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1巻 3章 クリス
第十二話 【性描写アリ】
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侯爵家の屋敷。
窓に差し込む月の光。
花瓶に咲く赤い薔薇。
きしむ白いベッドの音。
フォルテルのたくましい筋肉。
クリスの白い柔肌。
なめし処理がされた麻縄。
一本の、長い木の棒……。
クリスは自由に身動きが取れないでいた。M字に開いた両脚。ひざの裏で木の棒をはさみ込み、麻縄で、ひざと木の棒を固定するように、しっかりと縛られているためだ。右手は右ひざの近くに麻縄で木の棒とともに括られており、左手は左ひざの近くにて、右側と対象になるように括られている。すなわち、一本の木の棒を使って、太い麻縄で両手両ひざが縛られている状態。強制的なM字開脚だ。アナルを晒し、性器を天井に向け、ベッドに背中を付けているクリスにとって、動かすことができるのは口と首だけになる。
緊縛。
クリスは縄に縛られていた。
ベッドの右横には、クリスが、自分の全身が見えるように置かれた大きな鏡がある。左には花瓶といくつかの薔薇だ。右を向けば縛られている自身が、左には美しい薔薇が、前を向けば自身の性器と縛られている現実が見える形だ。
「クリス……、綺麗なアナルがよく見えるよ」
肉棒の先にいるのは侯爵フォルテル。彼は、クリスのアナルをのぞき込んでいた。
縛られているために、クリスには男の顔が近づいているのがよくわかってしまう。自身のアナルに、男根を大きくさせた男の顔が。
羞恥。
何度も夜を重ねている男だとしても、それでもこんなに秘する場所をじっくりと鑑賞されることは非常に恥ずかしかった。当たり前だ。そのような機会など、日常で経験することはないのだから。
けれども見えてしまう。自分の性器が濡れていくのを。縛られているためなのか、その羞恥に反応してなのか。大きく、蜜を垂れ流しはじめるクリスの欲望が。縛られているために、はっきりと見えてしまうのだ。クリスは性的に興奮してしまっている。縛られ、秘部を覗かれているにも関わらず。それを半ば強制的に認識させられていた。自由を奪われて秘部に顔を付けられて嬉しがっている事実。
「おっ、御屋形様っ」
「フォルテルだ」
低い声がクリスの尻に響く。
息遣いが、太ももでわかってしまう。淡い刺激。さらに白い太ももを舐められ、腰を手でなぞられる。襲う快感。勝手に声が出てしまう。
「ぅぁっ、ぁっ、あっ」
「クリス。縛られて大きくなってる。嬉しいのかい? 縄で縛られて。あられもない姿を無防備に見せて」
「フォルテル、それはちがっ」
違う。違うはず! これは縄で縛られたからじゃなくて! こんな格好をさせられてるからじゃなくて!
「違う?」
「違いますっ」
「メロディアに見られそうになって、気持ちよくなっていたのに? アマンダが近くを通ったときに、自分から激しく腰を振ったのに?」
あれは……っ! あのときは……っ!
大きく、湿っていく性器。嫌でも視界に入る。自分が興奮しているのを理解してしまう。あんなことを思い出して。露出し、セックスを見られているかもしれないことをわかっていながら、気持ちいいと、喜んで腰を振っている自分を思い出して。反応していく身体。蜜を流している自分を再理解させられてしまう。
「気持ち良くなかったかい?」
気持ち良かった。でもそれじゃあまるで私は……。
舌が、アナルを舐めた。
「あぁあっ!」
「ほら、気持ちがいい」
唾液による舌とアナルの協和音が部屋を覆う。
「ぁっ、だめぇっ! きたないっ! ぁンっ!」
男が自分のアナルを舐めている。応じて自身の蜜が流れ出す。それが、見える。やめさせたくても縄で固定されているために動けない。舌の蹂躙を受け入れるしかなかった。アナルを味わう音が響く。その度に、自身の性器が喜んでいた。
「あぁァっ!」
嘘!?
「アっ、あっ!」
嘘っ!?
