千年の扉

桃青

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☆戸田稔の日記

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 僕は先日エケコの人形を買った。
 エケコとは南米の福の神様で、(日本でいう所の七福神と、似通ったものがあると僕は思う。)自分が望むものをお願いすると、それを僕の元へと運んできてくれるというのだが・・・。

 僕はこれを、とある雑貨屋のセールで何となく買い求めたのだ。(お値段なんと、1コ100円!)でもその時の僕は特に願う事もなく、
 単純に、

『何か面白い』から、

 という理由でこの人形を買ってしまった訳で・・・。

 でも今の僕には、エケコの神様に願を掛けたい事がある。それは―。
 僕に“強さ”を下さい、ということだ。

 肉体的に強くなれる事も確かに素晴らしい事だけれど、今の僕が願う強さというのは、どちらかというと精神面においての強さだ。

 たとえこれから先何があろうとも、僕は僕らしくあり続けたいと思う。そう、どんな状況の中でも、自分自身を貫く強さが今僕は欲しい。

 本当の所、これは神に願う事ではないのかもしれない。僕自身の力で、答えを導き出さなくてはならないのかもしれない。
 でも―。

 僕は揺らぐことなく、自分自身の力で立てるようになりたい。
その事を少しくらい、エケコの神様が手助けしてくれたって構わないだろう?
 本当の意味での『自立』が、僕はしたいのだ。そして・・・。
 そしてその強さで僕が、少しでも遥さんを支えられたなら、と思った。

 彼女は今、少し自分を見失いそうになっている。
 この間僕の家に友と敬一と遥さんが来てくれて、そして遥さんと2人きりで話した時に、ふと僕はその事を感じた。

 だから、僕がもし遥さんを守れるくらいに、強くなれるのなら・・・。
 僕が、・・・僕が揺らぐことのない思想で、遥さんを守れたなら。
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