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ヘフテとダモンの報告
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本来の名前が気に入らないから師匠の名前を名乗っている、など私の設定が増えていくなか、ヘフテとダモンが戻ってきた。
盛大に遊んできたらしい。
泥まみれの衣服。
興奮で紅潮した頬。
走って戻ってきたのか、肩で息をしている。
「戻ってきた」
「ごはん」
「おかえり。泥んこだね。2人とも」
マーツェが汚れた顔を拭う。
駆け寄ってきた2人の姿に、エヌケルは「ああ」と声を出した。
「子供を連れて旅をしてきたというのでも噂になっていたね。この子たちか」
「うん。この子がヘフテ。こっちがダモン。ヘフテ、ダモン、この人はエヌケルさん。話を聞いてたんだよ」
紹介を聞いて、エヌケルはヘフテとダモンに笑いかける。
「随分体が汚れているね。楽しく遊んできたんだね。何をしてきたんだい?」
「かくれんぼ」
「そうかそうか」
ヘフテの返答に頷いて、エヌケルは立ち上がった。
「そろそろ失礼するよ。宿屋に入らないといけない時間だ。君たちも寝かしつけなどあるだろうからね。また話をしてもらえると嬉しいよ」
「うん。また」
簡単に王城の雰囲気は聞けた。
嘘も混じっているが互いの素性を話し、今後も交流できそうな空気。
今日はなかなかの成果だ。
胃袋が限界のヘフテとダモンは、自ら料理を頼んで給仕を待つ。
私とヘフテも飯はまだ食べていない。
追加して注文し、そのまま4人で情報共有へと移る。
「遊んでて、魔物見た。かわいいって言ってた」
「魔物?どこで見たの?」
「端っこの、壁の上。のぼって、外が見えた」
おそらく町と外を区切る塀のことだ。
そこまで高くなく、大人なら背伸びで塀の向こうを覗ける程度の高さだ。
そこらに転がってる物を足場にして上ったのだろう。
そこからさらに魔物の姿を確認できたということは、町の東側の塀に違いない。
魔物への対抗を目的とした防衛用の強固な塀は、町の西側を中心に建てられる。
魔物の進路は西から東に一直線だ。
西にある魔王城からやってきて、東にある王城を目指す。
町を滅ぼすことを目的としていないため、回り込んでまで町を襲うことはないのだ。
「どんな魔物?可愛いって言ってたのは。どんな見た目してた?」
「うさぎ、みたいな。でもうさぎより、ずっと大きい。爪もとんがってた」
「ふうん。可愛い、か。魔物をねえ」
ウサギに似た風貌であろうと、動物にはない大きさと鋭い爪。
恐怖か嫌悪か、負の感情を持つのが通常だ。
可愛いと思えるのは幼さ故か。
「そうだよね。わからないものだ。小さいうちは」
恐怖や嫌悪を学習していない、まだ新しい頭なら受け入れられる。
それは、ダモンについても然り。
「友達を増やしてくってのも有りか。ヘフテとダモンは友達を作っていく。そんで、友達に教えていくんだ。尻尾のある人。肉球のある人。そんな人がいても“普通”なんだよって」
「形の違う体を持つ人間がダモンだけでは足りないだろう。すぐにダモン1人だけが違うと気づいて、それは“普通”じゃないという思考になる」
「そっか。時間稼ぎにしかならないかな。良い考えだと思ったんだけど。…いや、うん。考え自体は悪くないよね?数を増やせばいいんだ。協力を仰ごうよ。ヘフテの村とか。えっと、ベスツァフだっけ。異形の村とか」
明日にでも実行に移させようという態度に怪訝を表するも、マーツェは意見を変えない。
確かに間違った意見ではない。
経験も知識も少なく、まだ頭の柔らかい子供であれば、大人たちとは違う“普通”を教えることはできるだろう。
しかし都合よく子供たちだけに教えることができるのか。
大人に知られずに、周りとは違う“普通”を広げられるのか。