「あぁぁぁっ!」
縛られてるのに!
「っぁぁ! ぁああ!」
あんなところ舐められてっ!?
「ひぁあああぁつ、アァあぁあああっ!」
どうしてこんなに気持ちいいのっ!?
「あぁああぁぁあああぁンっ!」
「綺麗だよ、クリス」
舌が硬く尖った。ねっとりと、唾液をまとった舌が、アナルの入り口を犯しはじめる。優しく、力強く。侵入してくる。
舌が、中に……っ!
上に、下に。舌が、クリスの中で、動く。肉壁をえぐる感触が、わかる。
「ぁっ、ぁっ、ぁぁぁああああ!」
さらに濡れていく下半身。蜜が零れ、自身の腹を濡らしてく。
快感から逃れたくても動けない。全てが見える。興奮している自分がわかってしまう。自由を奪われて感じてしまっていることがわかってしまう。こんなことをされて快感を覚えていることが強烈に理解させられてしまう。
「ほら、こんなに濡れている」
ぬるりと、さらに奥まで浸食。抜かれ、入ってくる。
「ンあアァっ!」
「クリスは、人に見られて、縛られて、アナルを舐められて感じる、変態なんだ」
嘘っ!
けれども激しい波は止まらない。快感を拒否したくても動けずに。下半身からさらにトロリと蜜が流れる。零れ落ちる。目に映る光景。縛られ、アナルを舐められることを身体がさらに求めている。それを、強烈に認識させられてしまう。
嘘? 本当に!? 私が? 私は変態なのっ!?
「クリスは変態だな」
「ちがっ、ぁぁああ!」
否定しようとして、けれどもやはり動けず、再び侵入した舌を上下させられた。
「ぃぁぁあっ!」 気持ちいいぃぃっ! 「変態ですっ!」 だめ、中まで入ってくる! 「私は人に見られてぇっ!」 中で動いてる! 「ぁっ、縛られてっ、あアっ!」 かき乱してくる! 「ンぁあっ!」 温かい舌が動いてる! 「アナルを舐められて、ふぁあっ!」 もっと! 「喜ぶ、ぅあっ!」 もっとシてっ! 「変態ですぅぁああっ!」 ぁぁぁあああッ!
舌が抜かれた。ねちょりと、唾液が。
嘘、嘘、嘘! そんなことって!?
自身の股の間で、男が笑う。
「クリス。俺はいつも、クリスが嫌がることをしない。そうだな?」
「は、はいっ」
「この麻縄だってそうだ。これはクリスの綺麗な肌を傷つけないように、充分な処理をしている高級なものだ。湯通しし、毛羽焼き、つまり滑らかにするために火を通して焼き、さらにロウを使って加工したため肌に優しく仕上がっている麻縄だ。≪乙女のきめ細やかな肌≫の効果があるからそのようなことをしなくても大丈夫だろうが、それでも、俺はクリスが傷つかないように気を使っている。わかるかい?」
「はい……」
嫌なことはしない。確かにそうだけど、でもこれって。私は悦んでいるってこと……?
否定をしたくて、けれども前を向くと自身の性欲に濡れた躰があった。右を見ると鏡に映る獣欲に溺れた二人。結局、恥ずかしくなり、左に助けを求めた。優美な薔薇が数本あった。
「そこの薔薇は中庭にあった薔薇だ。今朝、俺が摘んだものだ。もちろんトゲは俺が処理した。覚えているかい? トゲの処理の仕方を教えたのは、俺だということを」
「はい……」
「それももうずいぶん前になる。二人で薔薇を摘んだ。二人でトゲを削いだ。二人で花瓶に生けた。二人で笑った。覚えているかい?」
「覚えてます」
「思い出だ。薔薇は思い出なんだ。二人の。薔薇は二人の思い出なんだよ」
「……はい」
「その薔薇を、今日、クリスのアナルに入れる」
「えっ!?」
今、目の前にある、この薔薇を!?
