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第六章 父と特訓、筋肉アップのサマーバケーション(十五歳)
055 モリアティーニ侯爵
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父が入室の挨拶をして侵入を許された部屋は、金色で草花模様がうっすらと印刷された、薄緑色の壁紙に、ふかふかの絨毯。細かい部分まで意匠の凝った調度品や家具の数々が並ぶ、贅沢と表現するに相応しい部屋だった。
「ほほう、お主が殿下の娘じゃな」
杖をつき、私の前に立つ老年の男性。
しわが色濃く刻まれた顔の中。鋭いエメラルドグリーンの眼光だけは生き生きとし、私を上から下まで。しっかりと確認している。
(油断ならない感じ)
何となく失敗は許されない。
そんな雰囲気を感じる中。気を引き締めつつ私は淑女の礼をとる。
「はじめまして。ルシア・フォレスターと申します」
久々行う淑女の礼は、かなり足にくる。
プルプルと震えそうな足を気力と根性で堪える。
(に、肉離れしそう)
私は早く喋ってと願いながら頭を下げ続ける。
「なおりなさい。私はモリアティーニ家の当主、トマス・クルーべじゃ」
「両親がお世話になっております」
好感度を上げておこうと、年配な人に対する模範解答の一つ「親孝行」的な部分をアピールする。
「ルドウィン殿下が、お戻りになられた事で、この国は少しはまともになりつつある。よって、世話を焼かれているのはわしらの方じゃ。さぁ、座ってくれ。わしは足がいかれとるからな。あと五分も立たされておったら、そのままかかしになってしまうかも知れん」
(今のは笑うところ?)
いまいち冗談かどうか咄嗟に判断出来なかった。
掴めない言葉に戸惑い、父の顔を見上げると。
「お言葉に甘えるとします。ほらルシアこちらへ」
聞かなかった事にしたようだ。
私は父に促されるまま、ソファーに浅く腰を下ろす。
「しかしまぁ、最近の学校というのは、喪服のような制服なのだな。しかも、一国を担う者が膝小僧まで晒しおって、嘆かわしいものじゃ」
モリアティーニ侯爵は腰を下ろした途端、私の格好について意見した。どうやら古いお考えをお持ちの方のようだ。
「娘はフェリーテイル魔法学校でブラック・ローズ科に所属しております。ですから古き良き伝統というよりは、改革派。制服もその現れだと思いますよ」
父がすかさずフォローしてくれた。
「改革派。その言葉は悪くはない。現体制を崩壊させようと策略を巡らせているわしらも、ある意味改革派と言えないこともないからのう」
今度は一人納得し、笑みをもらすモリアティーニ侯爵。
どうやら父のお陰で、私の服装については許されたようだ。
(父さん、GJ)
私は父に「いいね」と心の中で笑顔と共に、親指を立てておく。
「いい機会なので伝えておこう。わしの願いはランドルフから王位を取り戻すこと。そしてわしの目がこの国を、しかと見据えているうちに、それを成す事じゃ」
モリアティーニ侯爵はそこで言葉を区切ると、私に視線を向けてきた。
「そなたがこの国の均等を保つため、グールに対抗できる者として立派に育つ事を期待しておる」
モリアティーニ侯爵の言葉は重い。何故なら私に「グールを狩れ」と命令するに等しいと感じたからだ。
けれど私が父の元を訪れているのは、グールを狩るためではない。どちらかというと、ルーカスに卒業までは何とかグール化するのを、堪えてもらいたいからだ。
「疑問なんですけど、どうしてグールがこの国を治めちゃだめなんですか?クリスタルがこの地の悪だまりを浄化している限り、グールは人を食べたい欲求を抑制されているんじゃないんですか?」
(だったら共に暮らせるんじゃないの?)
