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やろうとしてみた1
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「んぁ?うゎ寒っ……誰かー足湯持ってきてーついでに暖炉に火もお願い」
顔を刺すような寒さに目が覚めた。布団を頭から被って体を丸める。うう寒い。この世界にはエアコンなんてものはないから、部屋を暖めるためには暖炉に火を焚べなきゃならないのだ。いつもなら俺が起きる前に側仕えの誰かが部屋を温めてくれてるのに。みんな寝坊でもしてるのかな。返事はない。
布団から顔を出し天井を見つめる。あれ?いつもと天井の柄が違う。俺の部屋じゃない。まさかエリックの部屋か?ここ十年エリックの寝室に入れてもらえたことなんてないけど、ついにン十年ぶりに夜を共にしちゃった感じ?だってなんか腰も痛いし、これはまさか久しぶりにヤったのでは!?布団をめくって隣を見る。誰もいない。
あれ?
身体を起こす。部屋の中はしんとしていてエリックどころか側仕えすらいない。
珍しい。みんな寝坊か~?じゃない。
思い出した。昨日俺は二十年暮らした城を出てきたんだった。
ここはエリックの寝室じゃなくて新しい住まいの寝室で、腰が痛いのはヤったからじゃなく歳のせい。これまで仕えてくれた側仕えは皆んな城に残って、付いてきてくれたのは護衛のイアンだけ。
側仕えがいない今、部屋を暖めるのも足湯を用意するのも自分でしなくちゃならないのだ。分かってる。分かってるけど寒くて布団から出られない。またも布団の中に潜り込んで身体を丸める。これまでお世話されて当然だった身体はなかなか動こうとしない。頭の中では動け動けと思っているのに身体がついていかないのだ。しばらく布団に包まって芋虫のようにゴソゴソとしてから、意を決して起きようとした時だ。コンコンと扉をノックする音が聞こえてきた。
「ハル様、お目覚めですか」
「イアン!」
失礼致します、とイアンが部屋に入ってきた。手には白い大きな器を持っている。器を持ったままベッドまで来ると、それを床に置いた。ゆらゆらと白い湯気が立つそれは足湯だ。
「足湯を用意しましたので暖まっていて下さい。その間に暖炉に火を入れますので」
「え、あ、ウン」
お湯の入った器を置いてイアンが暖炉へ向かう。暖炉の前で膝を折り薪を焚べていく。
布団の中から這い出てベッドに腰掛ける。白い器に足を入れれば、じんわりとした暖かさが指先から足全体に広がっていく。
あったかい。
はふぅと息を吐く。寒い朝の足湯は最高だ。
「暖炉に火がつきましたので直に暖かくなってくるかと。ハル様はしばらくそのままでいて下さい」
「はーい」
って呑気に返事してる場合じゃないだろ俺!自分のことは自分でやるって決めたばかりなのにイアンに頼りきりでどうすんだ。
動け俺!と思っても、足湯の気持ちよさから離れられない。
「ハル様、こちらのタオルで足を拭いてください」
「あ、ハイ」
結局イアンが戻ってくるまで足湯に浸かってまったりしてしまった。イアンの用意してくれたタオルで足を拭く。
「こちらに顔を洗う用のお湯とタオルも用意しましたので」
「イアン……!」
なんて出来る男なんだ……!
ありがたいけれどそれ以上に申し訳ない。神子改めただの三十路のおっさんの世話をさせていることに罪悪感が湧いてくる。自分のことは自分でやると決めたくせに、結局頼りきりの自分が情けない。
「イアン、俺のためにわざわざお湯なんて用意しなくていいんだよ。顔を洗うのなんて水で十分なんだから」
「こちらに水も用意していますがお使いになりますか?」
「ありがとう、って冷たぁ!!」
結局イアンが用意してくれたお湯で顔を洗った。やっぱりお湯最高。イアンありがとう。
その後、イアンが用意してくれた服に着替え、イアンが作ってくれた朝食を食べた。
明日から……!明日から頑張るので……!!