驚き。男を見た。股の間にある顔。嫌でも視界に入る性器。恐怖か期待からか。下半身がさらに熱くなる。蜜が、また、腹の上にとろりとこぼれる。アナルがうずいた。
「クリス。愛している」
性器の先端を、親指でなぞられる。なぞられ続ける。
「ぃやああああああっ!」 直接的な快感。気持ちが良すぎて動いて緩和させようにも、麻縄で固定されているためにそれすらできない。襲い掛かる強い刺激の波。「あぁぁぁっ、ああァアアアっ!」 クリスにできることは喘ぐことだけだった。
ようやく指を離される。糸が引いていた。
それすらも見える。見えてしまう。
さらに溢れだした。
息が乱れている。
フォルテルは一輪の薔薇を手に持ち、切なそうな顔をした。
本当に? 本当に入れるの!?
「クリス。愛してるよ。大丈夫。十年だ。十年も一緒なんだ。気持ちが良くなるのはそれだけ俺たちの愛が深いからなんだ。クリスは俺がクリスを気持ちよくしてくれると信頼してくれている。俺はクリスが俺のすることを受け入れてくれると信頼している。だから気持ちがいいんだ。わかるかい? 薔薇は綺麗に処理してある。さらにその上に絹を巻いてある。クリスはスキルがあるけれど、それでも傷つけたくないからね」
ドクン、と自身の下半身が期待していた。
ひくひくと、アナルが薔薇を期待していた。
男が愛しそうに薔薇を近づけてくる。ピタリと、入口に付けられた。
「思い出してほしい。まだメロディアが産まれていないころの俺たちを。若かった。薔薇を摘んだ。あのとき、トゲが刺さって痛かったな。慌てたクリスが可愛かった。昨日のように思い出せる。覚えているかい?」
「はぃ、ぁぁああっ!」
薔薇の茎が、入ってくる。布越しでもわかる茎の造形、温度。同時に蘇る記憶。十年以上前のフォルテルの姿。あのときの笑顔。薔薇を、若いころのフォルテルを、思い出を一輪、時間をかけてぬぷりと受け入れていく。
「ぁっ! ぁあっ! 薔薇がっ! フォルテルがっ!」
手が、離される。
生けられる薔薇。
私から薔薇が!
「綺麗だ……。美しい……」
さらにもう一輪。同じようにピタリとアナルに付けられる。
「覚えているかい? 俺がちょうど三十歳になったときのことだ。二人で庭を歩いたね? 他の誰に祝われるよりも嬉しかった。二人で薔薇のアーチをくぐっただけなのに。二人で庭を歩いただけなのに。俺は涙を流していた。のんびりと、ゆったりとした、幸せな時間だった。嬉しかったんだ。本当に嬉しかったんだ。クリスと歩けて。だってクリスは十五歳で、だから……。あのときに俺の涙を拭いてくれたこと、覚えていてくれているかい?」
「はっ、はいっ、ァっ、ぁあン! ぁっ、ァっ!」
二本目。肉壁と茎が摩擦しあう。二本目の茎が一本目の茎を動かし、予想外の刺激を与え始める。ぐちゅり、ぐちゅりと。三十歳の穏やかなフォルテルの笑顔。ぐちゅり、ぐちゅりと。二本目の茎が一本目の茎を弾く。ぐちゅり、ぐちゅりと。二人だけの薔薇のアーチ。ぐちゅり、ぐちゅりと。予想外の刺激。
「ぃぃあぁぁああああっ! ダメっ! フォルテルが! フォルテルがっ! あぁぁっ!」
三本。まだ入ってすらいないのに、三本目の薔薇の茎と、アナルと、一本目の薔薇と二本目の薔薇が、絡んだ。茎と茎の震動。二人のフォルテルがクリスを蹂躙していく。分泌された蜜なのか、肉棒からの愛液なのか。嬉しそうに愛の汁と薔薇がアナルで音を立てる。
「あっ! ぁっ! ァああっ!」
「愛している、クリス。俺が薔薇に誓ったように。クリスが信じられないのもわかっている。だが俺はお前を愛している。十六歳のクリスにブーケを贈ったように。すごく考えたんだ。クリスをより苦しませてしまうかもしれないと。考えて、考えて、贈った。ブーケを贈りたかった。部屋に飾ってあったのを見たとき、飛び上がるほど嬉しかったのを必死に我慢したんだ」