私はつい、思ったことを口に出してしまう。
「確かにクリスタルがグールの本能を刺激する、悪だまりを浄化しているのは間違いない。だが、実際には人を襲うグールがおる。それは何故か分かるか?」
モリアティーニ侯爵の問い掛けに対し、私は首を横に振る。
「グールもまた、本来の力を取り戻そうと必死だからだ」
「本来の力ですか?」
「彼らは人を捕食する事により、運動機能が増幅し、より強くなる。よって彼らはクリスタルのせいで、抑圧されていると主張しておるのじゃ」
「でも、クリスタルがなければ、グールは全ての人を食い尽くしてしまう可能性があります。そうなったら、この国は滅ぶと思いますけど」
例え他の国に新たな食料となる「人」を求めて戦争を仕掛け、勝ち続けたとしても、人を食べ尽くしてしまえば、いずれはグールしか残らない事になる。
そんな未来をグール達は望んでいるというのだろうか。
私は静かにモリアティーニ侯爵の返事を待つ。
「恐ろしい事に、彼らは強者であるグールが管理する社会を目指しておる」
「どういう事ですか?」
「自分達より劣る人間は、グールの生活に役立つよう、馴化させ、飼養し、繁殖させる。つまり家畜と同じように、人間を管理する社会を理想と掲げているんじゃよ」
忌々しいと感じでいるのか、モリアティーニ侯爵は苦虫を噛み潰したような表情を見せる。
「つまり……人間をグールの支配下に置きたいと」
私は丁度一年前。ルーカスと共に王城で行われた舞踏会に参加した時の事を思い出す。
あの時ルーカスとリリアナの婚約に湧く人の中に、「グールの時代が来る」と口にしている人がいた。
しかも、あの場にいた人々の多くは、それを喜んでいるようだった。
(人間側からしたら、たまったもんじゃないけど)
しかし、グール側からすれば食料確保の観点から、人間を家畜化すること。
そこに考えが行き着くのは自然な事のように思える。
(どっちが正しいかなんて、そんなの立つ側によって変わるものだし)
私はどちらの考えが正しいかは良くわからない。その上、父やモリアティーニ侯のように、ローミュラー王国という国に何の愛着もない。よって家族や自分さえグールに襲われなければ良い、というのが私の本音だ。
「ランドルフの掲げる未来が訪れた場合、今よりもずっと多くの人間が犠牲になるじゃろう」
モリアティーニ侯爵の説明を聞きながら、私はふと思う。
「でも今は表立って、グールと人間が武力による戦いを行っているようには思えないのですが」
エルマーの背から見下ろす、ローミュラー王国は、太陽に照らされ、輝くレンガ造りの建物が連なっていた。
街全体に張り巡らされた歴史を感じさせる石畳の道や、美しい彫刻が施された建物のファサードは上空からでも私の目には美しく映って見えた。
街角には人々がくつろぐカフェやレストランがあり、歩道には自転車で移動したり、歩いたりしている人の姿も多く見かけた。
全体的に街を包む雰囲気は穏やかで平和そのもの。決してグール対人間が争う構図は見て取れなかったような気がする。
「奴らは水面下で動いている。勿論こちらもルドウィン殿下率いる、対グールに特化した討伐隊を結成し、ランドルフの企み通りにいかぬよう、処理しておる。恐らくルシア嬢、そなたも無関係ではいられんじゃろう」
モリアティーニ侯爵はそう言うと、杖に寄りかかり、私を見つめた。
「そなたは、ランドルフの子、ルーカスと懇意にしていると聞いておる」
私を見定めるかのような、モリアティーニ侯爵のエメラルドグリーンの視線が私に刺さる。
流石に「同郷のよしみだから」と流せるような雰囲気ではない。
「まぁ、それなりに親しくしています」
無難な返事をしておく。
「そうか。それは朗報じゃ」
モリアティーニ侯爵は、今日一番ごきげんな声をだす。
「モリアティーニ侯は、人間もグールも平等であるとお考えだからね。勿論私もそうだよ」
怪訝な表情をする私に気付いた父が、すかさず補足してくれた。
「儂は、グールとお前が結婚をする未来を歓迎しておるのじゃ」
「歓迎ですか?」
「クリスタルが守るローミュラー王国でグールは人と結婚出来る。つまり共存可能だと国民全体に示す事になるからのう」
「あー、でもルーカスには婚約者がいますので、私と結婚はないかと」
私が遠慮がちに告げると、モリアティーニ侯は突然笑いだした。
(え、何かおかしなこと言った?)
