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関係構築のために
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「魔具を知ってるってことはあなたたちも持ってるの?もしかしてお仲間さんなのかな。私、自分と同じ人がいないか探してたの」
「同じ人って?面を被ってる人のこと?」
「うーん。面というか、ちょっと変わってる人を探してたの」
そう言って、前触れもなく面を外した。
露わになる表情。
瞳孔が水平の目玉がこちらを見ていた。
すぐに面を付けなおして話を続ける。
「私の目玉、人と違うの。どうしてだかわからないんだよねえ。家族も周りもみんな、普通の人たちだったもの。魔物を避けられる魔具もわからないの。誰がいつ何のために作ったのか。どうしてそれを持っていたのか。それを知りたいと思ってあちこち行ってたの」
ヤギのような、瞳孔が水平に細長い目玉をしていた。
それ以外のパーツは何ら変わった部位は無かったため、目の前にいた私たち以外は気づいていないだろう。
予想していた通り、人間と魔物の血が混ざっている者だ。
しかし、周りには異なった部位を持つ者が居なかったというのはどういうことなのか。
「周りはみんな普通の人、か。ふうん。…あなたの両親は褐色肌だった?祖父母や親戚はどうだった?」
「よくわかるねえ。両親も親戚も褐色肌だよ。私は褐色肌の人が多い村で生まれたの」
褐色肌の両親から、ヤギと似た目玉を持った子供が生まれた。
褐色肌だらけの村。
異なる見た目の部位は持たないが、魔物の血が混ざっている者たちの村。
「血が薄いのかな。異なる部位が周りの人にはないってことは。先祖返りみたいなことか?」
「そうだろうな。どこかの段階で異なる部位を持った者たちの村を出たんだろう。代が変わるにつれて、自分たちの起源や魔具のこともわからなくなっていったんだな」
声を潜めて話し合う私たちに、面の人物は口角を上げる。
「もしかして、どうしてなのかわかるの?知ってるの?私に教えてくれないかな」
人間と魔物の血が混ざっていることを述べずに説明するのは困難だ。
しかしそれを述べると「私たちはどういう立場の人間なのか」という話にもなる。
信用できるかどうかをまだ判断できない目の前の人間に、どこまで話していいものか。
マーツェに目線をやる。
「ちょっと考えさせてほしいな。教えてあげたいけど。簡単に説明できることじゃない。誰にでも話せる内容じゃないんだ」
「そうなの。でもどうしてなのかは知ってるんだねえ。じゃあしばらく一緒にいてもいいかな。信用できると思ったら、話してほしいな」
そうして、面の人物もしばらく宿に滞在することになった。
1人部屋を借り、就寝時以外は私たちに付いて回る。
少しうっとうしいが仕方がない。
向こうを信用できるか判断すると同時に、向こうにも私たちを信用できると思わせたい。
面の旅人は勇者らを近くの村に送り届けて何がしたいのか。
単純にそれが気になったのもあるが、私たちの計画に協力を頼めるのではという考えもあった。
異なる部位を持つ者で、人間を敵視していないのであれば、共存できる未来を望むだろう。
協力を頼むためにも信頼を結びたい。
面の人物は、ジーグと名乗った。
ジーグも宿を連日借りる金はなかったため、宿代がわりに食堂を手伝うという話になった。
朝は食事の仕込みを手伝い、日中は私とマーツェに付いてくる。
夕方の私たちが治癒やらをしている時間は、食堂で給仕。
夜の食事を共に取り、別部屋で就寝という流れだ。
ジーグが付いて回る日中、しばらくは結界避けの調査に集中しようという話になった。
歴史認識をひっくり返す話を聞かれて、謀反を企んでいると思われてはたまらない。
ジーグと別れるか。
ジーグに話せると信用するか。
結論を出すまで気を付けなければならない。
行動を共にする人間が増えることについて、アンテルとシュグリは単純に喜んだ。
ジーグの柔らかい雰囲気は子供受けするようだ。
ジーグも子供が嫌いではないようで、よく構っている。
ワイセは軽い警戒態勢を取っていた。
弟妹は懐き始めているようだが、本当に害のない人間なのか。
新たに大人が加わったことで、大人3人が良からぬことを企みはしないか。
静かに動向を注視している。
ヘフテ・ダモンとの情報共有は、ジーグと別れて部屋に戻ってから行うようになった。
ワイセに弟妹の湯浴みをさせている間、音を遮断する結界を張って情報共有をしている。
情報共有中にワイセらが戻ってきても、特に中断したりはしない。
結界で聞かれる心配はないし、ワイセもなるべく邪魔をしないように弟妹を世話していた。
