くすぐりが心地よい淑女のための短編集

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「白百合の誓い 第三夜 ― 快楽の枷 ―」

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夜のとばりが降りる頃、彩華はまた、エドガーの前にいた。
白のナイティは肩から滑り落ちそうなほど薄く、柔らかく、肌の鼓動を映すように身にまとっている。
その足元には、光沢のあるシルクのリボン。
それは見せかけの装飾ではなかった。
今夜、彩華の動きを静かに制限する“枷”となるのだ。

「この姿の君は、まるで巫女のようだ」
エドガーは囁きながら、彩華の足首にそっと手を伸ばし、両足を揃えるようにリボンで結ぶ。

「あなたが巫女なら、今夜は、笑い声で神を讃える夜にしよう。甘い声で、私の理性を溶かしてごらん」

言葉と同時に、彼の指がすでに彩華の膝裏に触れていた。
敏感な皮膚に、じわりと忍び寄る圧。
焦らすように、指先が上下に滑る。

「っふ…く、あっ、や、ちが…そ、こ、ふふっ!」

足を閉じようにも、縛られた脚はわずかにしか動けない。
かえって逃げられない羞恥が、くすぐったさを増幅させる。

エドガーの指先は、膝裏からふくらはぎ、足首、そして足の裏へと滑り降りる。
爪を立てることなく、柔らかな指の腹で、
指の間を一本ずつ丁寧に。

「ひゃっ……あはっ、や、ああっ……そこ……っ!」

「足の指の間は……秘密だったかい? 誰にも触れられたことがないように敏感だね」

彩華は笑いながら、首を振るしかなかった。
彼は容赦なく続ける。
甲から踵へ、裏と表を同時に。
まるで楽器を奏でるように――

「私の手で、君の一番奥まで震わせたい。
理性も羞恥も、何もかもが、くすぐったさに溶けていく瞬間を、君のすべてに刻んでしまいたい」

そしてその言葉の通り、指先は次第に内腿へと忍び寄り、
両脇腹へ、同時にもう一つの手が這い上がる。
背中と腰を包み込むように。

彩華の笑い声はもう、呟きではなく、
心の底から溢れ出す本能の声となっていた。

「……くすぐったいのに……気持ちよくて、止まらなくて……」

涙すら滲ませながらも、逃げたいとは思わなかった。
ただ、この支配に身をゆだね、翻弄される悦びに酔っていた。

「その顔……最高に美しい。崩れて、泣いて、笑って……
それでも、もっと、君をくすぐってしまいたくなる」

彼の声は、限界に近い。
それでもくすぐり続ける。
何もかも剥き出しにして、心を剥がしながら――
すべてを、愛して、慈しんで。

彩華はその夜、自らの枷を歓びに変え、
くすぐられながら、快楽と支配の交わる最も繊細で深い場所へと連れて行かれた。
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