復讐の始まり、または終わり

月食ぱんな

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第六章 父と特訓、筋肉アップのサマーバケーション(十五歳)

057 早朝ランニング

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 学生最後の夏休み。

 今年の目標は「グール化したルーカスに負けない自分になること」だった。

 勿論それは魔法技術的にという意味で。

 しかし私は、師となる父により、日々ハードな運動をこなしている。しかも、「与えられたメニューをこなさなければ、食事も与えない」と、鬼のようなことを言い出した父によって、結局やらざるを得ないという逃げ場のない状況。

 おかげで随分と体が引き締まってきたような気がする。


 ***


 朝の早い時間、辺りには静かな空気が漂っており、美しい花々や噴水が周囲にある、広大な芝生を眺めつつ、私はランニングを始めた。

「やはり朝一番、この時間のランニングは気持ちが良いですね」

 涼しい顔で私の隣を伴奏するのは、ロドニールという十五歳の青年だ。
 エメラルドグリーンの澄んだ瞳に、はちみつ色の髪色を持つ彼は、最初に感じた印象通り、モリアティーニ侯爵の孫らしい。

 普段の彼はローミュラー王立学校に通う生徒で、現在は私と同じように夏休みのため、実家に帰省しているそうだ。

「まぁね。涼しいし、何より澄んだ空気は確かに悪くないわ」

 最初は走りながら会話する日が来るとは思わなかった。しかし、自然とついた体力のお陰なのか、最近はロドニールと会話する余裕が出来た。

「ねぇ、ロドニールは、グール討伐隊について詳しい?」

 私は父があまり教えてくれない、グール討伐隊とやらについて尋ねてみる。するとロドニールは、困ったような笑みを浮かべた。

「言ってもいいのかな」
「いいのよ。だって私だって来年学校を卒業したら、メンバーになる予定だもの」

(ま、予定は未定だけど)

 こっそり、心の中で付け足す。

 私の言葉を聞き、彼は少し驚いた表情を見せた後、ふわりとした柔らかい笑顔を見せる。

「ルドウィン殿下の話だと、ルシア様を参加させるおつもりがないとの事でしたが、そうですか。私達の仲間になって下さるのですね」
「えぇ、もちろん。だからこうして頑張っているのよ」

 私は息を吐くように嘘をつく。

 そもそもフォレスター家にまつわる「呪い」を自分の代で終わらせたい。父は未だにそう願っているようで、私に色々と肝心な事を、詳しく教えてくれない。

(私だってちゃんと死にたい)

 だから水晶のような物に魂を閉じ込められる最期なんて勘弁だと思うし、出来れば好きなように生きたい。

 けれど実際は、悪魔ことミュラーに私の動向は監視されているようだし、王族派をまとめているモリアティーニ侯爵にはバッチリ目をつけられている。よって、このまま行けば、私の卒業後の進路はよくわからない「グール討伐隊」とやらに参加させられるに違いない。

(勿論私は嫌だけど)

 フォレスター家の者に過度な期待をするせいで、私が拒否した所で、周囲がそれを許しそうもないという状況だ。

 正直人間とグール。両方にとって平等な時代を築くこと。それ自体に興味はない。けれど、モリアティーニ侯爵が目指す未来は、グールの王であるランドルフ・アディントンを王座から引きずり下ろすこと。それは私の掲げる復讐目標と被っている。

(私は孤高ここうの悪女でいたいけど)

 楽して復讐できるのであれば、グール討伐隊に手を貸すのも悪くはない。

 とはいえ、フェアリーテイル魔法学校を卒業するまで、まだ一年ほど残されている。その時間を有効活用し、私は自分で納得できる進路を決めるつもりだ。

「ルシア様が仲間になって下さったら、きっと百人力ひゃくにんりきですね」
「どうして?」
「それは、聖なる力を秘めたフォレスター家の方ですから」
「聖なる力?」

 私は口に出した途端、吐き気に襲われた。

(ちょっとやめて、それだけは)