邪魔をして見放されないように、ということだろう。
安全な寝食確保のためである。
しかしだからといって長く時間を取れるわけではない。
ヘフテとダモンが眠気に耐えられないこともある。
ゆっくりと話し合う時間を取れなくなってきたのが問題だ。
「同じ人って?面を被ってる人のこと?」
「うーん。面というか、ちょっと変わってる人を探してたの」
そう言って、前触れもなく面を外した。
露わになる表情。
瞳孔が水平の目玉がこちらを見ていた。
すぐに面を付けなおして話を続ける。
「私の目玉、人と違うの。どうしてだかわからないんだよねえ。家族も周りもみんな、普通の人たちだったもの。魔物を避けられる魔具もわからないの。誰がいつ何のために作ったのか。どうしてそれを持っていたのか。それを知りたいと思ってあちこち行ってたの」
ヤギのような、瞳孔が水平に細長い目玉をしていた。
それ以外のパーツは何ら変わった部位は無かったため、目の前にいた私たち以外は気づいていないだろう。
予想していた通り、人間と魔物の血が混ざっている者だ。
しかし、周りには異なった部位を持つ者が居なかったというのはどういうことなのか。
「周りはみんな普通の人、か。ふうん。…あなたの両親は褐色肌だった?祖父母や親戚はどうだった?」
「よくわかるねえ。両親も親戚も褐色肌だよ。私は褐色肌の人が多い村で生まれたの」
褐色肌の両親から、ヤギと似た目玉を持った子供が生まれた。
褐色肌だらけの村。
異なる見た目の部位は持たないが、魔物の血が混ざっている者たちの村。
「血が薄いのかな。異なる部位が周りの人にはないってことは。先祖返りみたいなことか?」
「そうだろうな。どこかの段階で異なる部位を持った者たちの村を出たんだろう。代が変わるにつれて、自分たちの起源や魔具のこともわからなくなっていったんだな」
声を潜めて話し合う私たちに、面の人物は口角を上げる。
「もしかして、どうしてなのかわかるの?知ってるの?私に教えてくれないかな」
人間と魔物の血が混ざっていることを述べずに説明するのは困難だ。
しかしそれを述べると「私たちはどういう立場の人間なのか」という話にもなる。
信用できるかどうかをまだ判断できない目の前の人間に、どこまで話していいものか。
マーツェに目線をやる。
「ちょっと考えさせてほしいな。教えてあげたいけど。簡単に説明できることじゃない。誰にでも話せる内容じゃないんだ」
「そうなの。でもどうしてなのかは知ってるんだねえ。じゃあしばらく一緒にいてもいいかな。信用できると思ったら、話してほしいな」
そうして、面の人物もしばらく宿に滞在することになった。
1人部屋を借り、就寝時以外は私たちに付いて回る。
少しうっとうしいが仕方がない。
向こうを信用できるか判断すると同時に、向こうにも私たちを信用できると思わせたい。
面の旅人は勇者らを近くの村に送り届けて何がしたいのか。
単純にそれが気になったのもあるが、私たちの計画に協力を頼めるのではという考えもあった。
異なる部位を持つ者で、人間を敵視していないのであれば、共存できる未来を望むだろう。
協力を頼むためにも信頼を結びたい。
面の人物は、ジーグと名乗った。
ジーグも宿を連日借りる金はなかったため、宿代がわりに食堂を手伝うという話になった。
朝は食事の仕込みを手伝い、日中は私とマーツェに付いてくる。
夕方の私たちが治癒やらをしている時間は、食堂で給仕。
夜の食事を共に取り、別部屋で就寝という流れだ。
ジーグが付いて回る日中、しばらくは結界避けの調査に集中しようという話になった。
歴史認識をひっくり返す話を聞かれて、謀反を企んでいると思われてはたまらない。
ジーグと別れるか。
ジーグに話せると信用するか。
結論を出すまで気を付けなければならない。
行動を共にする人間が増えることについて、アンテルとシュグリは単純に喜んだ。
ジーグの柔らかい雰囲気は子供受けするようだ。
ジーグも子供が嫌いではないようで、よく構っている。
ワイセは軽い警戒態勢を取っていた。
弟妹は懐き始めているようだが、本当に害のない人間なのか。
新たに大人が加わったことで、大人3人が良からぬことを企みはしないか。
静かに動向を注視している。
ヘフテ・ダモンとの情報共有は、ジーグと別れて部屋に戻ってから行うようになった。
ワイセに弟妹の湯浴みをさせている間、音を遮断する結界を張って情報共有をしている。
情報共有中にワイセらが戻ってきても、特に中断したりはしない。
結界で聞かれる心配はないし、ワイセもなるべく邪魔をしないように弟妹を世話していた。
邪魔をして見放されないように、ということだろう。
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