蛍火のおもかげ

藤田 蓮

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約束2

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 もしかして、デートってやつ。
 待て待て。早まるな。
 馨は口元を緩ませたり、首を振ったり、ひとり忙しくしていた。
 帰宅した馨は、昼飯も上の空に何かを食べた位に記憶を留めて、約束の下見をしようと、浮足立つのを堪えて、馨は約束の場所へと赴いていた。
 うだる暑さを含んだ風も、約束しか頭になくなった馨の前では涼しいそよ風になり、馨は口笛を吹いていた。
 夕刻。
 指定された場所につくと、そこには葛の蔓が辺りに這い回り、水面は微かに見えるばかりだった。

「これは酷いことになってるなあ」

 思ったことが、突然声となって聞こえてきた。
 驚いた馨が振り返ると、そこには浴衣姿の男が立っていた。生成りの生地に麻模様の浴衣を着た、歳は馨の二回りほど上だろうか。
 わずかに白髪の混じった頭を、困ったな、どうしよう、これは骨が折れるなどと言いながら掻いていた。
 男は、怪訝な馨をよそに、ガサガサと蔓をかき分け、小川へと近づいていく。
 夕方から水遊びかよ、そう思った馨に、男は突然振り向いた。

「君、手伝ってくれるかな」
「え、俺?」
 自分を指さし、馨は辺りを見渡した。
 男は爽やかに笑って、うん、と頷いた。人懐こい笑みをした男だった。
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