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愛のくすぐり手ほどき〜四人の静謐な時間〜
しおりを挟む綾乃はベッドの上に横たわっていた。
白いリネンの上、頬を紅潮させて、恥じらいと期待の入り混じった眼差しでレオを見つめていた。
アレクシスは、その横に立ち、彼の肩にそっと手を置いた。
「レオ。焦らなくていい。くすぐりは、技術ではなく、心を読むことから始まる。綾乃の呼吸を、目の動きを、身体の揺らぎを――丁寧に、見つめてごらん」
セラフィナが、彼のもう片方の手をとった。
「そして、まずは手のひら全体で、彼女の肌に触れるのですわ。くすぐる前に、触れる。愛しさを伝えるように――こうして」
彼女は、綾乃の足の甲に自らの細い指を滑らせた。
肌に直接ではなく、ごく軽く、まるで羽毛が舞うように。
綾乃の身体が、びくりと跳ねる。
「ふふっ……んんっ……セラフィナ……それ、やばいの……」
「“やばい”とは、褒め言葉かしら?」とセラフィナが笑う。
「ここは足の甲と足指の間、触れるだけで神経が刺激されて、快楽に似たくすぐったさが走る場所。あなたも試してごらんなさい?」
レオは頷き、見よう見まねで、綾乃の右足へと手を伸ばす。
だが指先がまだ緊張していて、すこし強く押しすぎてしまった。
「っく、ふふ……うん、それは……うふふっ……ちょっと強いかな……?」
綾乃はくすぐったさに笑いながらも、目で優しく訴える。
アレクシスがすかさず助言する。
「指先の力を抜くんだ。綾乃の皮膚を押すのではなく、撫でる。風のように、なでるだけでいい」
レオは深呼吸し、ふたたび、指を置いた。
今度は、綾乃の足指の根元を軽くなぞる。
「あっ……ふふっ、うん、それ……すごく……」
綾乃の足がぴくりと跳ねた。
くすぐったさに抗いながらも、そこに確かな悦びが宿っている。
彼女の声が、レオの指にご褒美を与えてくれる。
「それが……正解だよ、レオ……」
セラフィナがそっと囁く。
「綾乃はね、“自分を見つめてくれている”と感じると、くすぐったさが甘くなるの。あなたの視線も、優しさも、すべてが指に宿るのよ」
アレクシスも微笑んだ。
「レオ、今夜は君に“くすぐり手”としての最初の章を刻ませよう。綾乃と、我々とともに――この愛の芸術を、共有しよう」
レオは静かに頷いた。
くすぐるという行為のなかに、こんなにも繊細なやり取りがあることを、今初めて知った。
綾乃の小さな足を、指の腹でそっと撫でるたびに、彼女の笑顔が花開く。
それはただの戯れではなく、触れ合いそのものが、ひとつの愛の形として確かに存在しているのだと。
その夜、レオの手は、綾乃の心にそっと触れた。
彼はもう、元の世界には戻れなかった。
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