『相思相愛ADと目指せミリオネラ突如出演の激闘20日間!ウクライナ、ソマリア、メキシコ、LA大激戦!なっちゃん恋愛小説シリーズ第3弾!』

あらお☆ひろ

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「鮫」

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「鮫」

 マジャド・ハラビは「にやり」と笑った。他の海賊もニヤニヤしている。マジャドはジャリルに対して言った。
「本来は一人100万ドルで600万ドルと言いたいところですが、無抵抗ですんなりと決裁していただけるなら、今月はヒジュラ暦ではイスラムの新年ですから、アーシュラ―にメッカ、メディナ、エルサレムのお参りができるように祝い金で六人セットで50万(ドル)で許してあげますよ。」
と人質のニコニコメンバーにもわかるように日本語で言った。
「あー、その金額やったら、私がはろたるわ。50万ソマリランド・シリングでええねんな!」
と夏子が割って入ると、マジャドは
「あほっ!50万ソマリランドシリング言うたら880ドルやないかい!今日のAK3丁とトカレフ1丁分のレンタル料払ったら無くなってしまうわ!お前ら六人でたった12万円かい!ぺちゃぱいは黙っとけ!」
と大阪弁丸出しで怒鳴った。「ぺちゃぱい」の言葉に夏子は反応したが、稀世に「「悪魔のなっちゃん」発動はもうちょっと待ちや!」と抑えられた。

 「へー、円換算できるんや。しかも関西弁丸出しの「マジャド・ハラビ」キャプテンってか?銃もレンタルってなんや?壊したら賠償金払うってか?RPGが入ってへんってことは、そいつはおもちゃやな!」
と稀世が言うと、一斉に夏子と陽菜が海賊二人につきつけられたAK-47の銃口に直の肩こり治療用に使っている百均のマイクロマグネットボールの塊を押し込んだ。直径3ミリのマグネットボールは銃口の中に入り込み、7.62ミリのフルメタルジャケット弾の射出口を塞いだ。二人の海賊は慌てて、威嚇射撃で空に向けて引き金を引いた瞬間、銃は暴発し、撃鉄がはじけた。羽藤はジャリルの背後でトカレフを突きつけている男の腕を絞り上げると、男はトカレフを床に落とした。それを舩阪がサッと拾いあげた。
 何が起こったかわからずオロオロするマジャドの周りで格闘戦が始まった。「くそったれ!」マジャドは叫ぶと、羽藤にAK47を向け引き金を引いたが弾が出なかった。
「あんた素人だね。AK47カラシニコフの弾倉は「30発」。発射速度は毎分「600発」。さっき空に向けた威嚇射撃で弾倉は「空」なんだよ。それに気がつかないものが「海賊」を名乗っちゃだめだよ。」
羽藤がマジャドに言うとマジャドはライフルを投げつけた。その瞬間、陽菜の金蹴りが正面から入り、その場にうずくまった。周辺では残り十四人対六人の格闘戦が始まった。

 「ジャリル!しっかりカメラ回しとってや!私を「ぺちゃぱい」っていったやつの仲間は皆殺しやー!ギャーハッハッハー!」
と「悪魔の夏子」発動で暴れだした夏子の声に反応しカメラのスイッチを入れ直す。デッキ上では直の合気術が炸裂し、次々と海賊の男たちが円弧を描き背中からデッキに叩きつけられていく。稀世のラリアット、ローリングソバット、レインメーカー、タイガードライバー、サマーソルトドロップが繰り出される。羽藤もマーシャルアーツで次々と海賊を倒していく。
 倒れた男たちに夏子の「ヒャッハー!」の叫び声とセットの無慈悲なみぞおちへのエルボードロップと顔面へのサッカーボールキックに陽菜のとどめの「金踏み」攻撃が加えられ、舩阪がインシュロックを使って次々と両手、両足を縛りあげていく。張り子のRPG-7を持った男は、稀世に殴りかかったがあっさりとかわされ足払いで大の字に倒されるとRPGを拾い上げた陽菜のゴルフのドライバーショットスイングで股間を打ち上げられ沈黙した。
 ものの二分で十四人の男がクルーザーのデッキで芋虫のようにうごめいている。マジャドはその惨状に勝ち目がないと思い、デッキを駆け抜け反対側の舷側から海に飛び込んだ。しかし、足首まであるガラベイヤが絡まりうまく泳げずぷかぷかと漂うだけだ。そこに、夏子がバケツを持ってきた。
「おい、親分が逃げだしてどないすんねん!まあ、私らは泳ぐつもりはあれへんから、お前の処分はサメの女王「メガロドン」に任せることにするわ!でよ!海の破壊神「メガロドン」!あほな生贄いけにえを捧げる!迷える子羊の鮮血を味わえー!」
と叫ぶと、バケツいっぱいのトマトケチャップをマジャドの頭の上にぶちまけた。

