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闘技等級がB級になった

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ギルドを訪れた。

今回の件は、カミロが戻ったら全部清算してくれる。
“飛竜”を届けに来たことを告げた。

会議室で待っていると、研究所の何人かがやってきた。
なぜかパネサも一緒だ。
ギルドの取引所で“飛竜”を引き渡す。

後は、彼らが何とかするらしいのでお任せした。

パネサは、俺たちが捕獲したことに感激していた。
材料が手に入るからではなく、俺たちの成長が嬉しいとのこと。
それを聞いて俺たちも少しウルっとした。

「これを見て」と言って、亜空間発動。

トロトロと白濁の野天風呂が配置してある。
「両方ともタシュバードね」
「ということは持ってる?」
「ええ、この白濁も良いわよね」
「でも、キャンプでは違った白濁だったはず」
「濁っているのは3つあるから、白いのはスリムスロの方ね」

スリムスロか・・・、一緒に探査したのに。

「テントの布の材料は必要ないの?」とジーヌ。
「あの繊維ね、依頼はしてあると思うけど」
ということで、一緒に受付に。

パネサが受付の人に何かを言って依頼を探してもらった。

依頼:ガジュの木 採取 (ハンター)
場所:任意
概要:境界域内 
達成:1本以上* 期間:- 費用:- 買取価格:相談
違約金:- 闘技等級:B チーム:指定あり
注記: *通常群生している ギルド案件

「見て、ハンターなのに採取よ」とジーヌ。
「それはおいといて、闘技等級Bだ」とエルネス。
「ハルホレはC級だから無理ね」とリリアナ。
「B級になるには、後何年かの実績が必要だから」と俺。

「ギルドから特別に認めてもらう方法もあるわ」とパネサ。

パネサが受付の人に何かを言った。
しばらくすると、女性が現れた。
何度か見かけたことがある。

「フィネです。カミロの秘書をしています」

それぞれが名乗った。
そして、パネサが要件を伝えた。

フィネが言うには。
ギルド案件を受けたなどの実績に対して、闘技等級を上げることがある。
完了した依頼内容と現状の級が相応しくない場合には級を調整する。

あくまでも実際の強さが前提。

当然だ、級だけ上がっても意味は無い。
死んでしまう。

「そうだ、ちょっと待って下さい」とフィネ。
カウンターで何かを確認している。
「ハルホレですね、変な名前、ふふっ」とフィネ。

そこのあの人が名付け親です。

「やはり。カミロから通知が来ていました。ハルホレはチームとしてB級認定されています」
えっ?! 
通知を見せてくれた。

確かにそう書かれていた。
理由が付記されていた。
フークモバの代表団の役割を果たした。
“飛竜”を捕獲した。
内陸部付近まで踏破した。
他チームを救出したことも書いてあった、良いことはするものだ。

フィネがカウンターで何かを操作して、右手を当てた。
リングが光った。

「“壁”に伝えたので、チームで受けるものはB級でも大丈夫です」とフィネ。

B級の依頼をチームでこなせば、チーム実績が反映されて個人の級もやがて上がる。
嬉しいが一寸複雑だ。
フィネとパネサにお礼を言って、中央広場に移動。

テラスでランチを取りながらミーティング。

「浮かない顔ね」とリリアナ。
「“飛竜”のことだけど、結局倒せなかった。ベラールなら倒せると思う」
「ベラールの武器は、剣だった」とエルネス。

聖騎士だから持っている武器で戦うというのは妥当だろうな。

「顔や頭限定?」とジーヌ。
「頭部分をスパッ?可能性はあるけど、高速移動からの跳躍あるいは空間転位のようなものが要る」

「または圧倒的な威力かしら」とリリアナ。

服の刻印のように、力を反射するものではなかった。
減衰している感じだった。

「火は多少有効だった、炎を纏う剣とか?」とエルネス。
「良い感じね、毛の働きを無くす何かね」とジーヌ。

単純に倒すだけなら爆縮で潰せばいいか、でも何か違う気がする。

「休暇にしない? 折角だから新しいものを考えるの」とリリアナ。

***

夕食を囲む。
リリアナと俺はここに住んでいるから、結局は数時間後に再会。

「道具を使うなら、火や何かを飛ばすとかね。そういうのは色々ある。痺れさす、眠らす、行動を制限するとか。術式でなんとかなるわ」とマリタ。
「停止は時間が短いから。ウガーモンへの術式みたいなのだと良いけど」
「あの術式は良くできている。でも、“飛竜”の習性は未知だから複雑なのは難しいわね」

リリアナはマリタと相談しながら考えればなんとかなりそうだ。

問題は俺だ。
攻撃は、加速が主体だから相性が悪い。
ただ、昼にリリアナが言った圧倒的な威力というのが気になる。

「炎を纏う剣くらい、ジーヌに作ってあげるよ」とマリタ。
炎を纏う剣くらい・・・とな、マリタは相変わらず凄いな。

と思ったら、ラッフィナイフのことが頭に浮かんだ。

これは、何とかなりそうじゃない?
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