粘土人形作ってるくらいとちゃうかな。」
「なに、それ。ベルニーニの家行って、その粘土人形買い取ったら、将来、ベルニーニの処女作いうことで売って大金持ちになれるかもな。」
夏子が大笑いした。
教会を出て、トレビの泉に着いた。夏子と陽菜の知っている噴水のある人口の泉と違い、ただの古代ローマから続く十一本の水道の末端でしかなかった。フリークの小ネタでは、1762年に改修され、現在の姿になり、コインの投げ入れの風習が始まったとの事だった。
「あー、せっかく恋愛成就のお願いしようと思ってたのに、ただの水くみ場でコイン投げてたら、「あほ」がおるって思われて逮捕されてまうなぁ。」
陽菜が残念がった。
それから、ローマに入り、サンタ・マリア・イン・コスメディン教会で「真実の口」を見た。教会正面柱廊の奥に飾られていた。お決まりだが、夏子と陽菜は真実の口に手を突っ込んでキャーキャー言ってはしゃいでいた。
楽しむふたりに水をかけるようにフリークが笑いながらふたりに言った。
「夏子ちゃん、陽菜ちゃん、喜んで手入れてるけど、それ、いわゆる下水道のマンホールやからな。」
「もう、フリークさんの意地悪!嫌い!」
夏子と陽菜はふくれっ面を見せ、あっかんべーとして見せた。
最後にローマで1,2を争う名観光地のコロッセオにふたりを連れてきた。
「あー、スマホ出してええねやったら、今日一日で3ギガは写真撮って、インスタ100件くらいあげてるわなぁ。」
「せやね、ほんと、スマホがマストの街やったなぁ。トレビの泉だけは、残念やったけど、後は満足度1万パーセントやったわ。半日間、フリークさんありがとう。いい思い出ができたわ。ありがとね。」
ふたりが、フリークに頭を下げた。
「じゃあ、最後に、コロッセオの超恐ろしい都市伝説を…。と思ったけど、余りにひどい話やから、元の時代に帰ってからにしよか。」
「えっ?なになに?今さらビビれへんから、教えてよー。なあ、陽菜ちゃん!」
「そりゃ、そうやわ、なっちゃん。フリークさんの落とし方にも慣れたし、教えてぇなぁ。」
「ほんまに後悔せえへんか?」
「うん、大丈夫。」
ふたりは元気に答えた。
しかし、フリークから約10分の話を聞いた後、帰り道の小一時間、何の会話もできない重い雰囲気に包まれた。夏子と陽菜は、安易にフリークに聞き、奥深いローマの闇を知ったことを後悔した。黙って帰る途中、フリークのトランシーバーの呼び出しが鳴った。
オカやん号に三人が戻ると、思いもよらないサプライズが夏子と陽菜を迎えた。
後部のリビングに好哉、ミスティといっしょにワインを楽しむ、信長と光秀と蘭丸が居たのだ。運転席では、弥助とジョバンニがメチャスキーにいろいろと機械の説明を受けている。
「えっ?これってどういうことなん?私らの存在って絶対内緒やなかったん?」
夏子がミスティーに言った。ミスティーが答える前に、信長が夏子と陽菜の顔を見て言った。
「おお、そなたたちは、安土で「ちよこれいと」と「きゃんでー」とかいう菓子をくれた町娘じゃったな。今日は、西洋着で頭は金髪になっておるじゃないか。その節は、ごちそうになったのう。あれ以来、「金平糖」では物足りなくなってしもうて困ったもんじゃわい。まあ、こちらに寄られい。」
「まあ、信長さんも光秀さんもいいってことなんで、事の流れのサプライズってやつやね。なっちゃんも陽菜ちゃんも良かったやん、ほんまもんの信長さんと話せるって、こんな機会、この先千年あれへんで。」
夏子と陽菜は完全に固まっている。好哉とミスティーに促され、極度の緊張で両手、両足を同時に出しながら、夏子と陽菜は、信長、光秀、蘭丸の前の席に進んだ。
「おっ?ナンバ歩き?その変装といい、そなたらクノイチか?」
ほろ酔いの信長がふたりに問いかけた。みんな笑った。