 マジャドの周辺に真っ赤なケチャップが広がると、マジャドはパニックを起こした。
「わ、悪かった!た、助けてくれ!本当にこの辺はサメが出るんだ!謝るから引き上げてくれ!」
と溺れそうになりながら泣き叫ぶマジャドに「ばーか、ばーか!人を「ぺちゃぱい」っていう悪い海賊はサメの餌になってしまえー!」、「せやせや、「ジョーズ」と「メガロドン」と「シャークネード」に食われてしまえー!」と夏子と陽菜が船上からはやし立てている!
 「あっ、そういえばあれもあったよなぁ!」と夏子はキャビンに走って戻ると、本物の二本のRPGー7を持ち出してきた。一本を陽菜に渡すと、もう一本を右肩に担ぐと安全装置を外した。
「ユー・ダーイ・マザー〇ァッカー!ゴー・トゥー・ヘル!ギャハハハー!」
と引き金を引こうとした瞬間、「そこまでや!」と直の手刀が夏子の後頭部に決まり、夏子はデッキに崩れ落ちた。
 「あっ、あれ何や?」と陽菜が海面を指さした。陽菜の指示した海面に黒い三角形が近づいてきている。「あれ、サメやないかい!こりゃ、引き上げたらんとほんまに食われてしまうぞ!」と直がロープをマジャドに向けて投げ入れたが、パニックを起こしたマジャドはロープを掴み登ろうとするが何度も落下してしまう。
 その間にもサメの背びれはどんどんと近づいてきている。「早よ上がれ!もう、20メートルまで迫ってんぞ!」の直の声にマジャドは必死にロープを掴み上半身が水面に現れた。ジャリルはカメラでマジャドを追う。必死にロープを掴み何とか両足が水面に現れた。「急げ!あと10メートルで来よんぞ!メガロドンじゃないにしてもかなりでかいぞ!」直の声が海に響く。
 何とか海面から3メートルまでロープを上ったところで巨大なサメの顔が水面から現れマジャドに襲いかかった。(もうあかん!食べられてしまう!)とマジャドとクルーザー上の七人が思った瞬間、「大丈夫!私に任さんかーい!と稀世がデッキから飛び降りた。