薔薇が、当時の恥ずかしそうに微笑むフォルテルとの思い出が、入ってくる。一本が、二本を無遠慮にアナルの中を、上に、下に、右に、左に、移動させる。クリスの嬌声とともに、月の光を浴びる室内に恥ずかしい音を響かせ、汁を滴らせながら、茎が、茎が、茎が。肉壁を思いがけない強さで刺激してくる。
「あぁっ! あぁアっ! ぃやあっ! あああああっ!」
耐えきれなくて右を見る。縄に縛られ、さらに薔薇が咲いている自身の躰が鏡に映っていた。信じられなくてじっと見つめてしまった。
「見えるかい? クリスの美しい姿が。ほら、こうするともっと綺麗になる」
男は新しい薔薇を取り出し、花をクリスの上で握りつぶした。手が開かれると、薔薇の花びらが、クリスの身体の上で踊った。白い肌に色づく艶やかな赤。愛のこもった麻縄に自由を奪われた、濃厚な性の香りを漂わせる肢体。アナルから伸びる華美な薔薇。さらなる快感を期待している自身の顔。信じられなかった。
男の手が、アナルの薔薇に伸びた。茎を握っている。震動が伝わってきた。
「薔薇は俺たちの思い出なんだ。愛しているよ」
ぐりゅりとアナルの中の茎をかき回された。「ぁぁぁぁぁぁぁああああああああああっ!」 三本の茎が絡み合い、肉壁と愛蜜がハーモニーを奏でる。「ぁあっ、あっ、あぁぁぁあぁぁぁぁっっ!」 二十四歳のフォルテルと、三十歳のフォルテルと、三十一歳のフォルテルがクリスを犯す。 「ああぁぁああぁぁあぁあぁぁぁああっっ!」 同じ男の三本の肉棒がクリスを犯し続ける。「あぁぁあああぁっ! ああああぁあぁあぁぁあああぁっ!」
窓に差し込む月の光。
花瓶に咲く赤い薔薇。
きしむ白いベッドの音。
フォルテルのたくましい筋肉。
クリスの白い柔肌。
なめし処理がされた麻縄。
一本の、長い木の棒……。
クリスは自由に身動きが取れないでいた。M字に開いた両脚。ひざの裏で木の棒をはさみ込み、麻縄で、ひざと木の棒を固定するように、しっかりと縛られているためだ。右手は右ひざの近くに麻縄で木の棒とともに括られており、左手は左ひざの近くにて、右側と対象になるように括られている。すなわち、一本の木の棒を使って、太い麻縄で両手両ひざが縛られている状態。強制的なM字開脚だ。アナルを晒し、性器を天井に向け、ベッドに背中を付けているクリスにとって、動かすことができるのは口と首だけになる。
緊縛。
クリスは縄に縛られていた。
ベッドの右横には、クリスが、自分の全身が見えるように置かれた大きな鏡がある。左には花瓶といくつかの薔薇だ。右を向けば縛られている自身が、左には美しい薔薇が、前を向けば自身の性器と縛られている現実が見える形だ。
「クリス……、綺麗なアナルがよく見えるよ」
肉棒の先にいるのは侯爵フォルテル。彼は、クリスのアナルをのぞき込んでいた。
縛られているために、クリスには男の顔が近づいているのがよくわかってしまう。自身のアナルに、男根を大きくさせた男の顔が。
羞恥。
何度も夜を重ねている男だとしても、それでもこんなに秘する場所をじっくりと鑑賞されることは非常に恥ずかしかった。当たり前だ。そのような機会など、日常で経験することはないのだから。
けれども見えてしまう。自分の性器が濡れていくのを。縛られているためなのか、その羞恥に反応してなのか。大きく、蜜を垂れ流しはじめるクリスの欲望が。縛られているために、はっきりと見えてしまうのだ。クリスは性的に興奮してしまっている。縛られ、秘部を覗かれているにも関わらず。それを半ば強制的に認識させられていた。自由を奪われて秘部に顔を付けられて嬉しがっている事実。
「おっ、御屋形様っ」
「フォルテルだ」
低い声がクリスの尻に響く。
息遣いが、太ももでわかってしまう。淡い刺激。さらに白い太ももを舐められ、腰を手でなぞられる。襲う快感。勝手に声が出てしまう。
「ぅぁっ、ぁっ、あっ」
「クリス。縛られて大きくなってる。嬉しいのかい? 縄で縛られて。あられもない姿を無防備に見せて」
「フォルテル、それはちがっ」
違う。違うはず! これは縄で縛られたからじゃなくて! こんな格好をさせられてるからじゃなくて!