徐々に緊張も解け夏子と陽菜は、めちゃくちゃ喜んだ。夏子は本来飲めない年齢だが、信長から、「十九歳といえば、立派な大人じゃ。」とワインを勧められるままに飲んだ。好哉は、女性陣が三人と話している間、ミニキッチンで、酒のあてを作った。(安土桃山時代は、まだ醤油はあまり普及して無かったはずやから、ここはみそ味中心やな…。)現地で手に入れた魚や野菜を味噌仕立てで調理した。魚は西京焼きに、豚の塩漬けハムは、薄くスライスし豚汁にした。食卓に並ぶ数々の和食で、久しぶりの「味噌」の味を楽しみ、信長も光秀も非常に喜んだ。それ以上に、オカやん号に積んでいた、二十一世紀の白米で作る飯は非常に喜ばれた。信長は、好物の湯漬けを三杯食べた。約二時間の宴は、あっという間に時間が過ぎて行った。
慣れないお酒と半日のバチカン、ローマ散策に疲れた夏子と陽菜は、奥のソファーで沈没し、寝息を立てている。ジョバンニ、弥助も加わり、オカやんツアーズの四人と合わせて九人での打ち合わせが始まった。
ふと、にわかに陽菜が立ち上がった。
「ちょっとすみません。はばかりに…。」
とトイレに向かう途中で足がもつれ、リビングのデスクに置いてあった量子コンピューターにぶつかった。「ひゅいーん」という音とともに、画面に「システムダウン」と赤い画面が出た。
「やべえ、光学迷彩復旧までに三十分はかかるぞ。オカやん号が見えるようになってしもてるわ。」
フリークが慌てて、量子コンピューターを再起動させる。
「えっ?私なんかしてしもた?」
陽菜は、わけもわからずおろおろしてる。シャッターを上げたキャンパー部分のリビングの室内が外から丸見えになっている。
(んっ!!!)ミスティの脳裏に約十人のナイフを持った黒装束の男の姿が浮かんだ。
「兄ちゃんたち、敵が来るよ。東の方から。約十人、黒装束、みんなナイフを持ってる。あとボウガン持ってるやつも。」
「ミスティ、プレコグニション(未来透視)か?」
「うん、好兄、あと五分で何か来るよ。フリーク兄もメチャ兄も気を付けて。」
信長が、不思議な顔をして聞いた。
「ぷれこぐ…なんじゃそれ?」
「プレコグンニション。未来透視の能力です。ナイフ…、もとい短刀と洋弓を持った男たちが、ここを襲いに来るビジョン…、あー、予知映像が見えました。何か、武器は持ってはりますか?」
「いや、丸腰じゃ。バチカンでは、屋外での帯刀は許されておらぬからなぁ。」
光秀も蘭丸も同様のようだ。真っ先に、ジョバンニと弥助がオカやん号の表に飛びだした。
メチャスキーがそれに続いた。好哉は、信長と光秀に
「こんなものしかないですが、無いよりはましでしょう。」
とさっきまで調理に使っていた万能包丁を一本ずつ渡した。ケガの酷い、蘭丸にはスタンガンを渡した。
「蘭丸さんは、動けないと思いますので、室内で夏子ちゃんと陽菜ちゃんの護衛お願いします。さすがに槍の代わりになるものは無いんで、これを渡しておきます。敵の身体に押し付けて、このスイッチを押すと、相手は痙攣しますから。くれぐれも、相手と密着する前に使ってください。」
と蘭丸の目の前で、バチバチバチとスタンガンを稼働させて見せた。
ガン!ガンッ!と室内に外から金属物があたる音が響いた。
「兄ちゃん、ボウガンで撃たれてる。私も出るわ。好兄は、信長さんと光秀さん頼むね。陽菜ちゃんは、とりあえずトイレに隠れてて!」
「あぁ、分かった。ミスティー、こんな状況やけど、仮に殺し屋やったとしても、相手を傷つけすぎんようにな!」
「はいっ。ミスティーちゃんも気をつけてね。」
と好哉はキッチンペーパーを半折にしてはさみを入れ式神を作り始め、陽菜はトイレに駆け込んだ。夏子は、ソファーで相変わらず寝ている。蘭丸がソファーと入り口の間の席に足を引きずりながら移動した。
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