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結界避けの実験 再び
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私とマーツェは魔法用訓練施設に向かっていた。
もう一度調べなおすのだ。
結界避けに関する官吏の研究情報を、フォルグネのひ孫が手に入れたかどうかも確かめたい。
施設の出入口で見張りをしている兵士はこの間とは別の者だった。
しかし話が通っているようですんなりと入れてくれる。
訓練の合間にフォルグネのひ孫と話すことが出来た。
「友人から情報をもらうことができた。軽く読んだが、分かっていない点は多いようだな」
資料は有難く受け取った。
休憩の間軽口を交わし、施設を調べてからその場を後に。
結界避けを研究する専門部署の資料には、施設を建造した際の人員や配置、魔石の数など細かに情報が残されていた。
魔石の数や配置の法則はつかめないまま、過去資料から似た規模のものを流用して建造したようだ。
「結構な人員を割いてる。30人ちょっとかな。魔石5つに1人の配置だ。大まかに見ると。魔法陣を描いて、魔石を配置して、魔力を流す。手順は普通だな。特別なことはしてない。あ、兄さんも魔力流してる」
「ああ。そういえば、人員が足りなくて担当じゃないのに駆り出されたと言っていたな」
王城で官吏として働いていたブルデは、本来は関わる立場ではなかった。
施設建造のために必要な人員を割き、その者たちが担当していた仕事をどう回すかを調整していた。
しかし魔法陣を発動させるにあたって人手が足りないと判明。
担当ではなかった、魔力量が多い官吏も引っ張り込まれたのだ。
「ああ。やっぱり不具合は後からだな。建造直後は魔法をちゃんと使えてる。効力は落ちてるけどね」
魔法の不発・暴発が起こるようになった時期は判然としない。
聞き取り調査や訓練記録などから、建造10年後には不具合の事実を確認できている。
しかし訓練施設での魔法使用をそもそもしていなかった。
もう少し早く不具合が生じていた可能性もある。
魔石の損壊が原因であることには、やはり早々に気が付いていたようだ。
施設内のあらゆる場所で魔法使用を試し、制御の具合や効力の変化について調査もされている。
魔石が壊れている地点では特に魔法使用に障害がある。
まあ予想通りの結果だ。
魔石の何がいけなかったのか。
どういった質の魔石を使用していたのか。
調べられた範囲で記してある。
強い魔物から作った魔石もあれば、弱い魔物から作った魔石も使われている。
中には動物から作った質の悪い魔石も混ざっていた。
期限が迫り、時間のない中大量の魔石を用意する必要があった。
質にこだわっている場合ではなかったのだろう。
「魔石の質がバラバラだ。揃えてなかった。揃えられなかったんだね」
複数の魔石を使用して魔法を発動させる場合、魔石の質は揃えるのが定石だ。
大抵、同じ魔物から作った魔石で統一する。
あれだけの規模の魔法陣を発動させるために用いるのだ。
魔石は大量に必要となる。
同一の魔物から作った魔石で揃えられないのは仕方がない。
しかし動物から作った魔石も混ぜるとは、差がありすぎるだろう。
「これが原因だね。一部だけ壊れてたのは。魔石の質。これが統一されてないからだ」
使用した魔石の全てが書かれているわけではない。
何から作られたのか、判明していない魔石もある。
しかし損壊した魔石の1つが、動物から作られた魔石だったと調べがついていた。
専門部署の調べはここまでだった。
新たに判明した、魔石の質が揃っていない点を取り入れて実験してみる。
規模や魔石の配置などはこの間と変えない。
揃えていた魔石の質だけ、ばらつかせた状態に変えた。
魔力を流してみると、質の悪い部分で魔力が滞るような間隔があった。
しかし結果に問題はない。
きちんと発動した魔法。結界の効力を完全に除けている。
続けて、流す魔力量を増やしていく。
魔法陣の発動だけを考えるなら過剰な魔力量だ。
ある程度まで魔力量を増やすと、小さく耳に届く罅が入る音。
もう一押し、と魔力を流すと、砕け散る魔石。
配置した魔石の中で、特に質の悪かった魔石が破損していた。
「おお。良い感じだね。一部の魔石だけ壊れた。施設の状態と同じだ。いや、完璧同じとは言えないか」
魔石が壊れた瞬間に、発動していた魔法も壊れていた。
結界避けの効力が消えたため魔法は使えず。
当然、魔法の不発や暴発など起こりもしない。
「難しいなあ。揃ってない魔石の質。それ以外にも何かあるね。不具合の原因。今の実験と施設の状況、どう違うかな。規模。魔力流す人員。魔石の数。さすがに無理だよね。訓練施設と同じ規模での実験は」
「そうだな」
結界避けの魔法陣だけならまだ可能かもしれない。
しかし結界避けの効力を確認するには、結界を張った中で行わなければ意味がない。
あれだけの規模の結界と結界避け。
2つともを発動させるにはさすがに魔力が足りない。
全く同一の条件で実験することはできないが、なるべく近づけてみようという話になった。
規模を広げ、魔石の数を増やし、魔力を流す人手も増やす。
人手を増やすと言ってもマーツェが加わるだけだが。
様々条件を変えて試してみたが、魔石が壊れれば付随して魔法も壊れた。
効力は維持されつつ、魔石が壊れた周囲のみ不具合が生じる状況にはならない。
もう一度調べなおすのだ。