「違う?」
「違いますっ」
「メロディアに見られそうになって、気持ちよくなっていたのに? アマンダが近くを通ったときに、自分から激しく腰を振ったのに?」
あれは……っ! あのときは……っ!
大きく、湿っていく性器。嫌でも視界に入る。自分が興奮しているのを理解してしまう。あんなことを思い出して。露出し、セックスを見られているかもしれないことをわかっていながら、気持ちいいと、喜んで腰を振っている自分を思い出して。反応していく身体。蜜を流している自分を再理解させられてしまう。
「気持ち良くなかったかい?」
気持ち良かった。でもそれじゃあまるで私は……。
舌が、アナルを舐めた。
「あぁあっ!」
「ほら、気持ちがいい」
唾液による舌とアナルの協和音が部屋を覆う。
「ぁっ、だめぇっ! きたないっ! ぁンっ!」
男が自分のアナルを舐めている。応じて自身の蜜が流れ出す。それが、見える。やめさせたくても縄で固定されているために動けない。舌の蹂躙を受け入れるしかなかった。アナルを味わう音が響く。その度に、自身の性器が喜んでいた。
「あぁァっ!」
嘘!?
「アっ、あっ!」
嘘っ!?
「あぁぁぁっ!」
縛られてるのに!
「っぁぁ! ぁああ!」
あんなところ舐められてっ!?
「ひぁあああぁつ、アァあぁあああっ!」
どうしてこんなに気持ちいいのっ!?
「あぁああぁぁあああぁンっ!」
「綺麗だよ、クリス」
舌が硬く尖った。ねっとりと、唾液をまとった舌が、アナルの入り口を犯しはじめる。優しく、力強く。侵入してくる。
舌が、中に……っ!
上に、下に。舌が、クリスの中で、動く。肉壁をえぐる感触が、わかる。
「ぁっ、ぁっ、ぁぁぁああああ!」
さらに濡れていく下半身。蜜が零れ、自身の腹を濡らしてく。
快感から逃れたくても動けない。全てが見える。興奮している自分がわかってしまう。自由を奪われて感じてしまっていることがわかってしまう。こんなことをされて快感を覚えていることが強烈に理解させられてしまう。
「ほら、こんなに濡れている」
ぬるりと、さらに奥まで浸食。抜かれ、入ってくる。
「ンあアァっ!」
「クリスは、人に見られて、縛られて、アナルを舐められて感じる、変態なんだ」
嘘っ!
けれども激しい波は止まらない。快感を拒否したくても動けずに。下半身からさらにトロリと蜜が流れる。零れ落ちる。目に映る光景。縛られ、アナルを舐められることを身体がさらに求めている。それを、強烈に認識させられてしまう。
嘘? 本当に!? 私が? 私は変態なのっ!?
「クリスは変態だな」
「ちがっ、ぁぁああ!」
否定しようとして、けれどもやはり動けず、再び侵入した舌を上下させられた。
「ぃぁぁあっ!」 気持ちいいぃぃっ! 「変態ですっ!」 だめ、中まで入ってくる! 「私は人に見られてぇっ!」 中で動いてる! 「ぁっ、縛られてっ、あアっ!」 かき乱してくる! 「ンぁあっ!」 温かい舌が動いてる! 「アナルを舐められて、ふぁあっ!」 もっと! 「喜ぶ、ぅあっ!」 もっとシてっ! 「変態ですぅぁああっ!」 ぁぁぁあああッ!