 デッキから高さ10メートルの落下速度を加算した稀世のドロップキックが巨大なサメの鼻先に食い込んだ。サメの神経の八割が集中しているという唯一の弱点に稀世のかかとがヒットし、サメは怯んで退却した。驚いたマジャドも再び海に落ちた。海に飛び込んだ稀世はロープにつかまると、「おっさん、私の背につかまれ!私が登る!」と叫ぶとマジャドを背負い一気に両腕だけで登り始めた。海水をたっぷりと含んだガラベイヤを着たマジャドは予想以上に重くペースが上がらない。
 登り始め全身が海面に現れたところで再びサメが攻撃態勢に戻った。デッキまであと1メートルというところで、羽藤が稀世の背につかまるマジャドを一気に引き上げた。ロープに残った稀世に再び大きな口を開けサメが海面から飛び上がってきた。稀世のかかとに「ざらっ」とした感触があった。(あかん、食われてしまう!サブちゃん、ひまちゃんごめん!サメにはかなわへんかったわ!)と稀世が両目をつぶった瞬間、「バシュッ!」っという音とともにサメは海中に押し戻された。
 稀世の開いた目の前にRPGー7の筒と舩阪の顔が見えた。三秒後、海中から「ドガーン」という爆発音が聞こえるとその1秒後に巨大な水しぶきが立ちのぼった。爆風に後押しされ、デッキに転がり込んだ稀世の上に血まみれのサメの破片が降り注いだ。巨大な背びれが稀世の上に落ちてきた。「がおっ!ふかひれや!ラッキー!サブちゃんにええお土産できたわ!きゃはは!」と笑う横で仰向けに倒れたままの夏子の上にはサメの下あごが落ちてきて、そのショックで一瞬目を覚ましたが、目の前にある巨大な歯が並ぶ下あごに驚いて「ぎゃー!」と叫び再び昏倒した。
 
 マジャドは後ろ手に縛られ、最上部から降りてきたセシルも含めた八人の前で正座させられている。ジャリルのカメラが回る前でセシルの尋問が始まった。マジャド・ハラビは本名を原田要といい、日本の遠洋はえ縄マグロ漁船の元乗組員だった。2017年に日本の次世代型の電気推進式遠距離はえ縄漁船のプロトモデル「豊栄丸」の試験航海でソマリアに寄港した際に地元マフィアとした博打にぼろ負けし、その負け分をカタに海賊を手引きし新型漁船を奪い取ったとのことだった。他の船員は身代金と引き換えに帰国したが、犯罪にかかわった原田は帰国せずそのままマフィアのメンバーとなり、海賊家業に身を落としたと身の上を明かした。
 ジブチに派遣された各国の海賊討伐活動により、アデン湾での海賊行為はできず本来のはえ縄漁も行ったが、盗船である「豊栄丸」は入港登録が必要なジブチやサウジアラビアやドバイには入港できず、ソマリアとソマリランドで商売をするしかなかった。カツオやマグロを揚げても、港に冷凍設備がないため、即日消費するだけしか売り上げにならない上に、燃料費の高騰で船を出すことすらできなくなっていた。
 そこにバサムから「アメリカのテレビ番組に出演中の日本人誘拐」の誘いがあり、船を出すことにしたという。現在の貧困を克服し、生きて行くために地元のマフィアを通じて仲間を集めて夏子、陽菜たちの拉致を計画した。マフィアからは、「アメリカ人には危害を加えるな」ということと「テレビ局のアメリカ人スタッフに言えば50万ドルは必ず支払う」と情報提供があったと全て白状した。
 
 「まあ、事情はわかったわ。ところでお前さんたちの拉致が成功して50万ドルが手に入った時のお前さんらの取り分はなんぼやったんや?」
と直が尋ねると「一人当たり1000ドルです…。」と原田は答えた。「そんなはした金の為にこんな大それたことをしたん?」と尋ねる稀世に
「はした金なんてとんでもない!ソマリア人の年間所得は500ドル弱です。1000ドルといえば2年分の収入ですから…」
と答えると黙り込んだ。
 「うーん、ここまで聞いてしまうと警察に突き出して終わりっていうのもなぁ…。最新鋭の船があるのに保管設備と売り先がないから、海賊をせなあかんっていうのも…」、と稀世が言いかけて、ふと「ポン!」と手を叩いて叫んだ。「ん!んん!せや、こんな時こそ「私のサブちゃん」や!ちょっと、ごめん!ちなみに今、日本は何時?」
 羽藤から今、ソマリア時間の午後3時で日本とは6時間の時差なので日本は午前9時であることがわかった。仕込み中であろう三朗に稀世は電話を入れた
「もしもし、サブちゃん?驚かんと聞いてや。私、今、ソマリアの海賊と一緒に居るんやけど、ちょっと知恵貸してくれる?サブちゃんやったらきっといい知恵だしてくれると思うねん!で、相談っていうのは…」



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