 私は悪役を目指すブラック・ローズ科の生徒だ。よって、「ピーなる力」を秘めているなど、冗談でも口にしないで欲しい。

「ルドウィン殿下は絶対にグールにならない。その力こそ神より与えられた聖なる力だと、私はそう聞いております」

 青々とした芝生を踏みしめ、優雅なバラの花が咲き乱れている庭園の横を走りながら、ロドニールがうっとりした声を出す。

「それってグールを殺しても、罪悪感に囚われないってことでしょ?」
「はい。そんな感じかと」

 ロドニールはあっさり肯定する。

「まぁ、人によっては冷酷に映るかも知れませんが、ルドウィン殿下がグールを間引きしてくれれば、正直、私達も助かります。どんな事情であれ、グールも私達と同じ、ローミュラー王国民なわけですし、剣を向けるには、かなりの覚悟が必要なので」
「そっか」

 私は小さく相槌を打つ。

 確かに自分と同じ、人型である者に剣を向ける。そのような行為は、自分の生死がかかっている時以外、誰だって躊躇ちゅうちょする行為だろう。しかもその事で心を病めば、悪溜りによってグール化してしまう恐れだってあるのだ。

(私だって、グールとは言え、人を殺すだなんて、流石に無理かもな)

 弱気になる私はふと、ルーカスがグール化した時の事を思い出す。

(あの時私は、ルーカスを倒そうだなんて思えなかった)

 むしろ「食べられても仕方がない」と諦めの気持ちに襲われてしまった。

 その結果ルーカスにキスをしてしまうという、黒歴史まで残してしまったわけで。

 私はうっかりその事を思い出し、浮かんだ記憶を振り切るように、ランニングの速度をあげる。

 そしてふと、気づく。

(もしかして)

 あの時ルーカスが我に返ったのは、私が刻んだ、黒歴史のせいなのかも知れない。

 何となく、原理はわからないが、その可能性が高い気がした。

(待って、だとすると、毎回キスすれば、いいってこと?)

 そうすれば、こんな風に毎日キツイトレーニングをせずとも、ある意味ルーカスを簡単に掌握しょうあくできる事になる。

(駄目、無理、絶対だめだ)

 毎回キスなんて、ちょっと恥ずかしすぎるので、却下。

 私は小さく頭をふり、黒歴史ごと闇に葬る。そして、常々考えていた事を、何となくロドニールにぶつけてみる。

「ねぇ、グール化した人を元に戻す方法ってあると思う? 例えば、クリスタルを削って、その欠片を食べさせるとか、もしくは父が人間に戻れと命令してみるとか」
「そうですね……」

 ロドニールは一瞬口ごもり、その後、ゆっくりと走りながら首を横に振った。

「残念ながら、今のところ、グールを人間に戻す方法はないと聞いています」
「そう……だよね」

 わかっていた答えだ。それでも落胆してしまう自分がいる。

(ルーカスを人間に戻せたら、食べられる心配をしなくて済むと思ったんだけどな)

 やはり簡単に解決できる問題ではないようだ。

(まぁそうだよね。もうずっと何世代も、この国が抱え続けている問題なんだから)

 グールになった者を人間に出来る方法があれば、とっくにこの国からグールはいなくなっているだろう。

「何故、急にそんなことを?」
「別に、ただ何となく思っただけだから」

 私は素っ気ない返事を返す。ルーカス云々を流石にロドニールに説明するわけにはいかないからだ。

「そうですか」

 すると、ロドニールは少し考え込むように視線を落とした後、ふわりとした笑顔を見せた。

「では、この話は内密にしておきます」
「そうしてもらえると助かる」

 父に話されたりでもしたら、どうしてそう思ったのか。それを根掘り葉掘りしつこく聞かれる可能性がある。となると、ルーカスに食べられそうになった事も言わなくてはならなくなる。

 それだけは、色々と面倒なので勘弁だ。

(それにしても)

 私は隣を走るロドニールをチラ見する。すると目が合い、ニコリと微笑まれた。

 最初は父が私につけた監視役だと思い、あまり良い感情を抱けなかったロドニール。しかし共に汗を流す時間が増えてるに連れ、私の中で彼の位置付けは魔法の鏡と同じ。忠実なる下僕と等しい存在にまで、ランクアップしている。何故なら彼は私にそれなりにグールに関する情報を漏らしてくれるからだ。

(信用はしてないけど、使えるものは使う)