顔を刺すような寒さに目が覚めた。布団を頭から被って体を丸める。うう寒い。この世界にはエアコンなんてものはないから、部屋を暖めるためには暖炉に火を焚べなきゃならないのだ。いつもなら俺が起きる前に側仕えの誰かが部屋を温めてくれてるのに。みんな寝坊でもしてるのかな。返事はない。
布団から顔を出し天井を見つめる。あれ?いつもと天井の柄が違う。俺の部屋じゃない。まさかエリックの部屋か?ここ十年エリックの寝室に入れてもらえたことなんてないけど、ついにン十年ぶりに夜を共にしちゃった感じ?だってなんか腰も痛いし、これはまさか久しぶりにヤったのでは!?布団をめくって隣を見る。誰もいない。
あれ?
身体を起こす。部屋の中はしんとしていてエリックどころか側仕えすらいない。
珍しい。みんな寝坊か~?じゃない。
思い出した。昨日俺は二十年暮らした城を出てきたんだった。
ここはエリックの寝室じゃなくて新しい住まいの寝室で、腰が痛いのはヤったからじゃなく歳のせい。これまで仕えてくれた側仕えは皆んな城に残って、付いてきてくれたのは護衛のイアンだけ。
側仕えがいない今、部屋を暖めるのも足湯を用意するのも自分でしなくちゃならないのだ。分かってる。分かってるけど寒くて布団から出られない。またも布団の中に潜り込んで身体を丸める。これまでお世話されて当然だった身体はなかなか動こうとしない。頭の中では動け動けと思っているのに身体がついていかないのだ。しばらく布団に包まって芋虫のようにゴソゴソとしてから、意を決して起きようとした時だ。コンコンと扉をノックする音が聞こえてきた。
「ハル様、お目覚めですか」
「イアン!」
失礼致します、とイアンが部屋に入ってきた。手には白い大きな器を持っている。器を持ったままベッドまで来ると、それを床に置いた。ゆらゆらと白い湯気が立つそれは足湯だ。
「足湯を用意しましたので暖まっていて下さい。その間に暖炉に火を入れますので」
「え、あ、ウン」
お湯の入った器を置いてイアンが暖炉へ向かう。暖炉の前で膝を折り薪を焚べていく。
布団の中から這い出てベッドに腰掛ける。白い器に足を入れれば、じんわりとした暖かさが指先から足全体に広がっていく。
あったかい。
はふぅと息を吐く。寒い朝の足湯は最高だ。
「暖炉に火がつきましたので直に暖かくなってくるかと。ハル様はしばらくそのままでいて下さい」
「はーい」
って呑気に返事してる場合じゃないだろ俺!自分のことは自分でやるって決めたばかりなのにイアンに頼りきりでどうすんだ。
動け俺!と思っても、足湯の気持ちよさから離れられない。
「ハル様、こちらのタオルで足を拭いてください」
「あ、ハイ」
結局イアンが戻ってくるまで足湯に浸かってまったりしてしまった。イアンの用意してくれたタオルで足を拭く。
「こちらに顔を洗う用のお湯とタオルも用意しましたので」
「イアン……!」
なんて出来る男なんだ……!
ありがたいけれどそれ以上に申し訳ない。神子改めただの三十路のおっさんの世話をさせていることに罪悪感が湧いてくる。自分のことは自分でやると決めたくせに、結局頼りきりの自分が情けない。
「イアン、俺のためにわざわざお湯なんて用意しなくていいんだよ。顔を洗うのなんて水で十分なんだから」
「こちらに水も用意していますがお使いになりますか?」
「ありがとう、って冷たぁ!!」
結局イアンが用意してくれたお湯で顔を洗った。やっぱりお湯最高。イアンありがとう。
その後、イアンが用意してくれた服に着替え、イアンが作ってくれた朝食を食べた。
明日から……!明日から頑張るので……!!
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