動揺した私は、助け船を求めまたもや父の顔を見つめる。
「ルーカス殿下は婚約破棄をすると、私の前で口にしただろう?マージェリーからの情報によると、本気でそのつもりらしいからね」
父が説明してくれた。しかし私は未だ、ルーカスのその言葉を鵜呑みにして良いとは思っていない。
(だって人は裏切るものだから)
無条件で信じる事は出来ない。それはルーカスにだって当てはまることだ。
「あやつは、わしが思うよりずっと、賢く育ったようじゃ」
モリアティーニ侯爵は満足気に微笑んだ。
「賢く育ったって、一体どういう事ですか?」
まるで自分が教育したと言わんばかりの口調に、たまらず尋ねる。
「半グールとして生まれたルーカスは、家族から厄介者扱いされておった。私達はそれを利用し、王族派の人間に理解ある者として育つよう、奴をきちんと教育……まぁ、印象操作して育てたという事じゃ」
「あなたがですか?」
「ルシアも会った事があるはずだ。王宮に勤める、マージェリーという女性の事を覚えていないかい?」
父の言葉で私は、ルーカスを心配していた恰幅の良い女性を思い出す。
「彼女は殿下の乳母をしておる。影響力は抜群というわけじゃ」
はははと笑うモリアティーニ侯爵を見つめながら、確かに家族を疎ましく思っているルーカスは、マージェリーを慕い、信頼している様子だったという事を思い出す。
(そっか、ルーカスも)
私と同じように、自分のあずかり知らぬ所で生き方を他人や家族によって、決められた被害者のようだ。私はこの時密かに、ルーカスに親近感を覚えるのであった。
「ほほう、お主が殿下の娘じゃな」
杖をつき、私の前に立つ老年の男性。
しわが色濃く刻まれた顔の中。鋭いエメラルドグリーンの眼光だけは生き生きとし、私を上から下まで。しっかりと確認している。
(油断ならない感じ)
何となく失敗は許されない。
そんな雰囲気を感じる中。気を引き締めつつ私は淑女の礼をとる。
「はじめまして。ルシア・フォレスターと申します」
久々行う淑女の礼は、かなり足にくる。
プルプルと震えそうな足を気力と根性で堪える。
(に、肉離れしそう)
私は早く喋ってと願いながら頭を下げ続ける。
「なおりなさい。私はモリアティーニ家の当主、トマス・クルーべじゃ」
「両親がお世話になっております」
好感度を上げておこうと、年配な人に対する模範解答の一つ「親孝行」的な部分をアピールする。
「ルドウィン殿下が、お戻りになられた事で、この国は少しはまともになりつつある。よって、世話を焼かれているのはわしらの方じゃ。さぁ、座ってくれ。わしは足がいかれとるからな。あと五分も立たされておったら、そのままかかしになってしまうかも知れん」
(今のは笑うところ?)