舌が抜かれた。ねちょりと、唾液が。
嘘、嘘、嘘! そんなことって!?
自身の股の間で、男が笑う。
「クリス。俺はいつも、クリスが嫌がることをしない。そうだな?」
「は、はいっ」
「この麻縄だってそうだ。これはクリスの綺麗な肌を傷つけないように、充分な処理をしている高級なものだ。湯通しし、毛羽焼き、つまり滑らかにするために火を通して焼き、さらにロウを使って加工したため肌に優しく仕上がっている麻縄だ。≪乙女のきめ細やかな肌≫の効果があるからそのようなことをしなくても大丈夫だろうが、それでも、俺はクリスが傷つかないように気を使っている。わかるかい?」
「はい……」
嫌なことはしない。確かにそうだけど、でもこれって。私は悦んでいるってこと……?
否定をしたくて、けれども前を向くと自身の性欲に濡れた躰があった。右を見ると鏡に映る獣欲に溺れた二人。結局、恥ずかしくなり、左に助けを求めた。優美な薔薇が数本あった。
「そこの薔薇は中庭にあった薔薇だ。今朝、俺が摘んだものだ。もちろんトゲは俺が処理した。覚えているかい? トゲの処理の仕方を教えたのは、俺だということを」
「はい……」
「それももうずいぶん前になる。二人で薔薇を摘んだ。二人でトゲを削いだ。二人で花瓶に生けた。二人で笑った。覚えているかい?」
「覚えてます」
「思い出だ。薔薇は思い出なんだ。二人の。薔薇は二人の思い出なんだよ」
「……はい」
「その薔薇を、今日、クリスのアナルに入れる」
「えっ!?」
今、目の前にある、この薔薇を!?
驚き。男を見た。股の間にある顔。嫌でも視界に入る性器。恐怖か期待からか。下半身がさらに熱くなる。蜜が、また、腹の上にとろりとこぼれる。アナルがうずいた。
「クリス。愛している」
性器の先端を、親指でなぞられる。なぞられ続ける。
「ぃやああああああっ!」 直接的な快感。気持ちが良すぎて動いて緩和させようにも、麻縄で固定されているためにそれすらできない。襲い掛かる強い刺激の波。「あぁぁぁっ、ああァアアアっ!」 クリスにできることは喘ぐことだけだった。
ようやく指を離される。糸が引いていた。
それすらも見える。見えてしまう。
さらに溢れだした。
息が乱れている。
フォルテルは一輪の薔薇を手に持ち、切なそうな顔をした。
本当に? 本当に入れるの!?
「クリス。愛してるよ。大丈夫。十年だ。十年も一緒なんだ。気持ちが良くなるのはそれだけ俺たちの愛が深いからなんだ。クリスは俺がクリスを気持ちよくしてくれると信頼してくれている。俺はクリスが俺のすることを受け入れてくれると信頼している。だから気持ちがいいんだ。わかるかい? 薔薇は綺麗に処理してある。さらにその上に絹を巻いてある。クリスはスキルがあるけれど、それでも傷つけたくないからね」
ドクン、と自身の下半身が期待していた。
ひくひくと、アナルが薔薇を期待していた。
男が愛しそうに薔薇を近づけてくる。ピタリと、入口に付けられた。
「思い出してほしい。まだメロディアが産まれていないころの俺たちを。若かった。薔薇を摘んだ。あのとき、トゲが刺さって痛かったな。慌てたクリスが可愛かった。昨日のように思い出せる。覚えているかい?」
「はぃ、ぁぁああっ!」
薔薇の茎が、入ってくる。布越しでもわかる茎の造形、温度。同時に蘇る記憶。十年以上前のフォルテルの姿。あのときの笑顔。薔薇を、若いころのフォルテルを、思い出を一輪、時間をかけてぬぷりと受け入れていく。
「ぁっ! ぁあっ! 薔薇がっ! フォルテルがっ!」
手が、離される。
生けられる薔薇。
私から薔薇が!