 私は気を許したフリをして、彼から毎日自分の知りたい情報をこっそり抜き取っているのである。

「そう言えば、昨日もみんな出かけていたみたいだけど、グールが出たの?」

 私は進む道を見つめ、足を忙しなく前に運びながら、さりげなく質問する。

「はい。王都の市内で宝石強盗があり、その盗賊達がグールを雇っていたらしいのですが、自我を失ったグールによって襲われていると情報が入ったそうです」
「物騒な世の中ね。ランドルフの抱える騎士団は対処しないの?」
「はい。ランドルフは、王都を守護する騎士達を、自分の手駒として使役し、そういった些細な事件に騎士達を派遣しませんので」

(そんなの市民の不満がたまるだけじゃない)

 私は「もう少し上手くやればいいのに」と呟く。

「全くです。とは言え、ランドルフの目指す「管理社会」では、階級制度が全て。グールでない我ら人間を家畜と同じ、下手すればそれ以下の存在と位置づけたいようですからね。強者のみが残る世界構築のため、わざと市民を放置しているのではないかと思います」

 ロドニールは、苦虫を噛み潰したような顔を見せる。

(やっぱりあの男、最低だわ。復讐してやる)

 私は改めてランドルフへの嫌悪感を募らせた。

「それにグール側は、ランドルフが統治するようになってから、強制的にその力を向上させる方法を見つけたという噂もあります。これは私の推測ですが、ランドルフはその研究に陶酔すいとうし、他が疎かになっているのではないかと」
「え、人を食べなくてもグール化出来るってこと?」

 グールはあくまで人を捕食する事により、その力を向上させる事が出来るはずだ。
 そしてその力は、クリスタルがある限り、封印されたような状態になっている。

 私は現状を頭で整理しつつ、ロドニールの答えを待つ。

「まだ調査段階らしいですが、悪溜りから採掘された鉱石から採取したものと人間の血混ぜたもの。それを体内に取り込むことで、一時的に運動能力を高める事が出来る薬があるらしいのです。ただ、グール化すると、理性も失う事になります。ですからグールにとっても諸刃の剣ではあるとは思いますが」
「そう、なんだ」

(つまり、その鉱物をルーカスに使えば、彼を強制的にグール化出来ちゃうってこと?)

 まさかルーカスが自ら望んでその薬を飲むとは思えない。しかし、彼は何を考えているか、いまいちわからない所があるのも確かだ。

(ルーカス、まさかそんな事しないわよね)

 不安に思う私は思わず眉間にシワを寄せてしまう。

「どうしましたか? ルシア様」
「いえ、何でもない」

 自分の胸の内を探られないよう、短く答える。

 会話をしながら走り続けるロドニールと私は庭園を抜け、林の中の道に入る。目の前に広がるのは、緑の木々と草の世界。爽やかな空気が鼻をくすぐり、鳥のさえずりが耳に響いてくる。

「あのさ、さっきの話だけど、クリスタルが正常に働いているのに、父さんがグール達を狩らなきゃ行けない理由。それはその薬のせいで、グール化する人が増えているからってこと?」
「詳しくは私もわかりません。しかし、クリスタルのある、我が国にいる限り、通常であればグールになっても、肉食になるくらいで、人を捕食しようとは思わない筈ですから」

(それなのに、グールが人を襲うような事件はなくならない)

 つまりはその怪しい薬を体内に取り込んだ人がいるということ。

 ロドニールは「詳しく知らない」と口にしたが、状況からすると、変な薬が存在するのは明らかだ。

 そもそも、どうしてグールは現状を不満に思い、人の上に立ちたいのか。
 そしてそう思う事自体が、いけない事なのかどうか。私にはイマイチ良くわからない。

「あぁ、このぶんだと朝食の時間に遅刻しそうですね。少しペースを早めましょうか」

 腕時計を確認したロドニールが、私の返事を待たず、走るスピードを上げる。私は彼に後れを取らないよう、慌てて走る速度を早める。

「ねぇ、今のって、確認する意味あった?」

 彼の背中を追いかけるように、距離を縮めた私は問いかける。

「トレーニングを始めた時ならばいざ知れず、今のルシア様ならば、大丈夫だと思いまして、つい、返事を待たずに走り出してしまいました。すみません」
「何よそれ」

 私は軽く笑うと、ロドニールと共に、緑鮮やかな林の中を、軽快に走り抜けたのであった。
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