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嬉しくない再会
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身体強化に関する書物を読みといては実践し、また読み進めては試し、を繰り返す日々。
今までは筋肉に魔力を纏わせて効力を出していた。
作用させる筋肉の部位や魔力の適量を感覚的に学び、それを研鑽した結果だ。
しかし借りた書物によると、身体の表面に魔力を薄く纏わせることでも身体強化を行えるようだ。
全体強化、部分強化と順に習得していき、既存の身体強化方法とも組み合わせて使えるようにしていく。
まだ不安定だが、組み合わせると今までの3、4倍の結果を出せそうだ。
何度か読み返し、研鑽を重ね、これ以上はないという程に魔法の理論も使用方法も馴染ませた。
最低限の実りを保つために根城の畑を整備しつつ考える。
書物を借りてから半月は経っただろうか。
あの不愉快なノッポ野郎もどこか別の地へ移っていることだろう。
腰に剣を携えて、いかにも旅途中という装備だった。
恐らく魔王退治に向かう途中だったはずだ。
旅路の小休止に安全な図書館に寄ったとか、どうせその辺りだろう。
そろそろ図書館へ行って別の書物に進もう。
今度こそ数冊一気に借りて、幾ヶ月か引きこもるのだ。
うっすらと思い出される怒りに顔をしかめつつ図書館へ移動した。
真っ直ぐ魔法関連の棚へ向かい、ゆっくりと背表紙を眺める。
身体強化の書物を再び借りるか、違う分野にするか。
目次を眺め、さらりと中身に目を通す。
借りたものとほぼ同じことが書いてあるこいつはいらない。
こいつは新たなことを知れそうだ。
こいつは胡散臭い内容だな…。
片腕に3冊めを抱えたところで声がした。
「久しぶりだねお兄さん」
いないと思っていたのに姿を表した褐色肌の青年。
にっこり笑う顔が私の心をささくれ立たせる。
「…」
帰ろう。
次の書物に手をかけようとしていた動きを止め、貸し出しカウンターへ向かう。
私の動きに合わせて野郎も歩き出した。
「無視しないでよ。ボクずっと待ってたんだから」
「知るか」
「お兄さんと仲良くしたいだけなんだけどな。帰らないでよ。ボクとお話しよう?」
なんなんだこいつは。
睨み付けながら思う。
この状況、既視感があるな。
…どうだっていいことか。
本を抱えて図書館出口に向かって足を踏み出すと、右腕の服の袖が突っ張った。
服を捕まれている。
この野郎。
「また転移で逃げるの?悲しいなあ。ボク怪しくないよ?友好的にいこうよ。きっとお互いのためになるよ」
「なら利を示してみろよ」
「魔法知識の交換とかどうだろう?」
「身体強化について教えを請うお前がか?」
馬鹿げたことを言う。
冷笑するも気にする様子はない。
「ボク知識は豊富だよ。技能に結び付かないだけで。体内の魔力が強硬でさ。うまいこと動いてくれないんだ」
お兄さんなら魔力を動かすコツわかる?とへらりと笑う。
「言葉ではなんとでも言える」
捕まれている袖を振り払おうとするも効果はなかった。
ひょろい体つきのくせに。
この野郎。
笑みを崩さない男の顔に苛立ちが募る。
「疑り深いなあ。身体強化だけどね、ここの図書館には置いてない方法が少なくとも2つはあるよ。ボクは使えないけど理論は知ってる。教えてあげようか」
怒りが占める心に揺らぎが生じる。
借りた書物に目を通すまで、身体強化は1つのやり方しかないと思っていた。
それまで用いていた身体強化魔法と、新しく身につけた身体強化魔法を組み合わせたら数倍の効果が得られた。
他の方法も組み合わせることができたなら、どれだけ飛躍した結果を得られるだろうか。
想像すると心が弾む。