そうできる可能性は低いだろう。
子供は自らの経験を親に話して聞いてもらいたがる。
諸刃の剣だ。
盛大に遊んできたらしい。
泥まみれの衣服。
興奮で紅潮した頬。
走って戻ってきたのか、肩で息をしている。
「戻ってきた」
「ごはん」
「おかえり。泥んこだね。2人とも」
マーツェが汚れた顔を拭う。
駆け寄ってきた2人の姿に、エヌケルは「ああ」と声を出した。
「子供を連れて旅をしてきたというのでも噂になっていたね。この子たちか」
「うん。この子がヘフテ。こっちがダモン。ヘフテ、ダモン、この人はエヌケルさん。話を聞いてたんだよ」
紹介を聞いて、エヌケルはヘフテとダモンに笑いかける。
「随分体が汚れているね。楽しく遊んできたんだね。何をしてきたんだい?」
「かくれんぼ」
「そうかそうか」
ヘフテの返答に頷いて、エヌケルは立ち上がった。
「そろそろ失礼するよ。宿屋に入らないといけない時間だ。君たちも寝かしつけなどあるだろうからね。また話をしてもらえると嬉しいよ」
「うん。また」
簡単に王城の雰囲気は聞けた。
嘘も混じっているが互いの素性を話し、今後も交流できそうな空気。
今日はなかなかの成果だ。
胃袋が限界のヘフテとダモンは、自ら料理を頼んで給仕を待つ。
私とヘフテも飯はまだ食べていない。
追加して注文し、そのまま4人で情報共有へと移る。
「遊んでて、魔物見た。かわいいって言ってた」
「魔物?どこで見たの?」
「端っこの、壁の上。のぼって、外が見えた」
おそらく町と外を区切る塀のことだ。
そこまで高くなく、大人なら背伸びで塀の向こうを覗ける程度の高さだ。
そこらに転がってる物を足場にして上ったのだろう。
そこからさらに魔物の姿を確認できたということは、町の東側の塀に違いない。
魔物への対抗を目的とした防衛用の強固な塀は、町の西側を中心に建てられる。
魔物の進路は西から東に一直線だ。
西にある魔王城からやってきて、東にある王城を目指す。
町を滅ぼすことを目的としていないため、回り込んでまで町を襲うことはないのだ。
「どんな魔物?可愛いって言ってたのは。どんな見た目してた?」
「うさぎ、みたいな。でもうさぎより、ずっと大きい。爪もとんがってた」
「ふうん。可愛い、か。魔物をねえ」
ウサギに似た風貌であろうと、動物にはない大きさと鋭い爪。
恐怖か嫌悪か、負の感情を持つのが通常だ。
可愛いと思えるのは幼さ故か。
「そうだよね。わからないものだ。小さいうちは」
恐怖や嫌悪を学習していない、まだ新しい頭なら受け入れられる。
それは、ダモンについても然り。
「友達を増やしてくってのも有りか。ヘフテとダモンは友達を作っていく。そんで、友達に教えていくんだ。尻尾のある人。肉球のある人。そんな人がいても“普通”なんだよって」
「形の違う体を持つ人間がダモンだけでは足りないだろう。すぐにダモン1人だけが違うと気づいて、それは“普通”じゃないという思考になる」
「そっか。時間稼ぎにしかならないかな。良い考えだと思ったんだけど。…いや、うん。考え自体は悪くないよね?数を増やせばいいんだ。協力を仰ごうよ。ヘフテの村とか。えっと、ベスツァフだっけ。異形の村とか」
明日にでも実行に移させようという態度に怪訝を表するも、マーツェは意見を変えない。
確かに間違った意見ではない。
経験も知識も少なく、まだ頭の柔らかい子供であれば、大人たちとは違う“普通”を教えることはできるだろう。
しかし都合よく子供たちだけに教えることができるのか。
大人に知られずに、周りとは違う“普通”を広げられるのか。
そうできる可能性は低いだろう。
子供は自らの経験を親に話して聞いてもらいたがる。
諸刃の剣だ。
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