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1歩進んだ実験
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今日も今日とて結界避けの調査である。
試行錯誤を繰り返して実験しているが、訓練施設と同じ状況には至らない。
どうしても、魔石が破損すると同時に魔法も壊れてしまうのだ。
魔力制御が不安定になる、あの不具合が生まれない。
基本的にジーグは実験の様子を静かに眺めていた。
時折、質問をしてくるが、邪魔に思うほどではない。
「結界避けを壊して、何がしたいの?」
結界避けを張り、魔力量を増やし負荷をかけ、魔石を破損させる。
それを繰り返している私たちに、ジーグが問いかけた。
「壊したいわけじゃないんだけどね。ある状況を再現したいんだ」
「ある状況ってどういうの?」
「不具合が発生してるんだよ。魔法制御がうまくいかない。不発や暴発をしてしまう不具合。結界避けを張ってる施設でね。それが何故起こるのか確かめたいんだ」
マーツェはそう説明をして、フォルグネの手記や管理の調査資料などもジーグに見せる。
しばらくの間ジーグはそれを読み込んでいた。
新たに魔石を配置して実験しようとしていると、ジーグが声をかけてくる。
「ゲルハルトはとても魔力が多いよねえ。もっと少ない魔力量を想定した実験の方がいいんじゃないかな」
「少ない魔力量?」
「うん。この研究資料には、多くの官吏が魔力を流しているよねえ。実際の魔力量はわからないけど、ゲルハルトに遠く及ばないことはわかる。低い度合に合わせた方がいいんじゃないかな」
専門部署の資料には、魔力を流した官吏の名が載っている。
名前や役職、魔法陣のどこへ配置されたか。
おおよその魔力量の順に情報が整理されていた。
その中でブルデは上位に位置している。
そこから考えると、大半の官吏の魔力量がマーツェと同じかそれより少し多い程度。
最上位の者の魔力を倍として考えても、私と同等になるかは怪しい。
「そうするとマーツェの魔力を基本にして考えた方がいいな。マーツェ1人で魔法陣が発動するか見てみよう」
「え。無理だよ。私だけなんて無理。こんな規模の魔法陣。魔力が足りないよ」
現在、約10m四方に範囲を広げて魔法陣を張ろうとしていた。
「ああ。だから範囲は狭める。資料にある人員と範囲から考えて、1人2m四方くらいだろう。同じ範囲で張ってみよう」
魔石の配置を考え直し、マーツェ1人が魔力を流す。
もう少しで魔法陣が発動するか、というところでマーツェが先に力尽きた。
「無理無理無理。魔力足らない。できないよ」
へたり込んで首を振る。
休憩を挟んで、何度か魔石の数や配置を変更して試した。
すると、いくつか発動させられるものがあった。
完全に結界の効力を避けられるものもあれば、完全ではないが効力を減退させられるものもある。
繰り返し魔力を酷使したマーツェは疲労でぐったりだ。
「疲れた。こんなに魔力使ったことない。でもよかった。ちょっとわかってきたね」
繰り返し試した結果、規模によって明確に魔石の数や配置が決まっているわけでは無さそうだと分かった。
魔力の足りなさも、魔石の質の悪さも、魔石の数を増やせば補える。
中途半端に補うと、結界の効力を完全に避けることはできない。
今までの実験で完全に結界避けが発動するか魔石が壊れるかの二択だったのは、私が魔力を流しすぎていたからということだ。
魔力・魔石の質・魔石の数。
これらを合わせて基準値を超えれば魔法陣は完全に発動する。
しかし不具合を発生させることはできなかった。
魔力量を増やして負荷をかければ、魔石が壊れると同時に魔法も壊れる。
魔法陣への負荷のかけ方が間違っているのだろうか。
試行錯誤を繰り返して実験しているが、訓練施設と同じ状況には至らない。
どうしても、魔石が破損すると同時に魔法も壊れてしまうのだ。
魔力制御が不安定になる、あの不具合が生まれない。
基本的にジーグは実験の様子を静かに眺めていた。
時折、質問をしてくるが、邪魔に思うほどではない。
「結界避けを壊して、何がしたいの?」
結界避けを張り、魔力量を増やし負荷をかけ、魔石を破損させる。
それを繰り返している私たちに、ジーグが問いかけた。
「壊したいわけじゃないんだけどね。ある状況を再現したいんだ」
「ある状況ってどういうの?」
「不具合が発生してるんだよ。魔法制御がうまくいかない。不発や暴発をしてしまう不具合。結界避けを張ってる施設でね。それが何故起こるのか確かめたいんだ」
マーツェはそう説明をして、フォルグネの手記や管理の調査資料などもジーグに見せる。
しばらくの間ジーグはそれを読み込んでいた。
新たに魔石を配置して実験しようとしていると、ジーグが声をかけてくる。
「ゲルハルトはとても魔力が多いよねえ。もっと少ない魔力量を想定した実験の方がいいんじゃないかな」
「少ない魔力量?」
「うん。この研究資料には、多くの官吏が魔力を流しているよねえ。実際の魔力量はわからないけど、ゲルハルトに遠く及ばないことはわかる。低い度合に合わせた方がいいんじゃないかな」
専門部署の資料には、魔力を流した官吏の名が載っている。
名前や役職、魔法陣のどこへ配置されたか。
おおよその魔力量の順に情報が整理されていた。
その中でブルデは上位に位置している。
そこから考えると、大半の官吏の魔力量がマーツェと同じかそれより少し多い程度。
最上位の者の魔力を倍として考えても、私と同等になるかは怪しい。
「そうするとマーツェの魔力を基本にして考えた方がいいな。マーツェ1人で魔法陣が発動するか見てみよう」
「え。無理だよ。私だけなんて無理。こんな規模の魔法陣。魔力が足りないよ」
現在、約10m四方に範囲を広げて魔法陣を張ろうとしていた。
「ああ。だから範囲は狭める。資料にある人員と範囲から考えて、1人2m四方くらいだろう。同じ範囲で張ってみよう」
魔石の配置を考え直し、マーツェ1人が魔力を流す。
もう少しで魔法陣が発動するか、というところでマーツェが先に力尽きた。
「無理無理無理。魔力足らない。できないよ」
へたり込んで首を振る。
休憩を挟んで、何度か魔石の数や配置を変更して試した。
すると、いくつか発動させられるものがあった。
完全に結界の効力を避けられるものもあれば、完全ではないが効力を減退させられるものもある。
繰り返し魔力を酷使したマーツェは疲労でぐったりだ。
「疲れた。こんなに魔力使ったことない。でもよかった。ちょっとわかってきたね」
繰り返し試した結果、規模によって明確に魔石の数や配置が決まっているわけでは無さそうだと分かった。
魔力の足りなさも、魔石の質の悪さも、魔石の数を増やせば補える。
中途半端に補うと、結界の効力を完全に避けることはできない。
今までの実験で完全に結界避けが発動するか魔石が壊れるかの二択だったのは、私が魔力を流しすぎていたからということだ。
魔力・魔石の質・魔石の数。
これらを合わせて基準値を超えれば魔法陣は完全に発動する。
しかし不具合を発生させることはできなかった。
魔力量を増やして負荷をかければ、魔石が壊れると同時に魔法も壊れる。
魔法陣への負荷のかけ方が間違っているのだろうか。
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