くすぐり執事とくすぐら令嬢

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くすぐる執事⑪ ― 微笑む指先、濡れそぼる身体 ―

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礼司の手は、綾乃の素肌に触れていた。
その指先はすでに、ただの愛撫ではなかった。
“性感を探るくすぐり”――その目的を持った優しく狡猾な動きだった。

ベッドの上、綾乃の足はやや開かれ、
内腿から鼠径部のあたりにかけて、微かに汗ばみ始めている。

「ふふ……っ、ん、だめ……それ以上は……」

綾乃は笑い混じりの声で抗いながらも、
礼司の手から逃れることはできなかった。いや――逃れようとはしていなかった。

「ここ……綾乃様、こんなに敏感になって。
笑っているのか、感じているのか……どちらなんでしょうね?」

指先は鼠径部の境をなぞりながら、
クリトリスの周囲を、触れそうで触れない“くすぐり”で焦らす。

「んっ、ああっ……くすぐった、でも……あっ、そこは……!」

笑い声が喘ぎに変わる。
だが、くすぐったさは残る。
それが綾乃を、理性と快楽の両側から崩していく。

礼司は、綾乃の身体の“反応点”を探っていた。
わずかに震える太腿。腰が引ける瞬間。
呼吸が跳ねる“耳の奥”、そして胸の柔らかい膨らみの下――

「くすぐったくて……気持ちよすぎて……こわれちゃう……」

彼の指は、乳首のすぐ下、肋骨に沿うようなラインを、
指の腹で“さするように”“なぞるように”こちょこちょと滑らせる。

「ひぁあっ、や、あっ……笑っ……ちゃうっ、のに……いやじゃない、いやじゃないの……!」

くすぐったさで泣き笑いになったその唇を、礼司が吸う。
くすぐりとキス、愛撫と嗤い、矛盾が混ざり合いながら、快楽が深くなっていく。

そのまま、彼は――
人差し指をそっと、綾乃の濡れた蜜壺の入り口へ滑らせた。

だが、挿入しない。
その指先で、入口を、ちょんちょんと“くすぐる”ように撫でたのだ。

「ひゃぁっっ、だめっ、それは……それはずるい、っ、くすぐったいのにぃ……ああああっ!」

深く、濡れて、笑って、喘いで。
身体中をくすぐられながら、
綾乃は、絶頂の縁をくすぐられ、じらされ、狂いそうになっていた。

礼司の声が、耳の奥に囁くように響く。

「綾乃様……“くすぐりでイカされる”なんて、想像したことありましたか?」

「……っあ……っ、そんなの……でも、もう……っ、お願い……」

くすぐりだけで、絶頂させられる――
そんな未知の領域を、綾乃は確かに今、
快感と羞恥とくすぐったさで震える心と身体で、踏み越えようとしていた。
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