結界避けに関する官吏の研究情報を、フォルグネのひ孫が手に入れたかどうかも確かめたい。
施設の出入口で見張りをしている兵士はこの間とは別の者だった。
しかし話が通っているようですんなりと入れてくれる。
訓練の合間にフォルグネのひ孫と話すことが出来た。
「友人から情報をもらうことができた。軽く読んだが、分かっていない点は多いようだな」
資料は有難く受け取った。
休憩の間軽口を交わし、施設を調べてからその場を後に。
結界避けを研究する専門部署の資料には、施設を建造した際の人員や配置、魔石の数など細かに情報が残されていた。
魔石の数や配置の法則はつかめないまま、過去資料から似た規模のものを流用して建造したようだ。
「結構な人員を割いてる。30人ちょっとかな。魔石5つに1人の配置だ。大まかに見ると。魔法陣を描いて、魔石を配置して、魔力を流す。手順は普通だな。特別なことはしてない。あ、兄さんも魔力流してる」
「ああ。そういえば、人員が足りなくて担当じゃないのに駆り出されたと言っていたな」
王城で官吏として働いていたブルデは、本来は関わる立場ではなかった。
施設建造のために必要な人員を割き、その者たちが担当していた仕事をどう回すかを調整していた。
しかし魔法陣を発動させるにあたって人手が足りないと判明。
担当ではなかった、魔力量が多い官吏も引っ張り込まれたのだ。
「ああ。やっぱり不具合は後からだな。建造直後は魔法をちゃんと使えてる。効力は落ちてるけどね」
魔法の不発・暴発が起こるようになった時期は判然としない。
聞き取り調査や訓練記録などから、建造10年後には不具合の事実を確認できている。
しかし訓練施設での魔法使用をそもそもしていなかった。
もう少し早く不具合が生じていた可能性もある。
魔石の損壊が原因であることには、やはり早々に気が付いていたようだ。
施設内のあらゆる場所で魔法使用を試し、制御の具合や効力の変化について調査もされている。
魔石が壊れている地点では特に魔法使用に障害がある。
まあ予想通りの結果だ。
魔石の何がいけなかったのか。
どういった質の魔石を使用していたのか。
調べられた範囲で記してある。
強い魔物から作った魔石もあれば、弱い魔物から作った魔石も使われている。
中には動物から作った質の悪い魔石も混ざっていた。
期限が迫り、時間のない中大量の魔石を用意する必要があった。
質にこだわっている場合ではなかったのだろう。
「魔石の質がバラバラだ。揃えてなかった。揃えられなかったんだね」
複数の魔石を使用して魔法を発動させる場合、魔石の質は揃えるのが定石だ。
大抵、同じ魔物から作った魔石で統一する。
あれだけの規模の魔法陣を発動させるために用いるのだ。
魔石は大量に必要となる。
同一の魔物から作った魔石で揃えられないのは仕方がない。
しかし動物から作った魔石も混ぜるとは、差がありすぎるだろう。
「これが原因だね。一部だけ壊れてたのは。魔石の質。これが統一されてないからだ」
使用した魔石の全てが書かれているわけではない。
何から作られたのか、判明していない魔石もある。
しかし損壊した魔石の1つが、動物から作られた魔石だったと調べがついていた。
専門部署の調べはここまでだった。
新たに判明した、魔石の質が揃っていない点を取り入れて実験してみる。
規模や魔石の配置などはこの間と変えない。
揃えていた魔石の質だけ、ばらつかせた状態に変えた。
魔力を流してみると、質の悪い部分で魔力が滞るような間隔があった。
しかし結果に問題はない。
きちんと発動した魔法。結界の効力を完全に除けている。
続けて、流す魔力量を増やしていく。
魔法陣の発動だけを考えるなら過剰な魔力量だ。
ある程度まで魔力量を増やすと、小さく耳に届く罅が入る音。
もう一押し、と魔力を流すと、砕け散る魔石。
配置した魔石の中で、特に質の悪かった魔石が破損していた。
「おお。良い感じだね。一部の魔石だけ壊れた。施設の状態と同じだ。いや、完璧同じとは言えないか」
魔石が壊れた瞬間に、発動していた魔法も壊れていた。
結界避けの効力が消えたため魔法は使えず。
当然、魔法の不発や暴発など起こりもしない。
「難しいなあ。揃ってない魔石の質。それ以外にも何かあるね。不具合の原因。今の実験と施設の状況、どう違うかな。規模。魔力流す人員。魔石の数。さすがに無理だよね。訓練施設と同じ規模での実験は」
「そうだな」
結界避けの魔法陣だけならまだ可能かもしれない。
しかし結界避けの効力を確認するには、結界を張った中で行わなければ意味がない。
あれだけの規模の結界と結界避け。
2つともを発動させるにはさすがに魔力が足りない。
全く同一の条件で実験することはできないが、なるべく近づけてみようという話になった。
規模を広げ、魔石の数を増やし、魔力を流す人手も増やす。
人手を増やすと言ってもマーツェが加わるだけだが。
様々条件を変えて試してみたが、魔石が壊れれば付随して魔法も壊れた。
効力は維持されつつ、魔石が壊れた周囲のみ不具合が生じる状況にはならない。
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私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
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