揺らいだ私の心を見透かすように、青年の口角がゆるりと上がる。
「どう?利益がありそうでしょう?」
今までは筋肉に魔力を纏わせて効力を出していた。
作用させる筋肉の部位や魔力の適量を感覚的に学び、それを研鑽した結果だ。
しかし借りた書物によると、身体の表面に魔力を薄く纏わせることでも身体強化を行えるようだ。
全体強化、部分強化と順に習得していき、既存の身体強化方法とも組み合わせて使えるようにしていく。
まだ不安定だが、組み合わせると今までの3、4倍の結果を出せそうだ。
何度か読み返し、研鑽を重ね、これ以上はないという程に魔法の理論も使用方法も馴染ませた。
最低限の実りを保つために根城の畑を整備しつつ考える。
書物を借りてから半月は経っただろうか。
あの不愉快なノッポ野郎もどこか別の地へ移っていることだろう。
腰に剣を携えて、いかにも旅途中という装備だった。
恐らく魔王退治に向かう途中だったはずだ。
旅路の小休止に安全な図書館に寄ったとか、どうせその辺りだろう。
そろそろ図書館へ行って別の書物に進もう。
今度こそ数冊一気に借りて、幾ヶ月か引きこもるのだ。
うっすらと思い出される怒りに顔をしかめつつ図書館へ移動した。
真っ直ぐ魔法関連の棚へ向かい、ゆっくりと背表紙を眺める。
身体強化の書物を再び借りるか、違う分野にするか。
目次を眺め、さらりと中身に目を通す。
借りたものとほぼ同じことが書いてあるこいつはいらない。
こいつは新たなことを知れそうだ。
こいつは胡散臭い内容だな…。
片腕に3冊めを抱えたところで声がした。
「久しぶりだねお兄さん」
いないと思っていたのに姿を表した褐色肌の青年。
にっこり笑う顔が私の心をささくれ立たせる。
「…」
帰ろう。
次の書物に手をかけようとしていた動きを止め、貸し出しカウンターへ向かう。
私の動きに合わせて野郎も歩き出した。
「無視しないでよ。ボクずっと待ってたんだから」
「知るか」
「お兄さんと仲良くしたいだけなんだけどな。帰らないでよ。ボクとお話しよう?」
なんなんだこいつは。
睨み付けながら思う。
この状況、既視感があるな。
…どうだっていいことか。
本を抱えて図書館出口に向かって足を踏み出すと、右腕の服の袖が突っ張った。
服を捕まれている。
この野郎。
「また転移で逃げるの?悲しいなあ。ボク怪しくないよ?友好的にいこうよ。きっとお互いのためになるよ」
「なら利を示してみろよ」
「魔法知識の交換とかどうだろう?」
「身体強化について教えを請うお前がか?」
馬鹿げたことを言う。
冷笑するも気にする様子はない。
「ボク知識は豊富だよ。技能に結び付かないだけで。体内の魔力が強硬でさ。うまいこと動いてくれないんだ」
お兄さんなら魔力を動かすコツわかる?とへらりと笑う。
「言葉ではなんとでも言える」
捕まれている袖を振り払おうとするも効果はなかった。
ひょろい体つきのくせに。
この野郎。
笑みを崩さない男の顔に苛立ちが募る。
「疑り深いなあ。身体強化だけどね、ここの図書館には置いてない方法が少なくとも2つはあるよ。ボクは使えないけど理論は知ってる。教えてあげようか」
怒りが占める心に揺らぎが生じる。
借りた書物に目を通すまで、身体強化は1つのやり方しかないと思っていた。
それまで用いていた身体強化魔法と、新しく身につけた身体強化魔法を組み合わせたら数倍の効果が得られた。
他の方法も組み合わせることができたなら、どれだけ飛躍した結果を得られるだろうか。
想像すると心が弾む。
揺らいだ私の心を見透かすように、青年の口角がゆるりと上がる。
「どう?利益がありそうでしょう?」
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