いまいち冗談かどうか咄嗟に判断出来なかった。
掴めない言葉に戸惑い、父の顔を見上げると。
「お言葉に甘えるとします。ほらルシアこちらへ」
聞かなかった事にしたようだ。
私は父に促されるまま、ソファーに浅く腰を下ろす。
「しかしまぁ、最近の学校というのは、喪服のような制服なのだな。しかも、一国を担う者が膝小僧まで晒しおって、嘆かわしいものじゃ」
モリアティーニ侯爵は腰を下ろした途端、私の格好について意見した。どうやら古いお考えをお持ちの方のようだ。
「娘はフェリーテイル魔法学校でブラック・ローズ科に所属しております。ですから古き良き伝統というよりは、改革派。制服もその現れだと思いますよ」
父がすかさずフォローしてくれた。
「改革派。その言葉は悪くはない。現体制を崩壊させようと策略を巡らせているわしらも、ある意味改革派と言えないこともないからのう」
今度は一人納得し、笑みをもらすモリアティーニ侯爵。
どうやら父のお陰で、私の服装については許されたようだ。
(父さん、GJ)
私は父に「いいね」と心の中で笑顔と共に、親指を立てておく。
「いい機会なので伝えておこう。わしの願いはランドルフから王位を取り戻すこと。そしてわしの目がこの国を、しかと見据えているうちに、それを成す事じゃ」
モリアティーニ侯爵はそこで言葉を区切ると、私に視線を向けてきた。
「そなたがこの国の均等を保つため、グールに対抗できる者として立派に育つ事を期待しておる」
モリアティーニ侯爵の言葉は重い。何故なら私に「グールを狩れ」と命令するに等しいと感じたからだ。
けれど私が父の元を訪れているのは、グールを狩るためではない。どちらかというと、ルーカスに卒業までは何とかグール化するのを、堪えてもらいたいからだ。
「疑問なんですけど、どうしてグールがこの国を治めちゃだめなんですか?クリスタルがこの地の悪だまりを浄化している限り、グールは人を食べたい欲求を抑制されているんじゃないんですか?」
(だったら共に暮らせるんじゃないの?)
私はつい、思ったことを口に出してしまう。
「確かにクリスタルがグールの本能を刺激する、悪だまりを浄化しているのは間違いない。だが、実際には人を襲うグールがおる。それは何故か分かるか?」
モリアティーニ侯爵の問い掛けに対し、私は首を横に振る。
「グールもまた、本来の力を取り戻そうと必死だからだ」
「本来の力ですか?」
「彼らは人を捕食する事により、運動機能が増幅し、より強くなる。よって彼らはクリスタルのせいで、抑圧されていると主張しておるのじゃ」
「でも、クリスタルがなければ、グールは全ての人を食い尽くしてしまう可能性があります。そうなったら、この国は滅ぶと思いますけど」
例え他の国に新たな食料となる「人」を求めて戦争を仕掛け、勝ち続けたとしても、人を食べ尽くしてしまえば、いずれはグールしか残らない事になる。
そんな未来をグール達は望んでいるというのだろうか。
私は静かにモリアティーニ侯爵の返事を待つ。
「恐ろしい事に、彼らは強者であるグールが管理する社会を目指しておる」
「どういう事ですか?」
「自分達より劣る人間は、グールの生活に役立つよう、馴化させ、飼養し、繁殖させる。つまり家畜と同じように、人間を管理する社会を理想と掲げているんじゃよ」
忌々しいと感じでいるのか、モリアティーニ侯爵は苦虫を噛み潰したような表情を見せる。
「つまり……人間をグールの支配下に置きたいと」
私は丁度一年前。ルーカスと共に王城で行われた舞踏会に参加した時の事を思い出す。
あの時ルーカスとリリアナの婚約に湧く人の中に、「グールの時代が来る」と口にしている人がいた。
しかも、あの場にいた人々の多くは、それを喜んでいるようだった。
(人間側からしたら、たまったもんじゃないけど)
しかし、グール側からすれば食料確保の観点から、人間を家畜化すること。
そこに考えが行き着くのは自然な事のように思える。
(どっちが正しいかなんて、そんなの立つ側によって変わるものだし)