「綺麗だ……。美しい……」
さらにもう一輪。同じようにピタリとアナルに付けられる。
「覚えているかい? 俺がちょうど三十歳になったときのことだ。二人で庭を歩いたね? 他の誰に祝われるよりも嬉しかった。二人で薔薇のアーチをくぐっただけなのに。二人で庭を歩いただけなのに。俺は涙を流していた。のんびりと、ゆったりとした、幸せな時間だった。嬉しかったんだ。本当に嬉しかったんだ。クリスと歩けて。だってクリスは十五歳で、だから……。あのときに俺の涙を拭いてくれたこと、覚えていてくれているかい?」
「はっ、はいっ、ァっ、ぁあン! ぁっ、ァっ!」
二本目。肉壁と茎が摩擦しあう。二本目の茎が一本目の茎を動かし、予想外の刺激を与え始める。ぐちゅり、ぐちゅりと。三十歳の穏やかなフォルテルの笑顔。ぐちゅり、ぐちゅりと。二本目の茎が一本目の茎を弾く。ぐちゅり、ぐちゅりと。二人だけの薔薇のアーチ。ぐちゅり、ぐちゅりと。予想外の刺激。
「ぃぃあぁぁああああっ! ダメっ! フォルテルが! フォルテルがっ! あぁぁっ!」
三本。まだ入ってすらいないのに、三本目の薔薇の茎と、アナルと、一本目の薔薇と二本目の薔薇が、絡んだ。茎と茎の震動。二人のフォルテルがクリスを蹂躙していく。分泌された蜜なのか、肉棒からの愛液なのか。嬉しそうに愛の汁と薔薇がアナルで音を立てる。
「あっ! ぁっ! ァああっ!」
「愛している、クリス。俺が薔薇に誓ったように。クリスが信じられないのもわかっている。だが俺はお前を愛している。十六歳のクリスにブーケを贈ったように。すごく考えたんだ。クリスをより苦しませてしまうかもしれないと。考えて、考えて、贈った。ブーケを贈りたかった。部屋に飾ってあったのを見たとき、飛び上がるほど嬉しかったのを必死に我慢したんだ」
薔薇が、当時の恥ずかしそうに微笑むフォルテルとの思い出が、入ってくる。一本が、二本を無遠慮にアナルの中を、上に、下に、右に、左に、移動させる。クリスの嬌声とともに、月の光を浴びる室内に恥ずかしい音を響かせ、汁を滴らせながら、茎が、茎が、茎が。肉壁を思いがけない強さで刺激してくる。
「あぁっ! あぁアっ! ぃやあっ! あああああっ!」
耐えきれなくて右を見る。縄に縛られ、さらに薔薇が咲いている自身の躰が鏡に映っていた。信じられなくてじっと見つめてしまった。
「見えるかい? クリスの美しい姿が。ほら、こうするともっと綺麗になる」
男は新しい薔薇を取り出し、花をクリスの上で握りつぶした。手が開かれると、薔薇の花びらが、クリスの身体の上で踊った。白い肌に色づく艶やかな赤。愛のこもった麻縄に自由を奪われた、濃厚な性の香りを漂わせる肢体。アナルから伸びる華美な薔薇。さらなる快感を期待している自身の顔。信じられなかった。
男の手が、アナルの薔薇に伸びた。茎を握っている。震動が伝わってきた。
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ぐりゅりとアナルの中の茎をかき回された。「ぁぁぁぁぁぁぁああああああああああっ!」 三本の茎が絡み合い、肉壁と愛蜜がハーモニーを奏でる。「ぁあっ、あっ、あぁぁぁあぁぁぁぁっっ!」 二十四歳のフォルテルと、三十歳のフォルテルと、三十一歳のフォルテルがクリスを犯す。 「ああぁぁああぁぁあぁあぁぁぁああっっ!」 同じ男の三本の肉棒がクリスを犯し続ける。「あぁぁあああぁっ! ああああぁあぁあぁぁあああぁっ!」
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