私はどちらの考えが正しいかは良くわからない。その上、父やモリアティーニ侯のように、ローミュラー王国という国に何の愛着もない。よって家族や自分さえグールに襲われなければ良い、というのが私の本音だ。
「ランドルフの掲げる未来が訪れた場合、今よりもずっと多くの人間が犠牲になるじゃろう」
モリアティーニ侯爵の説明を聞きながら、私はふと思う。
「でも今は表立って、グールと人間が武力による戦いを行っているようには思えないのですが」
エルマーの背から見下ろす、ローミュラー王国は、太陽に照らされ、輝くレンガ造りの建物が連なっていた。
街全体に張り巡らされた歴史を感じさせる石畳の道や、美しい彫刻が施された建物のファサードは上空からでも私の目には美しく映って見えた。
街角には人々がくつろぐカフェやレストランがあり、歩道には自転車で移動したり、歩いたりしている人の姿も多く見かけた。
全体的に街を包む雰囲気は穏やかで平和そのもの。決してグール対人間が争う構図は見て取れなかったような気がする。
「奴らは水面下で動いている。勿論こちらもルドウィン殿下率いる、対グールに特化した討伐隊を結成し、ランドルフの企み通りにいかぬよう、処理しておる。恐らくルシア嬢、そなたも無関係ではいられんじゃろう」
モリアティーニ侯爵はそう言うと、杖に寄りかかり、私を見つめた。
「そなたは、ランドルフの子、ルーカスと懇意にしていると聞いておる」
私を見定めるかのような、モリアティーニ侯爵のエメラルドグリーンの視線が私に刺さる。
流石に「同郷のよしみだから」と流せるような雰囲気ではない。
「まぁ、それなりに親しくしています」
無難な返事をしておく。
「そうか。それは朗報じゃ」
モリアティーニ侯爵は、今日一番ごきげんな声をだす。
「モリアティーニ侯は、人間もグールも平等であるとお考えだからね。勿論私もそうだよ」
怪訝な表情をする私に気付いた父が、すかさず補足してくれた。
「儂は、グールとお前が結婚をする未来を歓迎しておるのじゃ」
「歓迎ですか?」
「クリスタルが守るローミュラー王国でグールは人と結婚出来る。つまり共存可能だと国民全体に示す事になるからのう」
「あー、でもルーカスには婚約者がいますので、私と結婚はないかと」
私が遠慮がちに告げると、モリアティーニ侯は突然笑いだした。
(え、何かおかしなこと言った?)
動揺した私は、助け船を求めまたもや父の顔を見つめる。
「ルーカス殿下は婚約破棄をすると、私の前で口にしただろう?マージェリーからの情報によると、本気でそのつもりらしいからね」
父が説明してくれた。しかし私は未だ、ルーカスのその言葉を鵜呑みにして良いとは思っていない。
(だって人は裏切るものだから)
無条件で信じる事は出来ない。それはルーカスにだって当てはまることだ。
「あやつは、わしが思うよりずっと、賢く育ったようじゃ」
モリアティーニ侯爵は満足気に微笑んだ。
「賢く育ったって、一体どういう事ですか?」
まるで自分が教育したと言わんばかりの口調に、たまらず尋ねる。
「半グールとして生まれたルーカスは、家族から厄介者扱いされておった。私達はそれを利用し、王族派の人間に理解ある者として育つよう、奴をきちんと教育……まぁ、印象操作して育てたという事じゃ」
「あなたがですか?」
「ルシアも会った事があるはずだ。王宮に勤める、マージェリーという女性の事を覚えていないかい?」
父の言葉で私は、ルーカスを心配していた恰幅の良い女性を思い出す。
「彼女は殿下の乳母をしておる。影響力は抜群というわけじゃ」
はははと笑うモリアティーニ侯爵を見つめながら、確かに家族を疎ましく思っているルーカスは、マージェリーを慕い、信頼している様子だったという事を思い出す。
(そっか、ルーカスも)
私と同じように、自分のあずかり知らぬ所で生き方を他人や家族によって、決められた被害者のようだ。私はこの時密かに、ルーカスに親近感を覚えるのであった。
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